戦争との深い関係があった！広島風お好み焼きの意外な歴史

広島のお好み焼きは、小麦粉で作った生地にキャベツや肉、海老などを重ねて焼き、ソースやマヨネーズをかけて食べる料理です。麺も入っていて、とても食べ応えがありますよね。

広島といえば、2023年5月G7サミットが広島で開かれました。そこで広島風お好み焼きもふるまわれ、スナク英首相らから好評だったそうです。

実は広島のお好み焼きは、悲惨な戦争と復興の歴史から生まれた料理。その歴史と背景を知ることで、お好み焼きの味わいもより深まるのではないでしょうか。

今回は、そんな広島風お好み焼きの発祥とその歴史について、お話していくことにしましょう。どうぞ最後までお付き合いください。

お好み焼きの前身は「一銭洋食」

お好み焼きの歴史を調べると、その前身は「一銭洋食」というものに行きつきます。

一銭洋食とは、小麦粉を水で溶いて薄く焼いて、ネギや削り節などをのせて食べるものです。一銭洋食は、戦前にはおやつとして子どもたちに人気がありました。

名前の由来は、当時の価格で一枚あたり一銭（今でいうと約0.4円）だったからです。

一銭洋食は、小麦粉が安く手に入るようになったことや、西洋文化に憧れる人が増えたことなどが理由で広まりました。

戦後の焼け野原からお好み焼きが生まれる

しかし、太平洋戦争が始まり、戦局が悪化すると日本は食糧難に陥ります。原料である小麦粉も配給制になり、一銭洋食も作れなくなっていきました。

そして、1945年8月6日、広島市に原子爆弾が投下されました。これにより広島は壊滅的な被害を受け、約14万もの人が死亡。多くの人が負傷しました。街は焼け野原になり、8月15日の終戦を迎えました。

戦後、広島では復興のために人々が働き始めます。しかし、食料はまだ不足していました。

そんな中、日本を占領していたGHQからの配給物資であるメリケン粉（小麦粉）を使って作られたのがお好み焼きです。お好み焼きは、戦前作られていた一銭洋食を元にしていますが、キャベツや肉などを加える工夫をこらして栄養価を高めました。また、腹持ちをよくするために、麵を加える店も出てきました。

料理用の鉄板などが不足していたことから、船の鉄板や瓦などを使って焼いたりするといったこともあったようです。

「○○ちゃん」という店名が多い理由も戦争が関係していた

広島風お好み焼きは、戦後の復興期に広島市内の屋台で売られるようになりました。そうした屋台の店名には「○○ちゃん」という女性名がとても多く、目を惹いていました。

これは、戦争や原爆で夫を亡くした女性が生計を立てるために店を開いたことや、戦地から帰ってきた家族が見つけやすいようにしたことなどが理由だと言われています。

現在でも広島風お好み焼きには「○○ちゃん」というお店が多いですが、そのルーツにも戦争の影響があったのですね。

高度経済成長期に広島風お好み焼きは全国的な名物料理に

お好み焼きは、高度経済成長時代に入るとさらに進化しました。

• そばやうどんを入れるようになった。
• ソースやマヨネーズをかけるようになった。

広島のお好み焼きは次第に人気となり、「お好み村」というお好み焼き店が集まったビルもできたほどです。

こうして独特な進化をとげた広島風お好み焼きは、メディアや観光客にも注目されて、広島の名物として全国的に知られるようになりました。

おわりに　広島風お好み焼きが海外でも人気に！？

広島のお好み焼きは、戦争と復興の歴史から生まれた料理です。

一銭洋食から始まり、配給物資や工夫で作られた屋台料理から発展しました。今では広島風と呼ばれていますが、「風」ではなく「本場」と言えるほど独自の文化を築いています。

G7サミットでは、広島の名物料理として世界中に紹介されました。これから外国においても知名度が上がっていくことは間違いないでしょう。ロンドンでは、はやくも広島風お好み焼きが人気になっているという話も聞きます。

戦争の影響を受けて生まれた料理として、仙台の牛タン焼きと共通点があると私は思いました。牛タン焼きの歴史については以下の記事にまとめましたので、よろしければご覧ください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました！

☆参考サイト
実は戦争が深く関わっている！？広島風お好み焼きの歴史ークックドア
お好み焼き文化 / 広島お好み一番地公式ホームページ
広島県民のソウル＆パワーフード！お好み焼ーお好み焼きアカデミー
スナク英首相が語った「OKONOMIYAKI」　その感想は？ー朝日新聞digital
Ｇ７広島サミットで来日　英スナク首相とお好み焼きー広島ホームテレビ