【△】 38話『暗環は近く』

〔1〕

キナミとも親しい【四角の世界】の住人『シカク』は屍の手により跡形もなく消し飛んだ

キナミの目の前には存在の欠片も無く、ただ瓦礫だけが足元につく

▲-キナミ「・・・。」

▼-屍「わかっていたのだろう。。。?」  キナミ「…なにが…。」

「シカクが目の前で破壊されることだよ・」

キナミ「わかってるよ…わかっているんだよ。俺が、自分が関わってきた人たちが目の前で壊されることが辛くないとでも聞くつもりなの?」

「どう足掻いても見捨てる選択かその場で居なくなるかの2つ、仮にこちらが来なくとも前者をキミが選ぶより遥かにマシだったろう。。。?」

キナミ「苦い気持ちを押し潰しながら、話をしても…別れを伝えたっていいじゃないか…、お前たちの優先した選択よりも俺やシカクさんの気持ちはどうなるって言うんだ」

〔2〕

キナミのすぐ後ろで漂い浮く屍は淡々と彼に向かい話を繋げ続けていく

「何度も言わなかったか?この世界は時間が残されていないのだと・キミは彼女や他に恩を返すつもりと言い過去を振り払って生きているが。。。こちらとしてはどうでも良い事なのだよ」

キナミ「うっ」

「この世界には容量がある、トゥイルもこちらも同じ理由を持ち【準備】の為に破壊し回る」

キナミ「なら俺も彼女と一緒に破壊すればいい、その容量っていうのも軽くなるんだろ!?」

屍はその場で頭を横に振る

「Triangleの管理者を一応は担ったとはいえ、やはりキミは何も知らなすぎるな」

〔3〕

キナミ「何が、言いたいんだ」 「状況は変わったと言っているんだキナミ・」

「この世界は生きている、跡形無くなるまで」 

屍が話しているうちにも酷いヒビは徐々に瓦礫と共に塞がれていきながら

同時に形を変えて戻っていく

キナミ「あぁ、修復の事は管理者の権限を持っていた頃から知っているよ、でも俺と何の関係があるって言うんだ?」

「本来ならキミも底で大破するハズの身だ、でも生き永らえた」

キナミ「サクアキさんと六角形の世界の、声から…俺は背中を押されただけ、ただそれだけだよ…お前達と何の関係も無いじゃないか」

「それはないな、◉-CORPSEの心まで動かしてキミも以前より周囲への恩から前を見る様になった・」

キナミ「生きる意志はずっと昔に置いてきたつもりだった、この世界でゆっくり死ぬつもりでいた。」

「こちらは主の指令により破壊を行おう、キミが願うのなら今その身体を貫くが。。。?」

キナミ「あぁ、ありがとう…でも俺が…この世界にきてから皆が俺を守ってきて信頼されてきて、此処まで来たんだ、今とこれからも生きていくことが恩だと思っているんだ。」

〔4〕

過去を引き摺ってきた青年キナミがゆっくりと前を向いていくのを感じ取った屍は

彼に溜息の様な言葉を発しながら

「やれ、本当に状況は変わってしまったな。。。・主からの指令を全うするつもりだが、こちらも少し裏切ろう」

キナミ「いや、お前たちが居なくてもミオイさんのもとに向かうつもりだよ」

余計な世話と言わんばかりな反応を見せて口を開き

そう言うとキナミは屍を置きざりに部屋を出て階段へ向かい上ると屍から問われる

「この場から【三角の世界】に行くサイトの場所は知っているのか?」

キナミ「知らない。だからシカクさんが案内してくれるハズだったんだ、それをお前達が」

「彼女は何も知らない、道案内しようと何もない所に連れてかれるだけだ。」

〔5〕

キナミは今までにないほどきょとんとして

キナミ「此処は【四角の世界】だろ?住人が知らないなんて」

「最初から主の権限によって【四角の住民は都市行きを封じられている】つまり知るハズがない」

キナミ「サイトなら場所くらい知ってるだろ!?」

「たった今言った通り【行きは封じられている】向かう事すら叶わないのだよ管理者5号・」

キナミ「じゃあ、何処にあるっていうんだ」

案内するように言われた直ぐ屍はその方向へ視線を送る

しかし視線の先は閉ざされた扉がある訳でもなく

〔6〕

それどころか隠されていて開けるまでもなく元からあった通路に誘導された

「階段上ってすぐ目の前にあるだろう。。。?」

これには流石のキナミもドン引きだ

キナミ「こんななら、お前たちじゃなくてもシカクさんが案内出来たじゃないか…。」

「3度も言う事になるとは思わなかったが【封じられている】という言葉そのまま解釈していたか」

キナミ「つまりシカクさんからは…この通路が、見えていなかったの…?」

「ご名答それに彼女と居る時は【誤って連れていく】のを避ける為に管理者にも見えなくなる仕様だ」

サイトのある部屋に向かうのに通路を渡っていくキナミとその後ろをついていく屍

キナミ「何でそこまでして」

「主の権限だ・こちらはそこまでの情報は知らない、聞くなら主に聞くことだ。。。・」

〔7〕

そうして短い通路を通過すると【三角の世界】へ続く〘サイト〙がある部屋に辿り着いた

キナミ「他のサイトは凄く雑に置かれていた気がするけど、これは大切にされてないか?」

