子どもの食と栄養

内容 食生活の意義や栄養に関する基本的知識を学び、子どもの発育・発達と食生活の関連について理解を深める。食育の基本とその内容を理解し、家庭や児童福祉施設における食生活の現状と課題について学ぶ。

Check! 重要事項

1.子どもの栄養の特徴

 ⑴子どもの発育はめざましいため、多くの栄養素が必要である。

 ⑵消化機能が未発達なので、食事の回数が多い。

 ⑶先天性免疫が生後6ヶ月ぐらいで減少するので、幼児期までは感染に対する抵抗力が非常に弱い。

 ⑷発達段階に合わせた食物の形態や、望ましい正しい食習慣を身につけさせることが大切である。

2.栄養に関する基本的知識

 ⑴炭水化物

   1g当たり4kcal。消化されやすいブドウ糖、果糖、ガラクトース、麦芽糖、ショ糖、乳糖、でんぷん、グリ       コーゲン等と、難消化性の食物繊維がある。

 ⑵脂質

   1g当たり9kcal。脂肪酸とグリセリンからなる単純脂質と、リンや糖、タンパクがついた複合脂質、ステロール類がある。

   不飽和脂肪酸の中のEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)は、冠動脈硬化の進行を予防し、抗アレルギー作用を持つ。DHAは脳や目の発達に欠かせない。

 ⑶タンパク質

   アミノ酸からなり、身体の構成成分である。1g当たり4kcal。イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン等、人体で合成されない9種類の必須アミノ酸がある。アミノ酸だけでできている単純タンパク質と、核酸や色素などがついた複合タンパク質がある。

 ⑷無機質

   骨や歯などの硬い組織や、筋肉、臓器、血液などの軟らかい組織を作る成分となる。カルシウム、リン、マグネシウム、イオウ、ナトリウム、塩素などがある。

 ⑸ビタミン

   脂溶性のビタミン(A、D、E、Kなど)と水溶性のビタミン(B₁、B₂、Cなど)があり、ほかの栄養素を助け、重要な生理機能を果たしている。

3.栄養素の消化

 唾液、胃液、膵液、小腸粘膜の酵素によって消化される。

 消化液  分泌場所  消化酵素名  作用
 唾液  口腔 唾液アミラーゼ  でんぷん→デキストリン、麦芽糖
 胃液  胃   ペプシン

 タンパク質→プロテオース、ペプトン

 膵液  十二指腸

トリプシン・キモトリプシン

カルボキシペプチターゼ

膵アミラーゼ

膵リパーゼ

コレステロールエステラーゼ

プロテオース、ペプトン→ポリペプチド

ポリペプチド→ジペプチド、アミノ酸

でんぷん→麦芽糖

脂肪→モノグリセリド、グリセリン、脂肪酸

コレステロールエステル→コレステロール、脂肪酸

腸液 小腸粘膜

マルターゼ

スクラーゼ

ラクターゼ

アミノぺプチターゼ

ジぺプチターゼ

麦芽糖→ブドウ糖

ショ糖→ブドウ糖、果糖

乳糖→ブドウ糖、ガラクトース

ペプチド→ジペプチド、アミノ酸

ジペプチド→アミノ酸

4.食事摂取基準

 国民の健康維持・増進、エネルギー・栄養素欠乏の予防、生活習慣病の予防を目的とし、エネルギーおよび各栄養素の摂取量の基準を示す。2020年版の「日本人の食事摂取基準」(厚生労働省)は、2020年4月から2025年3月まで用いられる(令和2年度~令和6年度)。

5.献立のたて方

 「日本人の食事摂取基準」を目安として、「6つの基礎食品」から食品を組み合わせ、対象となる人の体格や運動量などに適した献立をたてる。

献立作成上の留意点

①幅広い範囲から食品を選ぶことによって、必要な栄養素を摂取でき、味覚を発達させることができる。

②嗜好や調理法を考え食事に変化をつける。毎日の食事作りが負担になり過ぎないように気をつける。

③季節感を持たせ、経済性をつける。

④食品の安全性を考慮する。(食中毒・輸入農作物のポストハーベスト(収穫後)農薬・環境汚染化学物質など)

6.食生活指針(一部抜粋)

