こんにちは。急激な気温の変化に体がついていけないかぎしっぽです。
昔はあまり気圧とか気温差なんて感じなかったのになぁ・・・。
FGOで新章『運命の三女神編 郷愁永巡刻盤 パスト・カルデア』が配信されましたが、序盤から泣きそうになりました。
ありえたかもしれないIFの過去に泣きそうになりつつも、真実を知る毎に「元凶絶対ぶっ飛ばす」という思いが込みあがっていきました。
でも、たったひと時の夢だったとしてもまた逢いたい人に会えて良かったというのがかぎしっぽの感想です。
さて、今回は長くなりそうなので前編・後編に分けたいと思います。
英雄としての面を持つアルジュナですが、実は4人の奥さんを持つ恋多き色男です。
今回は一人目の妻であるドラウパディーという人物との出会いを語っていこうと思います。
前編ではパーンダヴァ五兄弟の師匠であるドローナと、後にアルジュナの義父となるドラウパディーの父・ドゥルパダの話、そしてエーカチャクラから旅立つまでの事を語りたいと思います。
(いつもの事ですが、かぎしっぽなりの解釈が入っているので間違っていたらごめんなさいm(_ _)m💦)
・旅人の話
バカを退治した後もパーンダヴァ一行はエーカチャクラに留まり、ブラフマン夫妻の家でお世話になっていました。
そんなある日、一人のブラフマンがエーカチャクラにやってきました。
彼は世界中を放浪している旅人でもあり、パーンダヴァがお世話になっているブラフマン夫妻の家に泊まることになりました。
パーンダヴァ達はその旅人のブラフマンから今まで回ってきた国の面白い話を聞こうと思い、彼を自分達の泊まっている部屋に招き入れます。
旅の話を聞くのはとても楽しみでしたが、自分達が火事で亡くなったという知らせが世間ではどのように広まっているのか、そして自分達が亡くなってからの世界情勢がどうなっているのか知りたかったのです。
そこでパーンダヴァ達はパンチャーラ王国の王・ドゥルパダが自身の娘の婿探しの大会を開いている話と、自分達の師匠であるドローナの過去とドゥルパダの関係を聞くことになります。
・ドローナの過去
ドローナはバラドワージュという司祭(ブラフマン)の息子でした。
彼の幼少期、パンチャーラ王国の王子・ドゥルパダと同じリシの元で武術や学問を学び、いつしか二人は身分の差を超えて親友と呼べる間柄となっておりました。
ドゥルパダは「ドローナ、僕は君のことを親友だと思っているんだ。だから僕が王様になってもずっと友達でいよう!そしていつか君を僕の国に呼んで、一緒に王国を分かち合おうね!」とドローナと約束しました。
それから数年後、ドローナはクリピーと結婚し、その後アシュヴァッターマンという息子を授かりました。
一方、ドゥルパダは父親が亡くなった事で国に帰ることになり、王位に就くことになります。
ドローナは家族をとても大切にしていました。特に息子のアシュヴァッターマンは初めて出来た自分の子供ということもあって、ドローナは彼をとても可愛がりました。
ドローナは元々無欲でお金や財産などに無頓着でしたが、妻と結婚し、子供が生まれて『家族』というものが出来た事によって、初めて「財産」というものを家族の為に手にしたくなりました。
そしてドローナは家族と自分の為にも「とある夢」を抱くことになります。
それはこの時代で最高の弓使いになることです。
そんな夢を抱いていたドローナはある日、バールカヴァという人物の噂を耳にしました。
彼は自分の財産をブラフマンに分け与えているという話を聞き、ドローナも早速バールカヴァがいるマヘンドラ山へと向かいました。
・ドローナ、バールカヴァに弟子入り!
