勇者は何度でも死ぬ

第一話 死

我々が住む世界とは、また別の世界。 そこでは四つの国が国境を接し、日夜、醜い小競り合いを続けていた。

だが、彼らが抱える問題はそれだけではない。深刻なのは、国境地帯に現れる「魔物」の脅威だった。跋扈する魔物たちのせいで、日々多くの犠牲者が出ている。それらを作り出し、統率する「魔王」がいるのだが、人間では逆立ちしても敵わないほどの圧倒的な力量差があった。

恐怖に駆られた人間たちは、魔王がいつか自分たちを滅ぼしにくると怯えていた。 絶望の中、人々が縋りついたのは、世界に伝わる一編の「勇者伝説」だった。 ――異世界から召喚された者が、この世界の問題をまるっと解決してくれる。

各国は必死になって召喚の方法を模索し、数年をかけてついにその術を突き止める。 そして四つの国は、ある厳格なルールを定めた。 『召喚は四カ国が順番に、一人ずつ行う。その勇者が死ぬまで、次の国は召喚を行わない』 すべての王がこれに了承し、国を挙げた大がかりな「魔王討伐計画」が始まった。

最初の一人目を召喚したのは、魔王の住処に最も近い国だった。 長い儀式の果て、魔法陣の中心に一人の男が現れる。召喚されたのは、ごく一般的な日本人男性だった。

「よくぞおいでになられました、勇者様。いきなりの頼みで申し訳ないのですが……この世界を救ってはくれませんか?」

そう請われ、男は困惑する。さっきまで自宅でゲームをしていたのだ。勝手にこんなところへ連れてこられて、そんな重い願いを聞く準備などできているはずもない。

「ここはどこだ? さっきまでゲームをしていたはずなのに、いつの間に……」

慌てる男を落ち着かせ、王たちは事の経緯を説明した。ここが異世界であること。あなたが選ばれた勇者であること。そして、世界を脅かす邪悪な魔王がいることを。

「つまり、その魔王ってのを倒せばいいんだな」 「その通りでございます、勇者様」

男は人一倍ゲームをやり込んでいた。それゆえ、説明されればこの状況をすんなりと受け入れることができた。

(要は〇×クエストとか、△□ファンタジーみたいな感じだろ? 余裕余裕!)

「伝説の勇者」という響きにすっかり調子に乗った男は、王から与えられた「そこそこの装備と路銀」を手に、旅に出ることとなった。 王たち人間側は、伝説を過信しすぎていた。 ――伝説の勇者なのだから、適当な装備でもなんとかできるに決まっている、と。

魔王城までは、この国から徒歩で一週間ほどの距離。だが、馬車を使えばその時間を大幅に短縮できる。早く終わらせてゲームの続きをしようと考えた勇者は、迷わずお金を払って馬車に乗り込んだ。

魔王城に最も近い、人類の開拓村へと到着する。ここから先は徒歩だ。 進む道中には、すでに壊滅して廃村となった場所がいくつもあった。凄惨な爪痕を目にしながらも、ゲーム脳の勇者は怯むことなく足を前に進めた。

少し進んだところで、ついに一匹の魔物と遭遇する。 人型ではあるが、身長は4.5メートルはあろうかという巨体。その片手には、血に汚れた無骨な鉈のような武器が握られていた。

「こいつが初戦の相手か! この勇者様がぶっ倒してやるぜ!」

意気揚々と走り出し、支給された剣で相手の足を切りつけた。

――ガキィィン!

