映画「アデライン、100年の恋」

映画「アデライン、100年目の恋」

今回は、最後がほっこりくるかも?な映画を紹介しようと思う。

「アデライン、100年目の恋」(2015年 アメリカ製作)

主演は2007年から2012年までアメリカで放送された人気テレビドラマ「ゴシップガール」でブレイクした、ブレイク・ライブリーである。子供時代から芸能活動を開始。

映画撮影当時、実年齢が28歳で、役の年齢も29歳で若くて美しく知的な女性を等身大で演じている。

1908年生まれのアデラインは、若くして結婚し、娘を出産し、優しい夫と幸せに暮らしていた。しかし、不幸なことに夫を建設現場の事故で亡くし、20代半ばで未亡人となり、その後、アデラインはシングルマザーとして娘を育てながら、

夫を亡くしたことで、もう誰も深く愛さないと強く思うようになる。

子育てに奔走していた29歳のある冬の日、アデラインは雪道を車を運転していて、車がスリップし、川に車ごと転落してしまう。川に転落したアデラインは低体温状態で意識を失い、その瞬間雷に打たれる。この事故により、命は助かったが、アデラインの体内の細胞に異常が生じ(細胞の異常に科学的根拠はなく、あくまでも物語上の年を取らないという奇跡の設定)老化は完全に止まり、外見は29歳のままになる。髪の色や肌の艶が全く変わらないのだ。

命が助かり、帰宅して普通の生活に戻ったアデラインであったが、ふと鏡を見たり写真を撮ったりして、自分の姿が変わっていないことに気が付く。

家族や友人と比較しても、自分だけが年を取らないことを不審に思い始める。

そして、事故前後の写真や家族と写っている写真を見て、時間が経っても自身の外見が変わらないことを確信する。老化が止まったことを確信したアデラインは、年を取らないからだを隠す為、名前や居住地を10年ごとに変えながら孤独に生きることになる。

アデラインが年をとらなくなった、1920年代は、現代ほど、身分や身元の確認が厳しくなかった。パスポートもIDも現在ほど普及しておらず(写真入りIDや全国規模のデータベースがなかった)、日常生活では身元確認が緩かった。引っ越しや転職は書類が少なくても成立していた。上流階級でなければ、身元を隠して生活することが比較的容易であった。(アデラインは、一般の中流家庭育ち)

アデラインは、逃亡者のように、大きなトラブルに巻き込まれないよう、慎重に生活することで、身分を変えて生活することが十分可能であった。もちろん、恋愛や結婚も避けた。誰とも深く関わらず、職業や交友関係も限定し、家族関係も最小限にし、目立たない生活を徹底した。そんな生活が続き、娘は、普通に年を取り、母親より外見は年上になるという辛い状況になる。

1930年代から1940年にかけて、社会保障番号が導入され、政府や銀行などで、身元確認の必要性が増加した。銀行口座や雇用で身分証明が必要になる場合が出てくる。身分を隠す難易度もやや難しくなってきた。しかし、都市を転々とし、目立たない職業を選べばまだ身分証明がなくてもすんだ。

1950年代になると、個人情報の管理が徐々に厳格化(ID制度、パスポート、運転免許証など)され、身分を隠す難易度がかなり難しくなってくる。アデラインは、長期間同じ場所に住む場合、過去の身元がばれやすいと考え、10年ごとに都市を移動した。

1960年代以降は、さらに身分を隠すのが難しくなり、アデライン自身も身分変更を重荷に感じるようになる。以前のように、名前を変えて引っ越すだけでは通用しにくい時代になってきていた。10年ごとに名前と職業を変える作業が負担になっていく。

戦前、戦中は記録が曖昧で、移住してもほとんど追跡されなかったのが、1960年代以降は、行政管理が整い、出生記録・税記録・社会保障番号などが、紐ずくようになった。

それに加え、写真付き身分証明証が一般化され、アデラインのように全く年をとらないまま同じ顔でいると、周囲が自分より先に老いていくなかで、同じ外見のまま生活し続けると、周りの人間に疑問をもたれやすくなってきていた。

このような身分を変えることが簡単だった時代に生まれ、やがて、身分の詐称が難しくなるまでを映画の中では詳しく描かれていないが、年をとらないで、周りの人間に怪しまれるエピソードはちりばめられている。

1940年代に、アデラインの外見が全く変わらないことに不審を抱いた役所の職員に通報され、FBIに尋問され、連行されそうになるシーンがある。30年前の写真と同じであることを、科学的検査で調べられそうになり、アデラインは、危機一髪のところで、逃走することになる。これが原因でアデラインは、10年ごとに名前と住所を変えて生きる人生を決意するのである.。(それまで、同じ名前と住所と職業で、よく生きていたなとは思うが)

そうやって、生き続けてきた彼女であったが、時は流れ、現代になる。

アデライン一人であれば、まだ身分のごまかしも優しかったかもしれないが、彼女には、1920年代に生まれた娘がいた。

アデラインの実年齢は100歳近いが、見た目は30歳前後。娘は普通に老いていくため、周囲に、娘は「(アデラインは、)あなたのお姉さん?」と聞かれるようにもなる。

娘が老いても、アデラインの見た目が若いままなので、二人で外を歩くのも周りに疑われやすくなり、アデラインは、「もう、人前で一緒に行動するのはやめておこう」と娘に告げる。娘が大人になってからは、アデラインの正体がばれないように一緒に暮らすのをやめた。しかし、娘は母を陰から支え、電話で近況を話し合い続けて、関係は薄れなかった。それ以上に、母娘の強い絆を保っていた。

