『昭和のかがやき』へようこそ!
今回のテーマは「昭和の里山」です。
昭和後期(1970〜80年代)、住宅街や集落のすぐ裏手には、人の手が入った温かい雑木林や田畑からなる「里山」が広がっていました。
季節の移ろいを肌で感じ、放課後の子供たちが夢中になって駆け回った、あの頃の「昭和の里山」の風景を振り返ってみましょう!
1. カブトムシの樹液と泥だらけの長靴! 季節の生き物探し
昭和の子供たちにとって、里山は図鑑の中の世界がそのまま飛び出してきたような「生き物の宝庫」でした。
夏の早朝、まだ薄暗い木々の中に足を踏み入れると、クヌギやコナラから甘酸っぱい樹液の匂いが漂ってくる。木の幹をじっと見つめ、大きな角をもったカブトムシやノコギリクワガタを見つけた瞬間の胸の鳴り響きは格別でした。
田んぼの用水路やため池には、オタマジャクシやトノサマガエル、ザリガニが溢れ、竹竿に糸を垂らしてスルメで釣り上げた思い出。泥だらけになりながら夢中で生き物を追いかける時間は、何よりの贅沢だったのです。
2. 折れた枝で作る秘密基地! 子供たちの冒険と遊び場
里山の中には、大人たちの目から離れた「子供たちだけの秘密の空間」がたくさん隠されていました。
大きな木の上に登って街を見下ろしたり、倒木や折れた竹、落ち葉を集めて作った「秘密基地」。駄菓子屋で買ったお菓子を持ち寄り、基地の中で集まって漫画を読んだり探検の計画を立てたりする時間は、大人へ一歩近づいたような誇らしさを感じさせてくれました。
山芋(アケビ)の果実やツツジの花のみつを吸い、木の実を投げ合って遊ぶ。身近な自然のすべてが、自分たちの手で生み出す最高の「おもちゃ」だったのです。
3. 薪拾いと山菜採り! 暮らしと自然が共生していた温もり
昭和の里山は、遊ぶ場所であると同時に、人々の日々の暮らしを支える大切な実りの場でもありました。
春になれば、家族や近所の人たちと山に入り、タケノコやワラビ、タラの芽などの山菜を採る。秋にはクリやアケビ、柿の実を収穫し、食卓に季節の恵みが賑やかに並びました。
お風呂のお焚き付けや薪ストーブのために落ち枝を拾ったり、落ち葉を集めて焼き芋を作ったり。人の手が適度に入ることで美しい景観が保たれ、人と自然が互いに支え合って生きる温かい循環がそこにはありました。
おわりに
現在の里山は、保全活動や観光スポットとして整えられた一方で、子どもの遊ぶ声が減り、自然との触れ合いも計画的な体験学習などに変化してきました。
でも、昭和の里山には「日常の延長線上に自然があり、五感を研ぎ澄ませて冒険と季節の恵みを味わう手触りのある自由」がありました。
樹液の匂い、ぬかるんだ土の手触り、秘密基地の木漏れ日。
放課後の夕暮れまで駆け回った昭和の里山の風景は、今も私たちの心の中で、生き生きとした冒険の記憶として輝き続けています。
