猫耳少女は夢をみない。#12

#12       「皇子の決意」

輝の兄貴って、なんでいつも唐突なのよーーー!!

俺や父さんが何を言っても
妥協しない我が道を行くタイプの人だから…

輝も大変ね。
できそこないの兄を持つと…
仕事とか支障が出そう

兄さんを変える“何か“がないと
今のままの体たらくだと思うよ・・・

ラナと一緒にいた特別な場所から走って
ニャルタウンでルージャと待ち合わせをし
目立つと危ないからという理由で
荷馬車は使わず走って城へ向かう2人。
ルージャの体力が尽きて少し休んでいた。

はい、これ…

ありがとう……

水分補給は大事だからね。
ここから走ってもすぐには追いつかないと思う…
だから奥の手を使おうと思う!!

奥の手・・・・??

あのつきあたりまで進むと、王族専用車両があるんだ。
王族はもちろん、王族と関わりのある人物も
無料で乗車できるんだ…

それを・・・・早く、言ってよ・・・・

ここまで歩くか走らないとしないと、
あそこまで辿りつくのは皆無に等しいからね

輝はそうよね、チャレンジャーだものね…

ルージャは、俺と最近知り合ったばかりなのに
今では父さんより俺をよく知る人物になっているよね。

そんなに・・・・知らないけどね・・。

え・・?

ううん、なんでもない。
それよりそのルージャってそれ、やめてよ!!
これからはルーって呼んで!!
私、親しくなった人や友達にはルーって呼ばせてるの

ルー!

なぁに・・・・?

呼んでみただけ・・・

この日、自分の妹のために全力疾走でバス停まで
一緒に来てくれた輝を心から信用したルージャ。
出会った当初より、ラルル結成時より、いまはあの日よりも
固く強く絆で結ばれた2人だった・・・。
バスに乗り込む2人を変装しながら見ていたある人物…

ルージャ・ペンダンテ……。
ワタクシのライバル

バスに乗り込み笑顔で何かを話している2人を見て嫉妬の炎を燃やす
ある言葉を思い出し、バスの中の光景を思い浮かべて彼女は言った。

『ルージャとラナは友達です。
いつかこの国も、種族とか関係なく
分かり合えたらなって思います。
もちろん、姫君とも仲良くさせていただきたく存じます。』

とても・・・友達には見えませんわ…。
いずれにしてもルージャ・ペンダンテは邪魔な存在…。
どうにかして、居なくなってもらわないと・・・・

ここにも、2人をよく思わない人物がいて2人の恋愛の行方に水を差すものが…

成様、城へ着きました。
そちらの方は・・・・?

サリウスじゃんよ!!
俺の未来の嫁じゃん!!!!

なんて、おめでたい!!!!
では、すぐに前祝いのパーティーを!!

け、け、結婚なんてしないわ!!
この皇子が自分で言ってるだけよ!!
それより大きなお城ねぇ!!
とってもキレイ!!
きっと中も美しいんでしょうねぇ!!

成様、まずは城へ
サリウス様を案内してご馳走をふるまっては?

お、それはいいアイディアじゃん

食事に夢中になっている間に
婚約届を私が出しましょうか??

それは明暗じゃん♪
でも、今は探検させてあげるっしょ!
段階を踏んで・・

さっすがー成様!!

青海成とサリウス・ペンダンテは城へ着き城の中へ入っていく
青海成に付いている近侍、悪意はないが昔の青海成に似た性格で
合う人と合わない人がいる。
大体、青海成の側を離れたりしない優秀な近侍だが
お金や権力目当てで近づく女性を非常に嫌ってあり
女性が少しでもいると部屋にこもって仕事を黙々と熟す実力派である。

父上、ただいま帰りました!
父上が会いたいと仰っていた
サリウス・ペンダンテを連れてきました!!

