以前別用途目的で書いた感想があり、今後掲載予定がないため最近読んだ感想の前に再掲する。
2025/01/06
古本屋と男二人という組み合わせで、どことなく同作者の「まほろ駅」のような雰囲気があったりする。ヒロインがいるけど恋愛関係ではないし(※既婚者)
自営業としての古本屋の様子が見えて懐かしい雰囲気を堪能できる。瀬名垣の親父が「せどり」だったのがまさしくそうなわけで。「せどり」は多分古本屋で買った本を別の古本屋に売ることなんだけど、当然好ましく思われないわけで。 番外編には盗品転売のエピソードもあって、本が好きな身としては心が痛い。
瀬名垣が本の価値を見抜いてしまった故に父親は古本の世界から撤退するわけだけども、瀬名垣自身は入れ替わるように古本の世界に入っていくわけで。本編時点で瀬名垣の親父は亡くなってるから、親父も親父なりに本が好きだったんだろうな。
対して真志喜の父親は真志喜の才能をよく思ってなくて、生存はしているがかなり関係が悪い模様。このあたりかなり対照的。愛されてたけど父親はもういない瀬戸垣と、父親は生存しているが愛されていない真志喜。この二人が幼馴染なのはなかなか業が深いですよ三浦さん。高校生の頃のエピソードを読むに二人の関係自体はよかったみたいで、ちゃんと関係が回復したのは安心した。
瀬戸垣と真志喜との縁も例の本の価値を見抜いたことからなのかなと。二人は普通に仲が良さそうだったんだよな。
最後に瀬戸垣が真志喜に店をちゃんと開こうと思うと告白するところが瀬戸垣の出した答えかな?
再読 2025/04/29
インターネット上の評価が「三浦しをん作品屈指のBL」ということで、そういう視点で読み直してみた。
真志喜の設定が美味しすぎるというか…中性的な顔に本好き。加えて瀬名垣はスモーカーで学生時代は不良。こりゃあ正反対だ。 正反対だからこそ二人の関係性が光るわけで、父親との関係に悩んでいた真志喜がラストで瀬名垣に親父のことはもう吹っ切れたみたいなことを言う。キラキラしてるな。
番外編も、主人公が教師で小説を書いているという設定というところが良い。
2025/10/22 再読2
改めて読んでも美しい話だ。
真志喜と瀬名垣の古本屋トークは読んでいてとても楽しい。書き下ろしにおいて真志喜は古本屋周辺に万引き犯が発生している、という話をしたが、それに怒る真志喜は本当に本が好きだな、と感じた。瀬名垣は最初は付き合いだっただろうけど、だんだん真志喜の気持ちを理解していったと考える。だからこそ本編のオチとこの番外編が成立する。
BL感があるという評がちらほら世間で見られるところは、真志喜と瀬名垣が正反対の青年同士でありつつも、二人が意気投合していくからだろう。ある意味少年漫画のフォーマットである。
前日譚を読むと、昔から二人は変わらないな、とも感じる。その昔からの腐れ縁が二人の魅力というか。
昔ながらの古本屋の情景が浮かんでくるところも非常にいい。初出が2001年ということもあり、ノスタルジーを感じさせる。イメージとしては神保町にあるような古本屋、だろつか。
文化としては割と短めの話で、本編+前日譚+書き下ろしの連作でもあるため、BL的な空気が苦手でなければ、古本屋という要素がすきな女性にはぜひ勧めたいと思う。