激しい金属音が響いた。剣先が皮膚に当たった瞬間、まるで鉄塊にでも打ち付けたかのような衝撃が両腕を襲う。

「ぐっあ!?」

あまりの激痛に思わず剣を落とし、その場に膝をついて悶絶する。 見上げると、魔物の顔がニヤリと残虐に歪んだように見えた。人間をただの羽虫としか思っていない、圧倒的な捕食者の笑みだったと思う。

次の瞬間――勇者の視界はぐるりと回転し、首と胴体が切り離されていた。

「ひっ……!! あ、あぁ……っ!!」

男は、見慣れた自分の部屋で目を覚ました。 さっきまで異世界にいた記憶は、綺麗さっぱり消え去っている。自分が誰かに殺されたことすら覚えていない。

しかし、理由はわからないのに、体がガタガタと激しく震え、涙と冷や汗が止まらなかった。得体の知れない強烈な「恐怖」と「絶望感」だけが、胸の奥深くにべっとりと張り付いている。 男の心は、理由なきトラウマによって完全に壊れてしまった。

そう、この召喚術には、誰も知らない致命的な欠陥があった。 勇者が死んだ場合、元いた世界へ強制送還される。しかし、『異世界の記憶を失い、死のトラウマだけが残る』という最悪の仕様だったのだ。

最初の勇者は、何もなさぬまま一瞬で脱落した。 そして――何も知らない次の国が、二番目の勇者を召喚するための準備を始める。

第二話 処分

最初の一人目が何の情報も残さぬまま一瞬で姿を消し、実質的な「失敗」に終わったことで、四カ国には強い緊張が走っていた。 そんな中、二番目の国によって新たな勇者が召喚された。

魔法陣の中心に現れたのは、凄まじい威圧感を放つ大柄な男だった。一人目の失敗に沈んでいたその場の人々は、男の強そうな見た目に一縷の望みをかけ、歓喜の声を上げる。 「このお方なら……このお方なら、あの醜悪な魔王を討伐できるのではないか!」

勇者は言葉を発せず、鋭い眼光であたりを値踏みするように見渡していた。 「勇者様、どうかこの世界をお救いください」 王から涙ながらに懇願され、男は不敵な笑みを浮かべて渋々と首を縦に振った。国側は今度こそ失敗すまいと、前回の数倍に及ぶ最高級の装備と、莫大な旅費を男に与えた。

だが、男は伝説の勇者などではなかった。元の世界で裏社会を生きてきた、冷酷な犯罪者だったのだ。

旅に出るや否や、勇者は行方をくらませた。国から与えられた最高級の装備を闇市へ売り払い、それを元手に数々の違法行為に手を染めていく。男にとって魔王討伐など知ったことではなかった。有り余る資金と持ち前の狡猾さ、そして圧倒的な暴力で、男はわずか数ヶ月のうちに異世界の闇市場を裏から支配するに至った。

もちろん、国もただ手をこまねいていたわけではない。 この世界の召喚魔法には、召喚者が被召喚者の「位置とバイタル(状態)」を常に把握し続けられるという副効果があった。

国側は、勇者が魔王城とは真逆の歓楽街に居座り続けていることを把握していた。しかし、「闇のルートから魔王の弱点を探っているのではないか」「独自に軍資金を稼いでいるのではないか」と、勇者という存在を必死に信じ、好意的に勘違いして見守っていたのだ。

だが、それも限界だった。男が国を転覆させかねないほどの巨大な犯罪組織を築き上げたことで、ついに国は彼を「人類の敵」とみなした。

国最高の戦士と魔導師たちが集められ、勇者暗殺の密命が下る。 位置把握能力によって居場所は完全に筒抜けだった。ある夜、男が一人で部屋にいる瞬間を狙い、国の精鋭たちが奇襲を仕掛ける。

部屋の四方に張られた強力な結界により、男は自慢の腕力を振るう隙も、武器や魔法に手を伸ばす猶予すら与えられなかった。 「貴様ら、何の真似だ……っ!」 男の怒号が響くより早く、無数の魔法と刃がその肉体を貫いた。裏社会の覇者となった男は、国の本気の物量と魔法の前に、抵抗する術もなくあっけなく処分された。

――そして。 元の世界の薄暗い路地裏で、大柄な男がハッと目を覚ました。 異世界の記憶はすべて失われ、なぜ自分がここにいるのかもわからない。ただ、理由なき強烈な「死の恐怖」だけが魂に刻み込まれていた。かつて恐れを知らなかった巨漢は、ガタガタと震えながら、路地裏のゴミ溜めで幼児のように泣き喚くことしかできなくなっていた。

