『平和を守る力』について考えてみる

※このコラムは、戦争を勧めるものではありません。
どうすれば人々が安心して暮らせるのか、どうすれば争いを減らせるのかを、考えてみたいという内容です。

世の中には、『武器』という言葉を聞くだけで不安を感じる人もいると思う。
それは、とても自然な感覚だと思う。

誰だって、戦争より平和な世界の方がいい。
家族で食卓を囲める毎日。安心して眠れる夜。何気ない日常。
本当に大切なのは、そういうものだと思う。

だからこそ私は、『どうすれば平和を守れるのか』を現実的に考えることも大切だと思っている。

最近、日本では防衛装備を他の国へ移転できるようになった。
簡単に言えば、自衛隊が使う装備を、条件付きで他国と協力しながら使えるようになった、ということだ。

これについては、色々な意見がある。

『怖い』
『本当に大丈夫なの?』
『平和な国でいてほしい』

そう感じる人も多いと思う。

私も、平和であってほしいという気持ちは同じだ。

ただ、平和というのは、ただ願うだけで守れるものではない時もある。
雨の日に傘を持つように、病気を防ぐために手を洗うように、何かに備えることも、安心して暮らすためには必要になる。

私は、防衛装備も、本来はそうした『備え』に近いものだと思っている。

防衛装備の量産は、自衛隊を強くし、日本国民の負担を減らす

まず現実的な話をしよう。

現在の日本の防衛装備は高い。
なぜ高いのか。簡単だ。生産数が少なすぎるからである。

例えば戦車でも戦闘機でも護衛艦でも、研究開発費には莫大な金がかかる。
試作機を作る。テストをする。失敗する。改良する。安全性を確認する。
電子機器を開発する。ソフトウェアを書く。レーダーを開発する。エンジンを作る。

しかも防衛装備は「絶対に失敗できない製品」だ。
スマホアプリのように「バグがあったのでアップデートします」では済まない。

だから研究開発費は膨れ上がる。

だが、日本は長年、防衛装備をほとんど輸出してこなかった。
つまり、自衛隊しか買わない。
国内の限られた数しか作れない。

すると何が起きるか。

1台あたりの負担が異常に高くなる。

例えば1000億円かけて開発した兵器を10台しか作らなければ、単純計算で1台100億円分の開発費が上乗せされる。
しかし100台売れれば10億円になる。
1000台なら1億円だ。

