時の旅人/長野まゆみ
タイトルの通り、タイムトラベラーの少年の話。長野作品で少年主人公だが「メルカトル」と同じく耽美ではない感じ。(「少年アリス」もそうではないな)
戦前から2000年代へタイムスリップしてきた少年・チカボが時代柄結核だったわけだが、今なら治せる…と病院に連れて行こうとする現代の少年・ソイが印象的。とくに現代(2004年?)の年齢に換算してもお前はまだ90代だから、また生きて会えるかもしれない…みたいなくだりがギリギリ生きている年齢になるであろうチカボへの思いやりなんだろうかと考える。
未来より過去と比べた話の方がリアリティがあって好みなのは仕方ないかな。ただ、冒頭の話はデリケートなところにもつっこんでいるだけに、じんわり来る。関東大震災、第二次世界大戦。ソイはインターネットやテレビなどのメディアで知った、はるか過去のことをチカボに語る。しかし、チカボにとってはそれは起こる前のことだ。ソイとチカボはお互い微妙に考えが噛み合わないわけである。
もちろんチカボは現代の子供としての戸籍がないから健康保険には入ってないけど、それは記憶喪失の身元不明の子供として処理してもらって、誰かに払わせよう…というのが、ソイの健気さを感じさせる。
長野氏の作品はこういう絶妙な少年同士の触れ合いをさせた方が好みかなと思ったりもした。
みだれ髪/与謝野晶子
フェミニスト活動者としての晶子のイメージが強かったため、「乙女だー!」というところが第一印象。カバーイラストが文豪ストレイドッグス版だったことも大きいかもしれない。文ストは殆ど分からないが、おそらく史実以上に萌えキャラだろうな。
訳文がかなりくだけた表現になっているが、細かいニュアンスがそれだけ伝えづらいってことかな。当時の日本語じゃないとみたいな。
「白百合」に同性愛要素があると書かれているから、「百合」ってそういう…とうっかり思ってしまったりした。スラングの源流?
これが書かれた時点で晶子はまだ独身、つまり与謝野姓ではなかったらしい。じゃあ本当に「晶子」なんだなあ。しみじみ。フェミニスト運動は結婚後に行ってたイメージがあるけど、確かに男尊女卑に対する皮肉めいた詩もかなり詠んでいて驚くなどと。