・食事を楽しみましょう。

・1日の食事のリズムから、健やかな生活リズムを。

・主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。

・ごはんなどの穀類をしっかりと。

・野菜、果物、牛乳・乳製品、豆類、魚なども組み合わせて。

・食塩や脂肪は控えめに。

・適正体重を知り、日々の活動に見合った食事量を。

・食文化や地域の産物を活かし、ときには新しい料理も。

・調理や保存を上手にして無駄や廃棄を少なく。

・自分の食生活を見直してみましょう。

(平成12年3月 文部省(文部科学省)、厚生省(厚生労働省)、農林水産省)

7.妊娠期の栄養

 妊娠中の母体の健康状態や不適切な食生活は、胎児の発育に影響を及ぼす。個人差があるが、つわり・貧血・妊娠中毒症などふだんとは異なる症状が出てくるので、状況に応じて対応する。

 妊娠期の栄養は、成人女子の食事摂取基準に付加量を加える。エネルギーの場合は、初期+50kcal、中期+250kcal、末期+450kcal。

 飲酒→胎児性アルコール症候群(発達障害などの先天異常児)の子どもが生まれる可能性がある。

 喫煙→出生時の体重が低くなる傾向がある。

 薬剤・感染症→妊娠中の服薬や感染症で、胎児が影響を受け、奇形など先天異常児が生まれる可能性がある。

 レントゲン撮影→放射線の被爆により胎内死亡することがある。

8.胎児期の栄養

 胎児は、成長に必要なすべての栄養素を胎盤を通して母体からもらい、直径0.1㎜の受精卵が、妊娠40週で身長は50㎝、体重は3,100gに成長する。

9.乳児期の栄養

 出生時の体重は1年間で9㎏と約3倍になり、身長は約75㎝と約1.5倍になる。生後5か月頃までは乳汁で栄養を摂り、その後離乳食を少しずつ増やしていく。

 授乳婦のエネルギー付加量は +350kcal。

⑴母乳栄養

 母乳は、分娩後、脳下垂体から分泌されるホルモン、プロラクチン(乳汁分泌ホルモン)とオキシトシン(射乳ホルモン)によって分泌されるようになる。

 分娩後3~5日間に分泌される初乳は、感染抑制作用のある免疫グロブリンや、抗菌物質であるラクトフェリン、リゾチームなどが含まれているので新生児にぜひ飲ませたい。

母乳栄養の利点

 ①乳児に最適な成分組成で少ない代謝負担。

 ②感染症の発症及び重症度の低下。

 ③母子関係の良好な形成。

 ④出産後の母体の回復の促進。

 ⑤人工栄養児に比べ肥満となるリスクが低い。

 ⑥2型糖尿病の発症リスクが低い。

(平成19年3月14日 厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」)

母乳栄養の問題点

①ビリルビンが血液中にたまり、黄疸が通常より長く続くことがある。

②血液凝固に必要なビタミンKが不足し、頭蓋骨内出血を起こすことがある。ビタミンKのシロップを投与する。

③AIDSウイルス、成人T細胞白血病ウイルスなどは、母乳を介して感染することがある。

④薬剤、アルコール、タバコのニコチン、ダイオキシンなどの内分泌かく乱化学物質(環境ホルモン)も母乳に移行するので注意が必要である。

⑵人工栄養

 母乳の代用品として、調製粉乳がある。調製粉乳は母乳の栄養に近づけ、不足しがちな栄養素を添加し品質が良くなっている。普通の育児用粉乳のほかに、低出生体重児(未熟児)用・アレルギー用・先天性代謝異常用などがあり、乳児に適したものを与えるとよい。

⑶混合栄養

 母乳不足や母親が就業しているため授乳できないとき、母乳に人工乳を補って与える。仕事の合間に搾乳することができれば、長く母乳をえることができる。

10.離乳期の栄養

離乳期の栄養は、「エネルギー源(主食)」「たんぱく質源(主菜)」「ビタミン・ミネラル源(副菜)」の3つのグループをバランスよく組み合わせることが大切です。

生後5〜6か月頃になると母乳やミルクだけでは鉄分などの栄養が不足するため、食事からの摂取が必要になります。

基本の3大栄養グループ

  • エネルギー源(炭水化物): おかゆ、うどん、じゃがいもなど。体を動かし、脳や筋肉を育てる基本の栄養です。
  • たんぱく質源: 豆腐、白身魚、卵、乳製品、肉類など。血や筋肉を形作ります。内臓に負担をかけないよう少しずつ進めます。
  • ビタミン・ミネラル源: 野菜や果物など。体の調子を整え、栄養の代謝や吸収を助けます。特に不足しやすい鉄分や亜鉛も意識して取り入れましょう。