これは民間製品でも同じだ。

車も、家電も、スマホも、半導体も、大量生産するから安くなる。
逆に、世界で10台しか売れないスマホがあったら超高額になる。

防衛装備も全く同じである。

つまり輸出によって生産数が増えれば、自衛隊が購入する価格も下がる。
同じ防衛予算でも、より多くの装備を配備できる。

さらに利益が出れば研究開発費も増やせる。

結果的に日本の防衛力は強化される。

そして、それは「戦争をする力」ではなく、「戦争を起こさせない力」になる。

強い国は狙われにくい

日常生活でも、安心して暮らすための備えはたくさんある。

家の鍵。シートベルト。火災報知器。防犯設備。

どれも『誰かを傷つけるため』ではなく、『危険を起こさせにくくするため』のものだ。

国の防衛も、考え方としては少し似ている部分がある。

十分な備えがあり、協力できる仲間がいて、簡単には危害を加えられないと思われる。
そうすると、争いそのものが起きにくくなる。

これを『抑止力』と呼ぶ。

つまり、本当に重要なのは『戦うこと』ではなく、『戦わずに済む状況を維持すること』なのだと思う。

戦車や戦闘機は、戦争を始めるための道具ではない。
「戦争をしたら危険だ」と相手に思わせるための道具でもある。

日本だけが『清潔』でいても世界は変わらない

ここで現実的な問題がある。

日本が防衛装備を輸出しなくても、世界の兵器市場は消えない。

世界では、多くの国が防衛装備を輸出している。

つまり、日本がやめても、他国がやるだけだ。

しかも、日本だけが輸出せず、研究開発費も少なく、国内生産も弱体化した場合、どうなるか。

最終的には外国製兵器を高額で買うしかなくなる。

つまり「兵器を作らない平和国家」になるのではない。
「他国製兵器に依存する国」になるだけだ。

さらに問題なのは、国内技術が失われることだ。

防衛産業は特殊だ。

ありとあらゆる先端技術が詰まっている。

実際、インターネットもGPSも、多くは軍事研究から発展した。

つまり防衛産業は「武器産業」だけではない。
国家の工業力そのものでもある。

日本が防衛産業を維持できなければ、技術者も減る。
工場も消える。
ノウハウも失われる。

そして有事になった時、「自国で作れません」となる。

それは本当に平和なのだろうか。

同盟国が同じ装備を使う意味

さらに重要なのが「共通装備」の存在だ。

もし日本と同盟国が同じ兵器を使っていたら何が起きるか。

弾薬を共有できる。
部品を融通できる。
整備ノウハウを共有できる。
通信システムを共通化できる。
合同演習がやりやすくなる。

つまり、同盟全体の防衛力が上がる。

例えば災害支援でもそうだ。
共通規格の装備を使っていれば、支援がスムーズになる。

日本の防衛装備については、まだ世界的に広く普及している段階ではない。
そのため、『日本製だから特別に優れている』と単純に言い切ることはできないと思う。

ただ、日本は島国として長いあいだ海上防衛や災害対応を重視してきたため、そうした環境に合わせた装備や運用の工夫は積み重ねてきた。

そして実際に、一部の装備や技術が海外で関心を持たれた例もある。

大切なのは、『どこの国の装備だから優れている』ではなく、それぞれの地域や目的に合ったものを、安全に協力しながら運用していくことなのだと思う。

そうした積み重ねが、結果的に地域の安心感につながっていくのかもしれない。

これもまた平和につながる。

『武器があるから戦争になる』は本当に正しいのか

ここで多くの人が言う。

「武器があるから戦争になるんだ」

しかし歴史を見ると、必ずしもそうではない。

むしろ「相手が弱いと思った時」に侵略は起きやすい。

例えば、警察がゼロの街を想像してほしい。

防犯カメラもない。
警察官もいない。
通報システムもない。

そこは平和になるだろうか?