現在のシーンでは、娘は80代の老婦人になっていた。二人が会う時は、二人はまるで、孫と祖母に見えたが、アデラインが10年ごとに移り住んでいたので、二人の関係がばれることはなかった。(本当は、母親と娘)しかし、アデラインにとって、娘が老いていくのを見るのは最大の苦しみであった。

そして現在。

そんな優しい娘の愛情に甘えてしまったのか、ある日仕事を終えたアデラインは、若い実業家のエリスと出会う。エリスは、彼女に一目ぼれし、熱心にアプローチしてくる。アデラインは、不老の秘密がばれてはいけないと思いつつも、エリスの誠実さに心を動かされ、エリスを受け入れる。(100年近く生きてきても、心はいつまでも若いんだなと思った。)お金持ちで優しく完璧なエリスとアデラインの恋はまるでハーレクインロマンスの小説みたいであるが、アデラインとエリスは恋人になる。そして、エリスの実家に食事に誘われ、アデラインはエリスの実家に行くことになる。そこで、エリスの父親と対面する。エリスの父親はアデラインを見た瞬間、大きく驚く。それは、昔恋人だった女性と同じ顔だったからである。

エリスの父とは、昔、偽名で付き合っていた男性であったが、身元を隠す為に突如彼の前から消えたことがあった。(結構無責任?)エリスの父親は、アデラインの目の下のほくろと、若いころと同じ顔に遭った傷を見て、なぜか、あの時の女性だと確信してしまう。

アデラインは、しどろもどろになりながらも、「私は娘です。母は亡くなりました。」と嘘をつくが、内心では、ばれてしまうわけにはいかないと再び逃げる決意をする。

その場から逃げようとエリスに別れの手紙だけを残し、雨の中、車を走らせるアデライン。しかし、スピードの出し過ぎで、再び80年前と同じように、交通事故に遭い、車は横転し、外に投げ出されて、その体は心停止する。しかし、救急隊が来て、蘇生措置のため電気ショックを与えると、そのショックでアデラインは息を吹き返した。

電気ショックで、細胞が正常に老いる動きを始めた瞬間でもあった。

病院で、目を覚ましたアデラインは、まだ、自分が老い始めたことに気が付いていなかったが、病院に駆け付けたエリスに真実を話す。アデラインにしたら、もう逃げて暮らすのは疲れたのであろう。しかし、エリスは当然最初はその話を信じられなかった。混乱し、ひどく驚き、非現実的な話に喪失感を覚える。しかし、エリスはアデラインの嘘で塗り固められた人生を責めたりはしなかった。病院の少しの面会時間に、現実を理解し、アデラインを責めず、それでもアデラインを好きだと言ってのけるエリスは、まさにミスターパーフェクトだ。だが、これからまた付き合うにしても、エリスの父親の気持ちを考えたら、付き合うのは普通無理だろう。(エリスの父親は、妻(エリスの母親)と幸せに暮らしていたが)私なら、エリスは若い女性がよっぽど好きなんだろうなと感じてしまう。

終盤、退院したアデラインは、エリスと仲良く過ごしていた。エリスは不老のアデラインを受け入れ、共に生きることを選んでいた。

出かける準備をしていたアデラインは、鏡を見ながら、髪の毛をとかしていた。すると、アデラインは、気が付く。髪の毛の一本が白髪だったのだ。彼女が老いている証拠だった。アデラインは、静かに微笑み、老いの喜びをかみしめた。

ハッピーエンドではあるが、それもこれもアデラインが美人であったから成立した話であろう。アデラインは、細胞の成長が止まってしまったため、筋肉痛も、老眼も、腰痛もなく、体が29歳だった。それに加え、100歳近くでも、20代の心を持ち、精神も若かったから、エリスはアデラインを受け入れたのであろう。

ちなみに、エリスの父親を演じたのは、ハリソン・フォードで撮影当時は71,2歳であった。ハリソン・フォードが昔の彼氏役を演じたことで、よりアデラインが年をとってこなかったことが強調される。二人が恋人同士で会った頃の回想シーンで彼氏役は、若い俳優が演じている。

この作品は、私は一度しか観ていないが、よくよく振り返ってみると、FBIに連行されて、もう疑われるのはこりごりと思っていたのにもかかわらず、その後若き日のエリスの父親と付き合っているのだから、反省しない人だなとつい思ってしまう。(そして、都合が悪くなったら、逃げる)

アデラインは、100年の間に何回恋愛をしたのか分からないが、これからエリスと少なくとも4、50年一緒にいると思うと、若いままも怖いが老いるのもまた怖いことを知るだろう。そして、おそらく娘のほうが先に亡くなってしまうことも、アデラインにとっては不幸である。

素敵なラブロマンスであったと言い切れない作品であった。

もっとまっすぐな気持ちでこの作品を鑑賞したら、ほっこりきたのだろう。

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はる組

こんにちは。 懸賞応募と海外留学などのエッセイを読むのが趣味です。 発達障害で困ることも沢山ありますが、どうよろしくお願いします。

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