一般的には「夏のスポーツ」と思われがちだが、本当にいい波が立つのは冬の日本海だ。
夏に海へやってくる連中の多くは、いわゆる丘サーファー。本気で波と向き合っているサーファーも夏場に海へ行くが、日の出前に波を乗り、朝のうちには引き上げていく。それこそが本当のサーファーだと僕は思う。
夏の昼間に海へ行くのも悪くはないが、200人もの人間がずらりと並んで波待ちをしている光景は、とてもサーフィンどころではない。サーフボードに穴を空けられるリスクも高まる。波に揉まれたときは、少し時間を置いてから海面に顔を出さなければ怪我をするし、実際にボードのノーズが頭に当たって血を流している者も見かける。最悪の場合、命を落とすことだってある。
中でも一番悲惨なのは、テトラポットの奥へ吸い込まれてしまう事故だ。一度巻き込まれれば、二度と出てくることはできない。残された家族は諦めるほかないのだ。
秋を迎えると水温が下がり始め、海から人は半分ほど消える。夏場はラッシュガードと海パン、レンタルボードで手軽に楽しんでいた層が、ウェットスーツが必要になる季節を迎えると姿を消すからだ。結果として海は空き、心から気持ちよく波乗りができる環境が整う。
サーフィンには「ワンマン・ワンウェイブ」というルールがある。一本の波に対し、最も早くピークからテイクオフした者だけがその波を優先して手に入れられる。十分な距離があれば、隣の波で別のサーファーがそれぞれのラインを描く。そうして静かに波を楽しむのだ。
冬になると、人影はさらに疎らになる。ガラ空きの海で自分の好きな波を心ゆくまで選べるのは最高だが、レベルが上がるにつれてギアへのこだわりやウェットスーツ、ボードの数も増え、相応の費用もかさんでいく。それでも、雪が舞う冬の日本海で上がる波を求めて車を走らせる。燃料代を惜しんでいる場合ではない。
春になれば、日本海であろうと太平洋であろうと、良い波を求めてどこまででも遠征する。それがサーファーというものだ。
最近少し身体が重くなってきたこともあり、僕は再びサーフィンを復活させることにした。
さあ、また気合を入れて攻めていこう。