二番目の勇者もまた、何もなさぬまま脱落した。

そして何も知らない三番目の国が、冷酷な現実へと足を踏み入れる。 「二人目も失敗したか……。よし、三人目を召喚する準備を始めよ」

第三話 拒否

三人目の勇者として召喚されたのは、一人の若い女性だった。 「女性が戦えるのか」と、勇者としての資質を疑問視する声も上がったが、背に腹は代えられない。魔王の脅威が迫る中、この国にはもう彼女に縋るしか道はなかった。

「どうか勇者様、この世界をお救いください」 懇願する王たちに対し、しかし女性はきっぱりと言い放った。 「そっちの都合で勝手に呼び出しておいて、命を懸けろなんてそりゃないでしょ! 絶対に嫌です!」

想定外の強い拒絶に、王たちは扱いに困り、ひとまず彼女を王宮の一室に滞在させることにした。それから数ヶ月、国は何度も魔王討伐を頼み込み、あらゆる条件を提示したが、彼女の意思が揺らぐことは決してなかった。

そして、最後に説得を試みた日から数日が経った。 突如、王の一行が彼女の部屋へと押し入ってきた。 「な、何勝手に入ってきてんの? お呼びじゃないんですけど!」 声を荒らげる彼女に対し、王は一言だけ、冷淡に部下へ命じた。 「連れていけ」

有無を言わさず拘束され、地下牢へと引きずられていく。 「なんなのこれ! 離してよ!」 暴れる彼女を見下ろし、王は冷徹に言い放った。

「私たちはできる限りの説得をした。譲歩もした。だがそれでも行かないというのであれば、こちらも仕方のない選択をする。君にはここで働いてもらう。我が国には、魔王の脅威に怯えながら、寝る間も惜しんで戦っている兵士たちが何万といるのだ。彼らの『相手』をしてもらう。これはお願いではなく、命令だ」

あまりに理不尽な言葉に、彼女の顔から血の気が引いていく。絶望する彼女へ、王はさらに残酷な事実を突きつけた。

「君は我が国の正式な国民ではない。戸籍もなければ、君を心配する家族もこの世界にはいない。だから、君をどう扱おうが誰からも文句は言われないのだよ。君は最初から、そういう都合の良い存在だったんだ」

それから数ヶ月の間、彼女は地下牢で地獄のような日々を過ごすこととなった。

しかし、その奴隷生活も長くは続かない。 召喚魔法の副効果により、彼女の「位置とバイタル」を把握できるのは、召喚主であるこの国の王だけだった。他国は彼女の安否を知る由もない。

だが、彼女を生かし続けている限り、他国との取り決め上「次の国」が四人目の勇者を召喚することはできなかった。魔王の進撃は今も続いている。これ以上、彼女を慰安のためだけに囲っておく猶予はなかった。

「用済みだ。処分しろ」 王の冷酷な一言により、精神を病み、痩せ細った彼女はあっけなく処刑された。バイタルが完全に途絶え、彼女の肉体は元の世界へと強制送還される。

元の世界の自室で、彼女はガタガタと激しく震えながら目を覚ました。 異世界の記憶は綺麗に消え去っている。なぜ自分が泣いているのか、なぜ下腹部に凄まじい不快感があるのか、なぜ男性の影を見るだけで過呼吸になるのか、本人には全く分からなかった。ただ、魂に刻まれた筆舌に尽くしがたい「屈辱」と「恐怖」のトラウマだけが、彼女のこれからの人生を永遠に狂わせることになった。

うなだれる彼女の悲鳴など届かぬ異世界で、王は自室の机に向かっていた。 彼女の死を確認した王は、他国へ宛てた手紙に、さも無念であるかのようにただ一筆、こう書き記した。