進め方のポイント

  • 初期(生後5〜6か月頃): 10倍がゆのすりつぶし小さじ1杯から始め、慣れたら野菜や豆腐を少しずつ増やします。万が一の際に病院へ行けるよう、平日の午前中に与えるのがおすすめです。
  • 中期・後期以降: 1日2回、3回と回数を増やし、歯ぐきでつぶせる固さ(バナナ程度)へと段階的にステップアップします。

11.幼児期の栄養

 幼児期の栄養は、1日3回の食事と「第4の食事」である間食を組み合わせて、バランスよく多様な食品からエネルギーや不足しがちなしっかりとした栄養素(鉄やカルシウムなど)を補うことが大切です。

幼児期に必要な栄養のポイント

食事の環境: テレビを見ながらではなく食べることに集中し、家族と一緒に楽しく食べることで食習慣とマナーを身につけます。

食事量と回数: 胃がまだ小さく一度に多くを食べられないため、3回の食事に加え、1日1〜2回の間食(おやつ)で栄養と水分を補います。

積極的にとりたい栄養素: 骨や歯を作るカルシウム(牛乳・乳製品・小魚など)、脳や体の成長に大切な鉄分、体の基礎となるたんぱく質を意識しましょう。

薄味と柔らかさ: 大人と比べて内臓や味覚、咀嚼力が未熟なため、薄味を心がけ、食材の大きや硬さを子どもの発達に合わせます。

⑴幼児の食事行動

幼児の食事行動には、遊び食べや偏食、集中できないといった発達過程特有の特徴が見られます。

幼児の食事行動の特徴と理由

  • 遊び食べ:手で食べ物を触ったり潰したりする行動は、食への関心や自分で食べる意欲の表れです。
  • 集中時間の限界:子どもが集中して食事をできるのは10分〜15分程度で、それ以上になると飽きやすくなります。
  • 偏食やむら食い:日によって食べる量が変動したり、特定の食材を嫌がったりするのはよくある成長のステップです。

食事環境づくりのポイント

  • 正しい姿勢:足の裏が床(または足置き台)にしっかりつき、机に手をついたときに肘が自然に曲がる高さに椅子を調整します。
  • 集中できる環境:食事の前にテレビを消し、おもちゃを片付けて視界に入る刺激を減らします。
  • 適切な時間設定:食事時間は30分程度を目安とし、食べない場合は無理強いせず切り上げます。

⑵幼児の食事摂取基準

 幼児の食事摂取基準は、1〜2歳(幼児期前半)と3〜5歳(幼児期後半)に分かれており、1日のエネルギーや栄養素の目安が示されています。

1〜2歳児の1日あたりの目安(例)

  • エネルギー: 男児約950 kcal、女児約900 kcal
  • たんぱく質: 15〜20g
  • カルシウム: 男児約450mg、女児約400mg
  • 鉄: 4.0mg

3〜5歳児のポイント

間食の活用: 3回の食事に加え、足りない栄養や水分を補うために間食(補食)を1日1〜2回取り入れます。

食事量: 大人の約2/3の量が目安ですが、胃が小さいため1回にたくさん食べられません。

⑶間食

  間食(かんしょく)とは、朝食・昼食・夕食の3回の食事以外に摂取する飲食物のことです。一般的に「おやつ」とも呼ばれ、気分転換や生活の潤い、あるいは不足しがちな栄養素を補うという大切な役割を持っています。

「間食=太る」というイメージが強いですが、量、時間、内容の3つを意識すれば、ダイエットや健康維持の心強い味方になります。


💡 失敗しない間食の3大ルール

「次の食事の2〜3時間前」までに済ませる
間食のせいで次の食事が食べられなくなっては本末転倒です。消化にかかる時間を考えて、次の食事としっかり間隔を空けましょう。

目安は1日200キロカロリーまで
農林水産省の「食事バランスガイド」でも、菓子・嗜好飲料の目安は1日200kcal程度とされています。

太りにくい時間帯は「15時頃」
1日の中で最も脂肪をため込みにくい時間帯は午後3時(15時)頃です。逆に、夜遅くの間食は活動量が減るため体脂肪になりやすく、避けるのが賢明です。

⑷虫歯

 虫歯(むし歯)とは、口の中の細菌が食べ物の糖分から酸を作り出し、歯の表面が溶かされてもろくなる病気です。

虫歯の進行度(C0〜C4)

