俺は精神疾患なんかじゃない!!第七話

次の受診日、勇人は主治医に就職について相談してみた。

「誉田さんはえーと手帳も申請してませんね。一般枠で働くつもりですか?」「はい、できれば。」

「そうですか、私としてはあんまり一般枠は勧めないんですがね、それにまだ就職は厳しいと思いますよ。」

「でも、生活のこともあって。」

「そうですか、皆さんいろいろご事情があって決めるのはご自身ではありますからね。私からの忠告は、勤務が過酷でないこと、しょっちゅう車を運転したりの仕事はやめた方がいいですね。一般枠なら内勤の仕事をお勧めします。」

家に帰ると勇人はパソコンで履歴書を作った。しかし、M物産一身上の都合により退社と言うのは絶対突っ込まれると思った。こんないい会社何で辞めたんですか?と尋問されるのは目に見えてる。精神疾患になって退職したなんて言える訳ない。でも他に上手い言い分けも思いつかない。しかしとにかく本当のことは言えない。

履歴書は作ったものの、また勇人は落ち込んでしまった。

しばらく考えてハローワークの求人を検索した。もちろん障害者手帳も申請してないし、一般就労枠を検索した。最初から正社員はまだ無理だ。それに営業なんてもうできない。

勇人は契約社員やパート社員で事務系を探した。

総務などの事務係にしぼり3件求人を見つけた。いずれも正社員登用ありで、紹介状をもらうとき窓口ではM物産は体を壊してやめたこと、志望動機は頑張っていずれは正社員になりたいから、正社員登用ありのところを志望したということにした。

しかし、2社とも書類選考で落ちてしまった。残る1社は筆記テストと面接があった。勇人は1年近くスーツにネクタイなどという格好はしていなかったので、少し窮屈に思えた。

筆記試験は一般常識で大丈夫かなと思った。それから後日面接と言うことで勇人は会社からの連絡を待った。

3日ほどして面接の連絡が来た。勇人は2社とも書類選考で落ちているので発病してから初めての面接だった。

面接官は3人。中央にいるのが支店長、右、左は部長や課長のようだった。名前が呼ばれ入っていき、

「誉田勇人と申します。本日は宜しくお願い致します。」

「はい、誉田さんどうぞおかけ下さい。では面接に入らせて頂きます。えーと大学を卒業されて新卒でM物産に入られたと。そちらでは営業をされていたようですが、今回我が社の募集は内勤の総務です。なぜ総務を希望されたのですか?」

「ええ、ちょっと営業で体を壊してしまいまして。」

「なるほど。まあ営業は激務なところがありますからね。ではもちろん総務のご経験はないということですね?」

「はい、ありません。」

「パソコンはどこまでできますか?」

「エクセル、ワード、上級までこなせます。」

「それは、すばらしい。それでご病気の方は完治されたのですか?」

「はい。」

「そうですか。ええとですね、今回の募集は契約社員扱いですが、何故応募されたのですか?」

「はい、志望が総務系であること、それから正社員登用の実績もおありのようで、頑張ってみたいと思いまして応募致しました。」

「そうですか、他に何かありますか?」

課長らしき人が支店長や部長に尋ねると「特にない」ということで、勇人の面接は終わった。

「本日は私のために貴重なお時間を割いて頂きありがとうございました。」

勇人は退室すると冷や汗をびっしょりかいていた。長所、短所もきかれなかったし、10分程度の面接だった。

何となく、これは落ちたなという気がした。案の定一週間後に郵送で不採用通知が届いた。

勇人はどっと落ち込み、次の診察までずっと引き篭もっていた。

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おさる

はじめまして。閲覧ありがとうございます。フエルト、リボン細工、レース等で作った草花を季節ごとに載せていきたいと思います。どうぞ、よろしくお願いします。

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