『三人目の勇者、魔王討伐に失敗。戦死を確認した』

何も知らない四番目の国が、最悪のバトンを受け取ろうとしていた。

第四話 本物

四人目の勇者として召喚された男は、これまでの者たちとは違っていた。 強い正義感を持ち、それでいて努力家で慎重。勇者として申し分ない資質を備えた「本物」だった。「今回の勇者でダメなら、もう世界はおしまいだ」と、魔王城から最も遠い四番目の国は、総力を挙げて勇者に頼み込んだ。

「お願いします勇者様、この世界を救ってください」 正義に燃える勇者は、快くその願いを受け入れた。しかし、莫大な軍資金と最高級の装備を受け取っても、決して驕ることはなかった。

慎重な彼は、すぐに旅立つことはしなかった。国一番の剣士や魔導師に頭を下げ、剣の振り方から魔法の使い方まで、長い時間をかけて貪欲に泥臭く習得していった。さらに、近場にいる弱い魔物を相手に、実戦経験を着々と積み上げていった。

ただ、訓練の合間に見る街の様子だけが気がかりだった。 国民たちの顔は一様に暗く、まるで希望を失ったかのように生気がなかった。 (魔王の恐怖に怯えているのだろう。一刻も早く強くなり、彼らを救わねばならない) 勇者はそう自分を奮い立たせ、さらなる猛特訓に励んだ。

十分な実力を身につけた勇者は、ついに魔王城へと向けて出発した。 他国を経由しながら進む道中、ある街に立ち寄ったときのことだった。一人の男が勇者にすがりつき、「助けて……」とだけ言い残してその場に倒れ、そのまま動かなくなってしまった。

急いで病院に連れて行ったが、医師から告げられた死因は「餓死」だった。 なぜ魔王から遠く、安全なはずの国で餓死者が出るのか。勇者が愕然としていると、医師は諦めたような、どこか後ろ暗い目でぼそりと呟いた。 「……勇者様お一人を育てるために、国がどれほどの重税を課し、下層民の配給を止めたか、あなた様はご存じない」

勇者は激しい衝撃を受けた。自分が恵まれた環境で訓練に没頭している間、守るべき国民がそのせいで飢え死にしていたのだ。しかし、引き返すわけにはいかない。「魔王を倒さなければ、この犠牲がすべて無駄になる」と、勇者は悲壮な決意を胸に、先を急いだ。

かつて二番目の勇者が汚した混沌の跡地を抜け、三番目の勇者を慰安としてなぶり殺しにした国々の、どこか罪悪感の漂う空気を肌で感じながら、勇者はついに魔王軍の勢力圏へと足を踏み入れる。

魔王城の目前まで迫ったとき、行く手を阻むように大きな魔物が立ちはだかった。 身長は4.5メートルはあろうかという巨体。その片手には、血に汚れた無骨な鉈のような武器が握られている。かつて一人目の勇者を一瞬で屠った、魔王軍屈指の門番だった。

その圧倒的な威圧感に勇者は一瞬怖気付いたが、すぐに気持ちを立て直した。背負ってきた国民の命の重みが、彼の足を一歩前へと進めさせる。

「ここで、終わらせる……!」 勇者は果敢に斬りかかった。激しい金属音が響き、壮絶な死闘が繰り広げられる。全身に傷を負い、無事では済まなかったものの、これまでの厳しい訓練と本物の実力により、勇者は見事にその巨体を切り伏せ、勝利を手にした。

魔王城の内部へと突入する。 城内には様々な魔物がいたが、死闘を演じたあの「鉈持ちの門番」に比べれば、大した強さではなかった。息を切らしながらも魔物を退け、最奥へと突き進む。

そして勇者は、ついに重厚な扉を開け、世界の敵である「魔王」と対峙する――。

第五話(最終話) 勇者

「魔王! 一刻も早くお前を倒し、人々を幸せにするんだ!」 玉座の間へと踏み込んだ勇者は、会って早々そう啖呵を切った。 しかし、迎えた魔王は戦う構えすら見せず、静かに天を仰いだ。

