TSS #13-3

THRILL SHOCK SUSPENSE #13

2024年4月  変わらない評価を受ける名作推理ADVを紹介  愛及屋烏

PS 金田一少年の事件簿 悲報島 新たなる惨劇

PS 金田一少年の事件簿 地獄遊園殺人事件

SS 金田一少年の事件簿 星見島 悲しみの復讐鬼

PS 金田一少年の事件簿 青龍伝説殺人事件

Continuation from last page. 13-2 https://no-value.jp/column/39386/

金田一少年の事件簿 星見島 悲しみの復讐鬼

概要

正式タイトルは『金田一少年の事件簿 星見島 悲しみの復讐鬼』。

『金田一少年の事件簿』を題材としたアドベンチャーゲーム。

特徴として、他のアドベンチャーゲームとは違い、プレーヤー自身が犯人となって金田一一に犯行がバレないように完全犯罪をやり遂げるのが目的の異色作。

犯罪を前面に押したゲームの為か、パッケージ裏・取扱説明書・本編冒頭では注意書きがされている。

この作品は、犯罪を助長するゲームではなく、『金田一少年の事件簿』の世界を舞台に推理トリックを楽しむゲームです。

主人公が犯人という「誰にも気づかれずに殺人を実行する緊張感」は他のゲームでは味わえない独自の色を出しているが、それ故にゲームの難易度は高め。

ターゲットの探索、殺害方法、トリック、逃走の仕方と事件に関わる全ての事を自分で計画しなければならず、少しでも手順を間違えたり、不審な行動をしてしまったら金田一に気付かれてしまい、そのままエンディングを迎える事になる。

本ゲームには、主人公による殺害シーンやお色気要素があるにも関わらず何故か「全年齢対象」。                                             今だったら確実に対象年齢が引き上げられるか、発売自体が難しいであろう。

犯人たちの事件簿で描写される、金田一の恐ろしさや犯人側の苦労をこれでもか、と味わえるゲーム。

あらすじ・3

人気アイドル「桂木なお」と所属事務所の社長の息子「辰巳伸也」との密会写真がスキャンダルされてしまった。

この事でマスコミは加熱し、それが元で「辰巳伸也」が自殺。

桂木なお」やマネージャの「立花由布」は世間からは厳しく冷たい声が続き、しばらくして「立花由布」が自殺をし、「桂木なお」は失踪してしまう。

しかしこのスキャンダルの全ては彼女を陥れるために仕組まれたものだった。

阿佐桐卓也」は婚約者である立花由布を奪った人物たちへの復讐の為に…                                               「桂木なお」は2人の弔いと自身を陥れた人物たちへの復讐の為に…

真犯人への復讐を誓う2人の怪人を生み出した。

そして星見島のツアーで開催されるレジャー施設で陰謀がひしめく。

シナリオ

本作は推理ゲームになるのだが、主人公は犯人側に立つので「いかに犯行を行うか」「いかに犯人と疑われないか」と犯罪の謎を解き犯人を推測するのではなく、犯罪を遂行し探偵の目を欺くのに焦点が置かれている。

主人公のモノローグ以外は全編フルボイスでかなりのボリュームがある。

この他、おまけシナリオとして「金田一編」があり、その内容はパロディで、あまりにもぶっとんだギャグ調のものになっている。ただし本編の内容の暗さを吹き飛ばすような明るさのため、ある意味救いのあるシナリオでもある。ちなみにテキストのみで、グラフィックや音声はない。

アドベンチャーモード

金田一一や仲間たちに怪しまれないように犯行を実行し、注意を払い、犯罪トリックを計画し、それに使えそうな道具を探す事になるが、何処かで間違えると犯行がばれてしまったり、逆に真犯人に殺されてしまったり、無関係な人を巻き込んでしまいゲームオーバーになる。

そして真面目に実行するのから突拍子もないお遊びまで自由度の高い選択肢があり、それによって様々なバッドエンドになり、色々楽しめる要素なのだが、しかしどちらを選んでも展開に変化がない選択肢もあり、中には何回も選択肢を選ばせる、くどい展開も存在する。

リアルタイムサスペンスモード

アドベンチャーモード合間に挿入されるモードで主人公を操作して、犯行を行ったり、逃走したりと溢れる緊張感の中で主人公をうまく操作し冷静かつ速やかに計画を実行する事が求められる。

犯行が失敗したり見つかったりすると、即ゲームオーバーになったり今後の展開が変わったりする。

金田一少年の事件簿 青龍伝説殺人事件

概要

PSの金田一シリーズの第三弾であり、最終作。

システム周りは過去作を踏まえて、地獄遊園と同様に推理パート直前でセーブが可能等、親切になった。

サウンド制作はシャ乱QのHATAKE。                                                                ハイテンションなギターサウンドがゲームを盛り上げる。