虫歯は進行具合によって5つの段階に分かれています。

  • C0(初期):歯が白く濁る程度で、痛みはありません。フッ素や丁寧な歯磨きで自然治癒を目指せます。
  • C1・C2(軽度〜中等度):エナメル質や象牙質が溶けて穴が空きます。冷たいものがしみることもありますが、痛みがない場合もあります。削って詰め物をする治療が必要です。
  • C3(重度):神経まで細菌が達し、激しい痛みを伴います。神経を抜く根管治療が必要です。
  • C4(最重度):歯の根っこしか残っていない状態で、抜歯が必要になることが多いです。

予防と対策

定期検診:痛みがなくても、3〜6か月に1回は歯科医院でチェックを受けます。

毎日のケア:歯ブラシだけでなく、デンタルフロスや歯間ブラシを使って汚れを落とします。

フッ素の活用:フッ素入りの歯磨き粉を使って歯の質を強くします。

食習慣:ダラダラ食べを避け、口の中が酸性になっている時間を短くします。

⑸カウプ指数とローレル指数

カウプ指数とローレル指数は、子どもの発育や肥満度を評価するための体格指数です。

カウプ指数

  • 対象年齢: 生後3か月から満5歳ごろまでの乳幼児
  • 計算式: \(\text{体重 (g)} \div \text{身長 (cm)}^2 \times 10\) (または \(\text{体重 (kg)} \div \text{身長 (m)}^2\) で、大人のBMIと同じ値になります)
  • 標準の目安: おおよそ 15〜18 (年齢により多少異なります)
    • 13未満:やせ
    • 15〜18未満:正常(標準)
    • 20以上:肥満

ローレル指数

  • 対象年齢: 学童期(おもに小学生・中学生、6歳〜18歳ごろ)
  • 計算式: \(\text{体重 (kg)} \div \text{身長 (cm)}^3 \times 10,000,000\) (身長を3回掛けたもので体重を割り、1000万を掛けます)
  • 標準の目安: おおよそ 115〜145 (中央値は130前後)
    • 100未満:やせすぎ
    • 115〜145:標準
    • 160以上:太りすぎ

⑹食育の5項目

 保育所における食育の5項目(5つのねらいおよび内容の柱)は、「食と健康」「食と人間関係」「食と文化」「いのちの育ちと食」「料理と食」です。

食育の5項目

料理と食:調理や栽培などの体験を通して、食への興味や関心を育てる。

食と健康:健康な心と体を育て、自らが健康で安全な生活を作り出す力を養う。

食と人間関係:他の人々と親しみ、支え合うために自立心を育て、人と関わる力を養う。

食と文化:日本の伝統的な食文化や季節の行事、地域の食に親しむ。

いのちの育ちと食:食べ物が「いのち」であることを知り、自然の恵みや命、作ってくれる人に感謝する。

⑺糖尿病とは

インスリンの働きが不足して血液中の糖分(血糖値)が高くなる慢性疾患です。

糖尿病の主な原因と種類

  • 1型糖尿病: 膵臓の細胞が壊れ、インスリンがほとんど出なくなる(若年ややせ型に多い)
  • 2型糖尿病: 生活習慣や遺伝的要因によりインスリンが出にくくなる、または効きにくくなる(中高年や肥満傾向の方に多い)
  • その他の原因・妊娠糖尿病: 他の病気や薬剤、妊娠時のホルモンバランスの変化などが引き金となる

症状と合併症

  • 初期の兆候: 進行するまで自覚症状がないことが多いですが、進むと強い喉の渇き、頻尿・多尿、疲れやすさ、急な体重減少などが現れます。
  • 慢性合併症: 放置すると血管が傷つき、失明につながる網膜症、人工透析が必要になる腎症、手足の痛みや壊疽を招く神経障害の三大合併症を引き起こす恐れがあります。詳しい情報は糖尿病情報センターも確認できます。

治療と対策

  • 基本の3本柱: 食事療法、運動療法、必要に応じた薬物療法(内服薬やインスリン注射)を組み合わせて血糖コントロールを行います。
  • 早期発見: 年に1回は健康診断でHbA1cなどの数値を確認し、異常があれば早めに医療機関(内科や糖尿病専門外来)に相談することが重要です

 自分の意見

 子供の人権のために、食育や糖尿病知識、歯の健康を大切にしたいと考えた。

 

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左海

よろしくお願いいたします。

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