「これに関しても理由はわからないが要となる場、ただ他は雑で良い判断なのだろう。。。・」

サイトの部屋に辿り着いて間もなく《バキッ》と何やら硬いものを刺し貫くかの様な音が聞こえ

キナミ「何だこの音…。」

〔8〕

三角型のサイトの近くには外を見渡せるほど大きな窓が張っており

気になったキナミは窓へ駆け寄り見下ろすと黒い影がこちらに向かって上ってくる

「アイツは・・・!」

キナミ「トゥイルっ!?」

《バキッ》と音を立て上ってきた存在は『トゥイル』だった

ただトゥイルから見てキナミや屍のことは見えていないようで特に気にすることなく上へと上り消えていった

キナミ「トゥイルは器の倉庫に居たハズじゃ…。」

「あの様子を見るに【五角形の世界】は完全に破壊し終わったんだろう。。。・」

キナミ「それなら【〇の世界】か、この世界の中に来るものなんじゃ…?」

「ヤツはこちらや◉-CORPSEとは違い『主と同じ外部の存在』だ、己のラクを選んだな。。。・」

キナミ「俺が、【都市】に向かう頃には…。」

「居るだろうな。。。・」

〔9〕

キナミ「五角形の世界が破壊し終えたってことは、さっきも言ってた容量は軽くなったのか?」

「そうだな【底】を見てみるといい、五角形の世界だった欠片が着々と落ちているハズだ。。。」

キナミは窓から覗き屍の言う通り世界の底を見下ろすと

底に瓦礫や屑と化して崩れ落ちた五角形の世界の破片が幾つも散乱している

キナミ「あ、あぁ…見えるよ。」

「底に落ち切ってそこで消えていけば容量は確保される、今はまだロードの段階だろう」

キナミ「じゃあ逆に地の底に落ちなかったら容量は変わらないって事か」

「そうだ・だが住人を無人になるまで破壊してもデータには残る仕様上、容量にするには世界ごと壊す他ない」

「キナミ、現世では人間の子供だろう。。。?ならゲームを例に分かるハズだ」

キナミテレビゲームが、どうかしたって?」

「画面内の処理を行う際、一定ラインでの負荷が掛かるとラグが発生する

キナミ「・・・そのラグを回避する為に皆が犠牲になったのか」

「こちらも、トゥイルにCORPSEと主の指令で動いていたよ」

キナミ「あぁ…もう、今となっては、納得するしか俺には手がないよ」

「ご理解、感謝する。。。・」

暫く心を整えて三角のサイトを目の前にキナミはトゥイルとの遭遇を考え身構える

〔10〕

当然鉢合わせた場合ただでは済まない想定で動くつもりでいた

そんな不安を背負うキナミに対して屍は仮説を立て話す

「トゥイルのことは恐らく問題ない」

キナミ「いや心配はするよ、ミオイさんも この棘を見る限り無事じゃないだろうし」

「それに関してもだ」  キナミ「何が言いたいのさ?」

「トゥイルはあの性格だが主に忠誠を誓っている数少ない人物だ」

トゥイルの小話に興味のないキナミは『ふーーん。』とした表情で

キナミ「で、それがどうしたって言うのさ?」

「こちらも忠誠は誓っている身だ、多少無理はあるだろうが『お前の主に呼ばれている』と言えば」

キナミ「喜んで見逃してくれるって言いたいのか?そんな訳あるのか…?」

「彼はそういった話にはイラつくだろうが、もし主の指令なら退く可能性は視野に入れておくべきだろう・」

トゥイルについての仮説を話し終えるとキナミは屍に『主』のことを聞き出そうとする

変に流されると思っていたが屍は隠すことなく正直に答えてくれた

キナミ「屍、お前は主が何処に居るのか分かっていたりしないのか、事前に知っても損は無いと思っての事だけど」

「主は、彼は【太陽】へ向かう飛空艇に居るハズだ。。。・」

キナミ「どうして、答えてくれるんだ?俺は敵なんじゃ…?」

「トゥイルはどう感じているかは知らないがCORPSEとこちらは疲れたんだ。。。・キナミ…キミはこの世界から抜け出すんだ。。。、その為の鍵を主とミオイとキミは持っている。。。・」

キナミ「・・・ありがとう、一応言っておくよ シカクさんを撃った事は絶対許す事はないけど」

「屍たちの意志や皆の為に俺は生きていくつもりだ、だから背中を押してくれて ありがとう。」

 

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〚〚 38話が終わり、39話へ続く 〛〛

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RROD/HRM

自己流の挨拶で〖おはばんちは〗RROD/HRMと申します。 小学生の頃に描いていた物語をリメイクし世界観を広げて沢山のキャラと本編創作である《崩神の世界》を描きながら活動しています、大まかに登場人物と別視点での物語を描いています。 YouTubeやTwitterでも作っているので気になった方はそちらもどうぞ~ 又、こちらでは本編とは世界観の違う《さんかく》という物語を作っていく予定ですので 宜しくお願い致します。 季節や行事に沿ったイラストも稀にですが描いていこうと思っております。

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