よくぞやった!!
サリウス殿、その椅子におかけになりなさい

こ、これは!ロンボディチェア!!
1つで15万ミロもするっていう・・
庶民の誰もが座りたい!
憧れる最高峰の椅子!!!!
こ、こんな高級の椅子に座れる日が来るなんて!!
エモい

コホンッ!!
そなたに来てもらったのは他でもない。
隣にいる我が息子の青海成が君に惚れたとのこと。
知っての通り、我が国の第1皇子・青海成だが
昔は体たらくでだらしなく
仕事放棄に不特定多数の女性が
常に周りにいないと
エンジンがからないという不埒ものであった。
そんな息子が、サリウス殿に会ってから
私が知る限り進化した。
息子はあなたに本名を呼ばせ
認めてもらうために変わったと言っている
失った国の信用を取り戻すことができなければ、
サリウス殿を連れて他国へ移ると言っている。
そなたが良ければ、息子をもらってやってくれないか?

高級な椅子に座り話を聞いていると、
自分が第1皇子に巻き込まれていることが分かるサリウス。
サリウスは恋がしたことがなく
王族が勝手に決めたことには承諾できないと正論をたたきだす。
すると王が条件を出した………………

では、条件として成が国への信用を取り戻し
まだサリウス殿のことを好きでいられる。
そしてサリウス殿が成のことを好きになったら婚約・・・
いかがかな?

いいですわ!!
私が第1皇子を好きになるなんてありえないもの!!
その条件、受けます!!

よかろう!では、この書類にサインを…

サリウスはペンをとりサインをした。
静まった城の中、青海輝とルージャ・ペンダンテが遅れて城へ着く

父さん、いま着きました!!
兄さん、一般市民の女の子を
いきなり馬車で誘拐するなんて
何を考えているんだ・・・??

輝、帰ったか。
確かに少々強引だったかもじゃんよ?
でも父上の命令であれば仕方ないと思わんか??
なんだって、未来の嫁になるかもしれない
特別なレディじゃんよ!

それが私の妹だっていうの・・・?

あれ・・・・?
俺がいま話しているのは、本当にあの兄さんか・・・・?
身なりも整えて、父さんへの口の利き方・・・態度・・・・
ものの様子が周囲の別のものと違っている・・・・
一体、何があったんだ・・・?
しかも、サリちゃんの結婚・・・・??

ちょうどいい!
いまからサリウス殿を返すところだ。
成、送ってやるといい!!
お前たちの話も聞きたかったところだ。
ルージャ殿・・・お時間はよろしいかな?

ええ……
できれば、手短に済ませていただけると有り難いです……

では、率直にきこう。
ルージャ殿、そなたは輝のことをどう思っている??

わ、私・・・私はッ!!

ざわざわざわざわ・・・・・

青海成が裏口から、フードを被ってサリウス・ペンダンテを荷馬車で送り
数分経ったとき。
城では、王が輝とルージャの関係について疑問を感じていた。
そんなときだった……

外が騒がしく様子を知った輝の近侍が説明をしにくる。

大変です!!輝様、至急外へ…………
魔王様を捕獲したと兵士が報告に参りました。

ま、魔王様ってあの魔王様か・・・!

緊急事態だ。
輝、様子を見にいってこい・・・

はい!!

こちらです!!

輝は近侍と共に外へ行き様子を見に行ったあと、牢獄で捕え
魔王様の顔を遂に知る。

とりひきをしないか?ルージャ殿……
そなたは輝のことが好きなのだろう?
だが輝にはシアン姫という婚約者がおる。
そなたらの愛がホンモノであれば
私が手をまわしてやらんでもない

どうして、国王陛下が
そこまで私達のためにしてくれるのですか?

私は、シアン姫に惚れている。これだけで理由は十分なはずだ

ルージャは、国王の一言に驚きを隠せなかった…
そして同時に輝も牢獄で魔王様の正体を知り驚愕

君が・・・魔王様だったのか・・・・・

つづく

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水樹

最初に絵を描き始めたのは小学生の頃でした。 それから、自分の世界観を文字におこしたり、絵にするのが趣味になっています!!

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