『昭和のかがやき』へようこそ!
今回のテーマは「昭和の売り歩き(移動販売)」です。 昭和後期(1970〜80年代)、スーパーやコンビニが今ほど多くなかった時代、家で過ごしていると路地裏から独特の音色や威勢の良い呼び声が聞こえてきました。
音に誘われて玄関を飛び出し、小銭を握りしめて駆け寄った、あの懐かしい移動販売の風景を振り返ってみましょう!
1. チャルメラに豆腐のラッパ! 街に溶け込んでいた「独特の音」
昭和の街には、それぞれの売り歩きを象徴するトレードマークのような「音」がありました。
夕方になると聞こえてくる「パープー」という哀愁を帯びた豆腐屋さんのラッパの音。鍋を手に持ってお使いに走った思い出を持つ人も多いのではないでしょうか。
夜になると「チャララーララ、チャラララララー」と響くチャルメラの笛とともに現れる屋台のラーメン屋さんや、「いーしやーきーいもー」の呼び声とともに芳ばしい煙を上げる石焼き芋屋さん。その音色を聞くだけで、季節の訪れや時間の上昇を感じ取っていたものです。
2. 子どもたちが群がった! 「わらび餅」と「ロバのパン」
日中の路地に現れる移動販売は、子どもたちにとって移動する小さなパラダイスでした。
「わらびーもち、つめたくてー」の節回しでやってくるわらび餅屋さんは、大きな箱からぷるぷるのわらび餅をすくい、きな粉と黒蜜をたっぷりかけてくれました。モナカの皮に挟んで食べるスタイルも人気でした。
また、昭和40年代から50年代にかけて一世を風靡した蒸しパンの「ロバのパン屋」や、ポン!という大音量とともに香ばしいお菓子が出来上がる「ポン菓子屋」など、五感全体を刺激するワクワク感が街中にあふれていました。
3. 暮らしの困りごとを解決! 「竿竹屋」と「竿直し・刃物研ぎ」
食べ物だけでなく、生活必需品や修理を請け負う売り歩き職人たちも街を巡回していました。
「たけやー、さおだけー」の独特な節回しでトラックや大八車でやってくる竿竹屋さん。物干し竿を新調するお母さんたちの姿は、昭和の日常風景そのものでした。
さらには「包丁研ぎ」や「傘直し」、「金魚売り」や「鈴虫売り」といった季節の売り歩きまで。家から出なくても、向こうから暮らしに必要なものや季節の風物詩が歩み寄ってきてくれる大らかさと便利さが、昭和の街には存在していたのです。
おわりに
今の時代は、ネット通販やデリバリーサービスを使えば、指先ひとつで何でも静かに届く便利な世の中になりました。
でも、昭和の売り歩きには「音と匂いに誘われて人が集まり、店主と会話を交わすぬくもり」がありました。
夕暮れ時に響く音色、湯気の向こうの店主の笑顔、買い立てをその場で口にした美味しさ。 街のあちこちに響いていたあの賑やかな声や音は、昭和の暮らしを温かく彩る素敵なBGMだったのです。
