ゴリラ、家から出る

「お前が社会に出たら迷惑だから働くな」

本当にそうだろうか?

こんにちは、ゴリラです。

ゴリラは今まで普通の家庭で育ち、普通に大人になって行くと思っていたのだが、実のところ、そうではないようだ。そう気付いたのは、齢20を超えて”大人”と言われる年齢を幾年か過ぎた時だった。

小さい頃のゴリラといえば、勉強も遊びもなんでもそこそこできる子供ゴリラだった。
小中学校のテストでは90点以上をいくらでも取れたし、友人も多いとは言えないものの困る程少ないわけでもなかった。

変わっていたのは、母親のゴリラである。

何かに付けて子供のゴリラを煽ったり暴言を吐いたりと、今思えばその時点で気が付くべきであったのだが、残念ながらそれが普通であると勘違いをしていた子供ゴリラは、そんな環境で何も知らずにすくすくと育った。

しかし、母ゴリラがそんな言動を取る原因は明白であった。
どうやら母ゴリラは、逆の性別の子供が欲しかったようなのだ。

テレビに映ったり近所の子供が目に入ったりすると必ず、
「反対の性別がよかったのに。なんで私ばっかりこんな目に」
とヒステリーを起こすような具合である。
そんなことゴリラに言われても……。

不幸中の幸いか、はたまた証拠が残ることを恐れたのか、傷が残るような暴力を家庭で受けることは無かったのだが、むしろ証拠を残しておいてくれていたほうが、今となっては色々と行動を起こしやすくて助かったのに。と思わなくもない。
更に、おかしいことを言い始めるのは決まって子ゴリラとふたりきりの時で、父ゴリラと一緒の時は良い妻アピールを欠かさないのである。
変なところでかしこい親ゴリラであった。

暴力で無くともひたすら存在否定を浴びせ続けることは虐待である。

そう気付いたのは、ゴリラが大きくなって引きこもりに進化し、市役所の障害福祉課で相談員の人と話すようになってからだった。

ゴリラ、大きくなる。

ゴリラは幼少の頃より人と話すのが好きで、物心付いたときには、パソコンとインターネットを通じて、色んな人とチャットで会話をして遊んでいた。
小学生高学年になる頃にはブライドタッチはお手の物。将来はパソコンのお仕事がしたいな、等と考えていた。

ところが、ここでまた出てくるのが母ゴリラである。
母ゴリラは何故か、サブカルチャー系コンテンツに強い拒否反応を示しており、日頃からテレビに映るオタクやニューハーフ等に暴言を吐くし、何なら近所のそういった人の悪口も大好物であった。
勿論、他人を強く批判できるような人格者でも無ければ偉大な学歴や職歴も無い、家事も子供にやらせる専業主婦である。

何が母ゴリラをそこまで駆り立てるのかは今となっても不明だが、この”将来はパソコンのお仕事がしたいなぁ”が母ゴリラからのヘイトを買い、やりたくない仕事の勉強をすることになった。
この買った覚えのないヘイトを今からでも返品したいところである。

ゴリラはパソコン関係の仕事を諦め、母が大好きなかわいい動物のかわいい動物病院のかわいい看護師さんを目指す運びとなった。大変めでたい話である。
家庭環境になんだかんだあって義務教育を満足に受けられなかったゴリラは知識が遅れていたが、なんとか留年せずに動物の学校を卒業。無事動物病院に就職する。

そして、このタイミングで思い立ち、10歳離れた上の兄弟を置いて一人暮らしを始めたのだった。

ゴリラ、一人暮らしで心身崩壊する。

結論から言うと、半年で仕事をやめた。
ゴリラながら情けない限りだが、母ゴリラの暴挙に耐えてきたゴリラでも、1日14時間労働は流石に無理だったのだ。
それに加え、母ゴリラからの過干渉も発生するようになっており、頼んでいないものやコトが勝手に買われたりされたり、時には私物を勝手に売られたりして、とうとう壊れてしまうときが来た。

