私は、自分の部屋の中でぼんやりと雨音を聞くのが好きだ。
雨音を聞いていると、何も考えなくても良い気がしてくる。眠れない夜など、わざわざ某動画配信サイトで雨の音を再生することもある。
もしも何も出かける予定がなく、その必要もない日であれば、ずっと部屋にこもって雨音を聞くのも乙なものだ。
しかし、それは「何も出かける予定もなく、その必要もない日」であることに限る。
もしも何かしらの事情で、外へ出かけなければならない日となると雨音は、癒しの音楽から忌々しい雑音に変わる。
私は自室でのほほんと聞いている分には雨が好きであるが、外出する場合は寒くて濡れる雨は大嫌いなのだ。胃腸も冷えて、お腹を壊してしまうこともある。何となく気圧の影響で、体調も安定しないことも多い。
雨の日の作業はテンションが下がる。「ああ寒い ああ帰りたい 家にすぐ」とくだらない川柳も詠んでしまうくらいには嫌になってしまう。
作業が終わって、帰るときにまだ雨が降っているときは本当に憂鬱を通り越して腹立たしくなる。「私の作業中、しょうこりもなく降っていたくせにまだ降るのかコイツは…本当にしつこい。粘着質な奴め」と憎まれ口を心の中では叩いている。そんなことを思ったって、雨が止むわけがないのに。
農作物を含む植物にとっては、雨の存在は欠かせない。それに火事などが起こっている場所ともなると雨は救いの神にもなる。そういうことはわかっている。この世界にとって、雨はなくてはならないものであることは。
でも、私はわがままだから自分が濡れたり、寒い思いをしたりするのがつらいと思ってしまう。
自室でぼんやりと雨音を聞くときは「風流だ」などと夢見心地になるくせに。自分がその雨に打たれる可能性を考えると途端にションボリしてしまう。
今日も雨。
私は少し寒いし憂鬱にもなりながら、このエッセイを書いている。
雨音に混じり、車の走り去る音が聞こえるのがどこか忙しない。
ああ、寒い。
終わり