アニメ制作はプロダクションIGが担当のフルデジタル。

更に、ADV3篇、テキストノベル1篇と複数のシナリオが用意されている。全体的に3D形式は少なめ。

難易度の低さとシナリオの微妙さが残念、というのが主流の評価だが金田一らしさ、金田一として難事件に挑む、実感は出ている。

あらすじ・4

海と山にかこまれた「竜ヶ崎温泉郷」。

その自然の中に建設された、高級リゾートホテル「青龍ホテル」に招待された金田一と美雪。

ウキウキ気分のふたりだが、天候は運悪く雨。気を取り直し青龍ホテルまで繋がっているロープウェーに乗り込む。

そこには同じくホテルへ向かうフリーライターの田中と、OLの相原が居た。

そこで金田一は田中から興味深い話を聞く。

田中によると、昔、この土地を襲った飢饉を、出雲の国から訪れた聖が、青い龍を呼び出し救った。という伝説が伝わっているという。

そして、何らかの財宝が眠っているという噂もあるという。                                          なにかを予感する金田一。

ホテルでは古くから伝わる財宝伝説を巡る凄惨な連続殺人が待ち構えていた。

やがて、事件はホテルに留まらず周辺の登山列車、遊覧船へと派生していく。

青龍伝説とは何か!?本当に財宝は存在するのか!?

事件を陰で操る、真犯人の目的とは―⁉

事件概要

1. 青龍ホテル殺人事件

建築途中の1F~10F以外のスイートである11Fより上が事件の舞台となる。                                   ホテル内の移動は前々作、前作に続くウィザードリィの様な3Dでのマップ移動。

嵐の夜、閉ざされたホテルで二件の殺人事件が発生。

剣持警部と金田一の捜査の結果、犯人と目された人物は、ベットの上でナイフを胸に刺した状態で発見される。                                 しかも、遺体の傍にはこれ見よがしに爆弾が置かれていた。

金田一と美雪が部屋を飛び出した瞬間、部屋は遺体毎、爆破されてしまう。             

終わり方がバッドエンド風味だが、本当の意味での解決は『青龍伝説殺人事件』のパートに持ち越される。

2. 登山列車殺人事件

青龍ホテルでの事件の翌日、SLの登山列車に観光に来た金田一と美雪。                                     金田一は財宝の場所を知るには竜ケ崎の山頂に行く必要がある、という昨晩ホテルで殺されたライターの田中のフロッピーの中の文言が気になっていた。                                            

3D移動や画面表示のないノベルオンリーで展開される変わり種のシナリオ。BGMも無いガチ仕様。                                 トリック自体の難易度よりも人物や状況の把握を活字からしないといけないので、小説に慣れてないと難しい。

3. 遊覧船殺人事件

登山列車に続き、観光兼調査で遊覧船に乗りに来た金田一と美雪。                                         

閉鎖状況である遊覧船の上で連続して起きた二件の事件を解決するシナリオ。                                                                        お馴染みの明智警視も登場する。

背景に場面表示はあるが、任意での移動はない。キャラクターにボイスはあるが青龍ホテル編にあった口パクはない。この事件で使用されたトリックの種が後に漫画原作の方で凄い規模で使用される事になる。

4. 青龍伝説殺人事件

これまでの事件を踏まえた解答編であり、シナリオは短め。                                                殺人事件の総括だけでなく、悲報島や天草伝説の事件を彷彿とさせる、財宝探しにも触れる事になるパート。

後述

正直、自力でベストエンドに到達するのは可能だが、探偵ポイント等で満点を取るのは、攻略本があっても厳しい。

UI周りはまだまだ不親切な頃のゲームなので苦労するが、推理ADVである事や『金田一少年の事件簿』の作品である事によって、不便さすらある種の味として楽しむ事が出来る。

一連の作品はアニメ版と声優が違うのでファンである程、多少の違和感はあるが、ゲームシリーズ間では共通してるので割と慣れる。

既にレトロゲームの範疇だが、金田一になって事件を追う、という点においては今でも楽しいシリーズである。

END.

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愛及屋烏

ゲーム好き、小説好き、アニメ好き、三役揃いの物書きの端くれ。 ピンチに陥っても、それはそれで気楽にやるタイプ。 ●好きな言葉:続編・クロスオーバー・オールスター・アンサーソング・データ引継ぎ ●好きなゲーム:DQ・軌跡&イース・スパロボ・ゼルダ・神宮寺・逆裁・ラチェクラ ●好きなサブカル:ロボ全般・特撮全般・少、青年誌系 ●好きなドラマ:科捜研・相棒・CSI・キャッスル・十津川警部・赤い霊柩車 ●利用ソシャゲ:へプバン・ギアスロススト・Dr.STバトクラ・シンフォギアXD・スパロボDD・うたわれLF・ギター少女・勇者の飯 ●経歴:宮城出身、30代、なろう出版経験有 ●現在:脳梗塞療養にともないリハビリ&失業中

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