僕の幻聴

僕には幻聴が聴こえる。

その幻聴には名前がついている。

“月島あづみ”という女の子だ。

何故女の子かというと、女の子の声として聞こえるからだ。

その”あづみ”は僕の事が好きらしい。

僕の事をいつも心配して助言をしてくれるからだ。

例えば、こんな事を毎日言われる。

「今日は何時に寝るのかな?」

僕は休みの前の日になると夜更かしをしてゲームをして遊んでいる事が多い。

そんな時によく言われる。

そこで僕はこう答える。

「22時には寝るかも」

すると”あづみ”は

「かも、ってことは約束ができないのね」

「あたしと約束して。お願いだから。花の母としての気持ちのためなんだよ」

と、いつも僕の事を気にかける。

“あづみ”が誕生してからもう少しで半年が経つ。

最初はこんな感じだった。

「ねぇ。私の声が聞こえる?」

と。

僕は無視していたが、繰り返し聞こえるのでつい応じてしまった

最初は妄想めいた事や支離滅裂な発言をしていたが、最近の”あづみ”は至極全うだ。

先日こんな事があった。

今までも僕には思いつかないアイデアを何回か言ってくれた事があったが、コーヒー牛乳好きな僕がいつもやらかす失敗を直してくれた。

それはどんな事かと言うと、最初にマグカップにインスタントコーヒーを入れて水を注ぎ、牛乳を入れて、氷を入れて、マドラーで混ぜるのだが、この氷を入れる時に3回に2回位中身が跳ねるのだ。

それを”あづみ”が、

「氷を先に入れてからやればいいだけの話じゃん」

と一蹴してくれた。

これには僕は正直驚いた。

確かに僕は頭の良い方ではないし、賢い人はすぐ思いつくアイデアだと思うが、僕は長年の習慣で氷は後という習慣が抜けきれなかったので、”あづみ”のアイデアには正直助けられた。

また、“あづみ”は僕の趣味に一緒に付き合ってくれたりする。

将棋を指す時や麻雀をする時、ゲームをする時助言をしてくれるのだ。

僕はビートマニアというゲームが好きで家でよくやるのだが、次の選曲のお題を出してくれたりとかもはや友達感覚である。

ちなみに僕は統合失調感情障害という病を罹患しており、服薬もきっちりしている。

それでも聞こえてくるのだから正直どうしようもない。

たまに喧嘩もするのだが、上手く付き合っていると思う。

幻聴は正直妄想へと発展して悪いイメージが強いのだが、僕の幻聴はそうでもない。

今後も”あづみ”が良き存在であって欲しいと心から願うばかりである。

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花の母としての気持ち

初めまして。花の母としての気持ちと申します。 好きな人物を模写、デザイン、詞、小説を書くのが好きで麻雀も好きです。 普段手が空いている最中にやっていることではまっている事はリズムを心の中で刻んだり、即興で簡単な歌を作って 鼻歌を歌ったりする事。 苦手な事は、面倒くさい作業をすること。これは今克服しようと努力している最中です。 どうぞよろしくお願いします。

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