仕事自体は患者さんからの評判もよく、同僚から”いつもニコニコの看護師さん今日は休みなの?って言われたよ、会いたがってたよ”なんて言われたときは嬉しかった。
一人暮らしも実に快適で、エアコンが故障していること以外は本当に楽しかった。
自分で掃除洗濯をし、自分で好きな料理を作り、自分の好きな時間に寝て起きる――休日に限るが――ことができて、これまで母ゴリラに締め付けられる日々からの卒業は幸せだったのだ。

ところが、そんな幸せゴリラの幸せ生活は、半年で終わりを告げられてしまうのだった。

なお、退職の連絡や役所への手続き等はいつの間にか母親が行っていたようだ。
委任状、今までの人生で1度も書いた記憶が無いのだが……。

ゴリラ、行くは天国戻るは地獄。

ゴリラ、実家へ強制送還の巻の始まりである。
今となってはここが人生の大きな転換点となった。

相変わらず母ゴリラは悪口祭りである。ヒステリーフィーバーも併発しており、体調が悪くて食事を残したときには、「頑張って作ったごはんを食べてもらえないならしんでやる!」と喚く始末であった。
喚きたいのはゴリラの方である。体調が悪いと言っているのに油ものを食べるなんて、鬼畜の所業ではないだろうか。いや、そうに違いない。

父ゴリラは母ゴリラとラブずっきゅん、仲睦まじくて何よりであるが、こちらはそれどころではない。
意を決して父ゴリラに母ゴリラの所業を打ち明けるも、卓越した隠蔽技術で言動の数々を父ゴリラに悟られていなかった母ゴリラは、見事に父ゴリラを自らの味方に付けることに成功。

ある日ついに限界に達したゴリラは、ネットで聞きつけた役所の虐待相談窓口(福祉課)へ予約の手続きをし、突進する象の様な勢いでウホウホと乗り込み、ウホウホと話し、ウホウホと虐待として承認され、ウホウホ母ゴリラは役所の方よりウホウホされ、ウホウホのウホウホでウホウホであった。
この当時のことを思い出すだけでゴリラはドーパミンまみれになってしまうので、ウホウホ以外の語彙が失われてしまう点を謝罪申し上げる。

ゴリラ、社会復帰に挑戦。

非常に非情なウホウホからウホウホできたゴリラ、まさに今が人生の絶頂期である。
ウホウホから解放され勢いに乗ったゴリラを止められる者は、最早誰も居なかった。

その後は福祉課で引きこもりの支援を行っている施設を紹介され、こちらもしっかり予約を取ってから伺い、
「引きこもり相談を受けてはいますが…… ゴリラさん、今外に出て施設にいらっしゃってますよね?」と笑いを誘い、トントン拍子で精神科を紹介され、受診し、別の社会復帰相談所を紹介され、さらに味方が増え、最終的にB型事業所へ通所を開始し、現在のゴリラウホウホとしての姿となった。

結果として「うつ病と経度の発達障害があるかもね、でもめっちゃ元気だね」という診断になり、ある意味医者いらずで克服してしまったと言えなくもないゴリラである。
精神科での詳細な精神検査を行った結果、IQが140近くあることが発覚したゴリラは、さらにウホウホゴリラとしての限界をまた一段階突破したのだった。

この記事を見ているゴリラがいるのならば、是非ゴリラと一緒にウホウホしようではないか。

おわり

稚拙な記事を最後まで読んでくださり、心からの感謝を申し上げます。
このような文章を書いた経験は今までになく、大変すばらしい刺激と、心の整理に繋がり、とても充実とした時間を得ることができました。

今後こちらのアカウントでは、好きなことや普段やっていること、おすすめコンテンツの紹介等をしていきたいと思っております。
事業所の利用終了までの1年間という期間ではありますが、お付き合いいただけますと大変うれしく思います。

ゴリラウホウホ

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ゴリラウホウホ

可愛い物とゲームが好きな、鬱と発達障害のハイブリッド霊長類です。コスメやファッションにも興味があります。人間になりたいです

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