『世界名作劇場』の家と間取り
「世界名作劇場」地上波時代のシリーズ(1975~1997)のうち、サブスクリプション解禁分作品の間取りを設定資料や本編から考察した本。一部背景美術の記載有。
自分自身は設定が記載されている作品に関しては「フランダースの犬」以外はすべて観ているが、昔の海外における家や建物の間取りを考える際、結構苦労があっただろうな、ということが伺える。一部著者の推測も含まれているが、大半は本編に沿って考察された間取りである。
ロケハンをした作品は現地で撮影した写真から書き起こしたり、そうでない作品は過去の取材や既存の資料から作成という形だった模様。資料のみであったとしても、かなり力を入れて美術設定がされていることがわかる。
ちなみにサブスク解禁分とは書いたが、未解禁分も地上波分に関しては設定資料の掲載がない形でコラムがあったりする。そこまでやるならBS分のシリーズも取り上げて欲しかったかもしれない(需要がないということか?)
愛じゃないならこれは何
恋愛をテーマにしたオムニバス。
個人的に一番印象的だった話は「ミニカーだって一生推してろ」。ファンに恋してしまうアイドルの話だが、主人公は自嘲気味に「なぜアイドルになる自分がファンに恋をしてしまうのか?」という自問自答が切ない。ファンには彼女がいるが、自分が奪ってしまおうか?と横恋慕と化する主人公。結末はファン側の男性が本来彼女にプレゼントするはずだったぬいぐるみを主人公にプレゼントするところで終わるが、これは主人公が仕組んだことである。
大半のファンとアイドルの関係はファン→アイドルだが、本作は正反対のパターンである。しかもこれはちゃんと理由が示されており、売れなかった時代の主人公の良さを一番最初に見ぬいたファンが彼だったわけだ。主人公の長所を見抜いた…というところがまさに重要で、主人公の破滅の始まりでもあった。
「健康的で文化的な最低限度の恋愛」といい、主人公が病んでいる話がやたらと多い連作集である。恋愛というものは健全ではない…ということを作者は伝えたかったということだろうか。
「健康的で~」も、想い人に依存する女性の話で体を壊すに至る。想い人の興味のない話についていくために、今までの趣味をやめる。主人公は自分が空っぽになっていくことを実感する。けれどもやめられない。まるで中毒症状のように。 自分だったら絶対やらない恋愛だなあ…とは思うけども、他のことがおざなりになっていくところはなんとなく理解できる。
恋愛は自分を犠牲することと相手に依存すること、という考えが本書のテーマであるかもしれない。
