なぜか一部で「レターパック」とセットでネットミームになっていたという変な理由で興味を持った。
与謝野氏は女が弱かった時代の「強き女」ともいえるべき存在だ。いわゆるワーキングマザーの身でありながら、日本におけるフェミズムの第一人者でもあるそうだ。当時あったステロタイプとしての「女性」を最も嫌った存在にも思えるし、現代にいたら間違いなくミソジニー派の人間とバトルになるであろう。
彼女が生きた時代は女性に投票権がないどころか、新聞・読書など知識を得ることすら許されていなかったそうだ。今は当時ほど女性が不遇ではない状態の一部は、与謝野氏が作り上げたものであるかもしれない。 彼女は女性こそ本を読もうという言葉をかけたが、読書が大切なのは文字の文化を持つ人類全員、特に教育に恵まれない人間に共通することであり、当時その対象が女性だったということだろう。
今もそこまで男性より女性が優遇されるわけではないが、彼女は女性がナメられないために活動していたところもあると考える。専業主婦に働けという考えさえもあったそうで、一部現代人の価値観に通じる強烈な考えでもあるな、と感じた。
1945年(終戦後)、女性に投票権が与えられるが、既に彼女は亡くなっていた(亡くなった時期は戦中)「与謝野氏は投票を経験することがなかった」という記述がもの悲しい。
同じフェミニストの著名人と話をしたときに、彼女は話がかみ合わないことがあったそうだ。いつの時代も同じく、似た思想を持つ人間であっても、中身はまるで違う、ということも結構あるようだ。
彼女は、女子校について悪い印象を持っていたが、理由としてはおそらく男性と教育を区別するなということだろう。性別に特化した学校は現代ではよい面もあるが、当時はそういう短所もあったということだ。
与謝野氏はカルピスのキャッチコピーも書いた、という記述が興味深かった。今でいえば超有名なコピーライターが書いたくらいの話題性だろうか。
本書で与謝野氏という人間を知ってみると、ひたすら仕事と女性社会進出の啓発に生きた人間という一貫性があり、少し憧れを持った。読んでてスカッとしたなあ。