おそらく逆だ。
犯罪者が増える。

なぜなら「反撃されない」と思うからだ。

国家も同じである。

防衛力とは、言わば国家レベルの警察力だ。

もちろん、だからといって軍事暴走して良いわけではない。
侵略戦争は絶対にダメだ。
民間人を攻撃するのも論外だ。

だからこそ、日本は輸出先を制限している。

侵略戦争を行う国。
テロ組織。
国際秩序を破壊する勢力。

そういう相手には輸出しない。

むしろ、日本と価値観を共有し、防衛目的で運用する国へ限定している。

これは無差別な武器拡散とは全く違う。

『備え』と『優しさ』は両立できる

世の中には、『備えること自体は悪いことではない』という考え方がある。

例えば、自転車に乗る時、ヘルメットをかぶる。
地震に備えて水や非常食を置いておく。
夜道では明かりを持つ。

それは『怖がっている』のではなく、『大切な人を守りたい』からだ。

国も同じで、人々の暮らしを守るためには、ある程度の備えが必要になる。

そして、その備えを支えるためには、技術や工場や働く人たちも必要だ。

高性能な機械。壊れにくい部品。精密な加工技術。

そうした技術は、防衛だけではなく、普段の生活や災害対策にも役立っている。

だから私は、防衛装備の技術を持つこと自体が問題なのではなく、『どのように使うか』が重要なのだと思っている。

防衛産業は災害時にも国を支える

日本は災害大国だ。

地震。津波。台風。豪雨。火山。

こうした災害時、自衛隊は極めて重要な役割を果たしている。

輸送機。ヘリコプター。護衛艦。
通信設備。レーダー。ドローン。

こうした装備は、防衛だけではなく災害救助にも使われる。

そして、それを支える企業群が日本国内に存在するからこそ、迅速な修理や改良が可能になる。

もし国内防衛産業が衰退していたらどうなるか。

部品が海外依存になる。
修理に時間がかかる。
有事に輸入が止まる。

つまり、防衛産業は平時の安心にもつながっている。

日本は『攻める国』より『守る国』向きである

日本の特徴を考えると、むしろ日本は防御技術との相性が良い。

日本では、海に囲まれた環境に合わせた技術や運用方法が発展してきた。

そのため、広い海域を監視したり、長期間安定して運用したりする考え方とは、比較的相性が良い部分があるのかもしれない。

これはある意味、日本らしい。

静かで見つかりにくい潜水艦。高性能レーダー。迎撃能力。精密制御。

そうした技術は、むしろ戦争を起こさせない方向へ機能する。

平和は『みんなで守るもの』

もちろん、本当に大切なのは争わないことだ。
話し合い。助け合い。文化交流。経済のつながり。

そういうものは、とても大切だと思う。

でも同時に、安心して話し合いができる環境も必要になる。

もし毎日不安ばかりなら、人は落ち着いて暮らせない。
だからこそ、『安心して暮らせる土台』を作ることも平和につながるのだと思う。

私は、防衛装備も、本来はそのために存在するべきだと思っている。

誰かを傷つけるためではなく、誰かを守るために。
戦争を始めるためではなく、戦争を起こさせないために。

平和とは『何もしないこと』ではない

私は、平和とは「何も持たないこと」ではないと思う。

平和とは、
「争いを起こさせない環境を維持すること」だ。

そのためには外交も必要。
経済も必要。
科学技術も必要。
同盟も必要。

そして現実問題として、防衛力も必要になる。

日本が防衛装備を開発し、同盟国と協力し、地域全体の抑止力を高める。

それによって「戦争したら損だ」と思わせる。

結果的に誰も戦争を始めない。

それこそが、最も現実的な平和なのではないだろうか。

島国ならではの強みという視点

日本は海に囲まれた島国だ。

この環境は、ときに不利に見えることもあるけれど、実は大きな強みでもある。

海を守るための技術。
長い海岸線を監視する仕組み。
物資を海から運ぶ力。
荒れた海でも安定して動ける船。

こうした工夫は、長い時間をかけて育ってきたものだ。

そして世界を見てみると、日本と同じように海に囲まれた国や、島をいくつも持つ国はたくさんある。

そうした国々にとって、日本で培われた「海を守るための装備」や「運用の知恵」は、役に立つ場面が多いと考えられる。

そのため、日本向けに考えられた装備や運用方法が、似た環境を持つ国々で参考になる可能性はあると思う。

これは、無理に売り込むという話ではなく、「似た環境で困っている人に、役立つ道具を届ける」という自然な形に近いのではないだろうか。

『売って終わり』ではない長い関係

もうひとつ大切なのは、防衛装備は一度売って終わりではないという点だ。

例えば船であれば、何十年も使い続ける。
その間には、点検や修理、部品交換、ソフトウェアの更新などが必要になる。

つまり、装備を導入したあとも、長いあいだ関係が続いていく。

その国の中で、修理できる体制を整える。
部品を保管する。技術者を育てる。安全に運用できるように支える。

こうした取り組みは、その国の安心にもつながるし、日本との信頼関係も深めていく。

そしてもうひとつ、見落とされがちな点がある。

もし同じ装備を使っている国同士であれば、いざという時に助け合いやすくなる。

例えば、遠くの港でトラブルが起きた時でも、似た装備を扱える場所があれば、点検や補給がしやすくなる。

これは特別なことではなく、普段からの協力の延長にあるものだ。

つまり、装備や技術を共有することは、『困った時に支え合いやすい関係』を少しずつ築いていくことにもつながるのかもしれない。

最後に

私は、戦争のない世界が理想だと思っている。

子供たちが安心して学校へ行き、家族でご飯を食べて、普通の日常を送れる。
そんな毎日が続くことが、一番幸せなことだと思う。

だからこそ、『平和を守るにはどうすればいいのか』を考えることは、とても大切なのではないだろうか。

備えること。助け合うこと。技術を守ること。信頼できる仲間を増やすこと。

そうした積み重ねが、結果的に大きな争いを防ぐ力になるのかもしれない。

平和とは、ただ願うだけではなく、多くの人が少しずつ支えながら守っていくものなのだと思う。

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イノベーター

半導体、機械学習、深層学習、AI技術などテクノロジーの調査、考察、見解を発信します。

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