「いきなりで悪いが、私は貴様と戦うつもりはない。そもそも私たちは、人間と争う気などさらさらないのだから」 予想外の言葉に、勇者は眉をひそめる。 「じゃあ、あの魔物に殺された人たちはどう説明するんだ!」

「それは人間が、我々を駆逐しようとしたからだ。魔物も生き物だ、殺されそうになれば抵抗もする。……この世界について何も知らない貴様に、歴史を教えてやろう」

魔王は力なく笑い、悲しい真実を語り始めた。

「もともとここは、我々魔物が住んでいた土地だった。そこに人間たちがずかずかと侵略してきて、勝手に自分の国を作り始めたのだ。争いを好まない我々は、彼らの存在を認め、様々な支援すらしたさ。だがその結果がこれだ。こちらを一方的に悪者に仕立て上げ、根絶やしにしようとしてくる。……どっちが本当に醜い悪魔か、貴様にだってわかるだろ」

さらに魔王は、冷酷な追撃を放つ。

「貴様の前、この世界に呼び出された3人の勇者たちがどうなったか知っているか? 一人目は適当に使われ、二人目は欲に溺れて国に消された。そして三人目の無力な少女は――国の兵士たちの慰安奴隷にされた挙げ句、口封じに殺されたのだよ。そして四人目の貴様は、国民を飢え死にさせて、その贅沢な装備を身に纏っている」

突きつけられた最悪の真実に、勇者の脳裏に、あの餓死した男の顔が、他国の不自然な後ろ暗さが、凄まじい濁流となって押し寄せた。 自分が命を懸けて守ろうとしていた世界は、とっくに救う価値などないバケモノだったのだ。正義という名の足場が、音を立てて崩れ去っていく。

「もう、すべてを終わらせてくれ……」 魔王は静かに勇者へと近づき、その胸に手を当てた。 「私には、人間を滅ぼす勇気がなかった。彼らの醜さを知りながらも、かつての情を捨てきれなかったのだ。だが貴様ならできるはずだ。……『勇者』なのだから」

魔王はすべての力を勇者へと譲渡した。役割を終えた魔王の身体は、光の粒子となって静かに消滅していった。

残されたのは、世界最強の力と、完全に崩壊した勇者の心だった。 もう、頭がおかしくなっていた。 勇者は魔王の力を行使し、自らの手で国を一つ一つ焼いて回った。強大すぎる魔王の力の前には、四つの大国を滅ぼすことなど、わずか数日あれば事足りた。

嫌なもの、見たくないもの、醜いもの、消し去りたいもの。 すべてを地獄の業火で焼き払い、後に残ったのは、灰にまみれた荒野と、勇者ただ一人だった。

「なぜ……こんなに心が傷つくのだろう……」 勇者は、薄々気づいていた。 召喚された私は、最初から勇者なんかじゃなかった。ただの、どこにでもいる人間だ。そんな人間がいくら勇者を演じたって、本物になれるわけがない。 本物の勇者なら背負えたかもしれない凄惨な罪も、ただの凡人である自分に背負いきれるはずがなかった。

凡人は、己の剣を抜き、自らの腹へと深く突き刺した。 すべてを壊してしまった凡人に取れる責任など、これ以外に思いつかなかった。

――血の海に沈んだ彼が、次に目を覚ましたのは、見慣れた元の世界の自室だった。 異世界の記憶は、綺麗さっぱり消え去っている。自分が国を滅ぼしたことも、腹を刺して死んだことも覚えていない。

ただ、理由もわからないまま、彼は下腹部に走る激痛にのたうち回り、自分が世界のすべてを破壊してしまったかのような、筆舌に尽くしがたい「罪悪感」と「孤独」のトラウマに、生涯苛まれることになった。

元の世界に戻った凡人の、その後の行方を知る者は、もう誰もいない。

(完)

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みき

気になったことを自分の意見も交えつつ記事にしていきます。 (内容は種類にこだわらずやっていきます)

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