【ネタバレ】「フランケンシュタイン」を読んだ

角川文庫の新訳を拝読。

新訳っぽいなと思ったのは、たぶん従来の翻訳だと主人公のファーストネームが「ヴィクター」となっているところが「ヴィクトル」になっているところですね。今回の角川文庫版に倣って当レビューにおける呼び方も「ヴィクトル」です。

とある方のレビューを読んで、「ヴィクトルは本当に自業自得だったの?」ということを確認したくて読んだ。世間的には怪物に同情する方が多いらしかったんだけど、自分がたまたま読んだレビューではヴィクトルにも共感できるところがある、ということだった。

結論としてそれは割と正解だけども、怪物もやりすぎじゃない?とは読み終わった直後(は)思った。 確かにヴィクトルは怪物を「生成」するという反倫理的なことを行ったし、生んでくれと頼んでいない怪物もそれで苦しんだ。けれども…ヴィクトルが憎いのならヴィクトルだけをターゲットにすればよかったのでは?と思わなくもない。

逆に言えばヴィクトルの周囲の人間も巻き込むことが怪物にとってヴィクトルに対する一番の復讐だったかもしれない。ヴィクトルって多分コミュニケーション弱者なんだろうなと思うから、対人に対する依存が結構強そう。そこからじりじりと本人を狙うということは作戦としてはありかな。

ラストで怪物はウォルトンに自分は自殺をするだろうと宣言する。怪物ならそうするだろう…という納得の選択であるが、何のために自分は生まれてきたという答えが見つからない以上はそうするしかないんだろうと思っている。怪物の自殺シーンで終わらないところも、また不穏だ。

最後はヴィクトルの友人の手紙(ウォルトン)で〆られるけども、すべてがヴィクトルの一人称で描かれていない意味は多分ヴィクトルの精神が最後崩壊するからということ、怪物が次々に殺していったヴィクトルの周辺人物にウォルトンも含まれるということで、最後の言葉をあえてヴィクトルにしないことでシェリー氏はヴィクトル自身の恐怖を表現したんじゃないかな…とも。

で、もう一回「ヴィクトルは自業自得だったのか?」の疑問の答え合わせ。周辺人物にかなりの数の犠牲者が出たことを考えると、結果的に「好奇心だけが先行した」という自己中心的な行いをしたんだろうとも解釈できる。もちろん怪物がここまで執拗に追ってくるとは思わなかっただろうけど…。改めて考えると、割と納得いく「”勝手に”生命を生み出した」代償なんだろう。

最後に。自分はヴィクトルに共感できたか? …自分が生み出した怪物に殺される辛さは共感できたけど、生命の生成という反倫理的な行いは共感できなかったかも。 ある意味人間らしい人なんですけどね。

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bio

普段は別名義の個人サイトで二次創作やっているような、いにしえのオタクです。ここは一次創作と雑記置き場です。

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