以前にも少しだけ登場しましたが、ここでバールカヴァについて解説させて頂きます。
バールカヴァ・パラシュラーマと呼ばれ、最高神・ヴィシュヌの6番目の化身であり、ブラフマンの出身でありながら彼は神話最強と呼ばれるほど強大な力を持つ戦士の聖仙(リシ)でもありました。
バールカヴァとは父親が聖仙ブリグの血筋であった為『聖仙ブリグの末裔』『ブリグ家の者』の尊称で、パラシュラーマは彼がシヴァ神の元で厳しい修行の末に、彼から神聖な斧『パラシュ』を授かった事からサンスクリット語で「斧(パラシュ)を持つラーマ」を意味する名をつけられました。
そしてドローナ、カルナ、ビーシュマを武人として育て上げ、彼らに最強の武術と神々の武器を授けた偉大な師匠でもあります。
(一般的にはパラシュラーマという名前の方が広く知られていますが、ここではバールカヴァの方で呼ばせていただきます)
バールカヴァはクシャトリヤを嫌っており、カルナはそのせいで呪いをかけられてしまいますが、なぜ彼がそこまでクシャトリヤを嫌っているのか。
バールカヴァが産まれた時代はクシャトリヤが権力を増大させており世界を支配していました。世界が傲慢なクシャトリヤによってダルマ(正義)が乱れたことにより、クシャトリアを滅ぼしてブラフマンや一般民衆と秩序を守るためにヴィシュヌ神の化身として誕生したとされます
そして、彼は神器である戦斧『パラシュ』を手に、当時悪政を敷いていた魔王・カールダヴィーリヤ・アルジュナを討ち果たしました。(名前は似ていますが此処に出てくるアルジュナとは一切関係はありません)
ですが、その復讐としてカールダヴィーリヤの息子がバールカヴァが留守にしている間に瞑想中だった彼の父親を殺害します。
これに激怒したバールカヴァは息子を討ち取るだけではなく『地上にいるクシャトリヤを21回根絶やしにする』という恐るべき誓いを立てました。
(21回という数字は、夫が亡くなった事に嘆いた母がその絶望から21回胸を叩いた数からとったとか、父親の遺体に21箇所の刺し傷あった為そこからとったなど、諸説あります)
そしてバールカヴァは世界中のクシャトリヤを殺し回り、生き残った女性が男児を産んでひっそりと育てても、どこからともなく現れてはその男児を殺したりと、誓い通りに21回にも渡ってクシャトリヤの大虐殺を行いました。
この行いで一時期クシャトリヤがいなくなった時代が存在し、殺されたクシャトリヤの血が川となって流れ、バールカヴァはクルクシェートラ地方(現在のインドのハリヤーナ州の都市に位置する場所)に5つの大きな池の堀を作り、そこにクシャトリヤの血を満たして5つの巨大な血の池を形成しました。
(やってる事が怖いし恐ろしすぎる・・・)
世界中のクシャトリヤを滅ぼし、クシャトリヤが支配していた地球上の全ての土地を手に入れたバールカヴァは地球の支配者となります。
ですが、バールカヴァの前に祖先たちの霊が現れて、今までの行いを戒められた事により、彼はクシャトリヤを許す事にし武器を置きました。そして先祖の霊の怒りと自身の行った罪を清める為に、クシャトリヤの血で満たされた池で先祖を弔う儀式を行い、聖なる水で池が浄化された事で、先祖の霊とバールカヴァの怒りはようやく鎮まりました。
儀式を終えた後、自身の行った罪を悔いたバールカヴァは世界の秩序を回復する為に、奪い取った土地を全て聖仙・カシャパ1に譲り、地上にある全て土地の所有権を放棄しました。このままバールカヴァが地上に留まれば、彼の持つ怒りと圧倒的な武力によって再び世界の秩序が乱れることを懸念したカシャパは彼に対して「寄付した土地には留まってはいけない」と告げます。(要は「貴方は地球に居ちゃダメだよ」って言ってるようなもんですね)
そしてバールカヴァは自分が住む為の新たなる土地(現在インド西海岸に位置するコンカン地方やケララ州)を作り出し、そこにブラフマン達を招き入れて土地の管理をさせ、マヘンドラ山で隠遁生活を送っていました。
さて話は戻り、財産を分配しているという噂を聞きつけたドローナはバールカヴァの元へたどり着きました。
「私はブラフマンであるバラドワージュの息子、ドローナと申します。貴方の財産を求めてここまで来ました」
ドローナがブラフマンだった為、彼を快く迎え入れました。
ですが時すでに遅く、征服した土地はカシャパに渡した後であり、金銀財宝も既に他のブラフマンに分配し終えた後でした。
「そうであったか。すまない、もう私の財産は全て他のブラフマンに分けてしまってもう残っていないのだ・・・」
「何を言っておられますか?貴方にはまだ偉大な財産が残っているではありませんか」
ドローナの言葉にバールカヴァは首を傾げました。
「何を言っているのだ?私にはもう財産は無い。持っているとすればこの肉体とアストラを扱う知識のみだ。ドローナよ、そんな私に一体何を望むのだ?」
「貴方のもつ偉大な弓術です。私は貴方の弟子となってそれを習いたいのです」
この言葉にバールカヴァは笑い、頷きます。
「いいだろう、今からお前は私の弟子だ。私の持つアストラを授けよう!」
こうしてドローナはバールカヴァの弟子となり、修行を積んでいきました。
元々武術の達人であったドローナでしたが、バールカヴァは自分の知る限り極めた武器の扱い方と奥義を全てドローナに伝授し、さらにその腕を磨き上げた事によって、当代で並ぶものはいない弓の達人とまで言われるまでになりました。
※補足
今でもケララ州ではバールカヴァの足跡が残っており、ケララ州は「パラシュラーマの国」として知られています。ケララ州のトリヴァンドラムには約1000年以上前に建てられたケララ州最古の寺院「パラシュラーマ寺院」が存在し、インドでも極めて珍しいパラシュラーマを単独で祀る唯一の寺院であり、現在でもケララ州では彼をこの土地の創造神・守護神としても崇められています。
また、土地に招き入れたブラフマン達に治安維持と傲慢なクシャトリヤに支配されないように武術を叩き込みました。その武術こそ世界最古の格闘技と称される南インドの伝統武術「カラリパヤット」とされ、彼はその開祖(初代師範)となりました。
そして永遠の寿命を持つチランジーヴィン(七人の不死者)の一人であり、彼は今でも生き続けてオリッサ州にあるマヘンドラ山で瞑想し続けていると信じられています。
・旧友との再会と決裂
こうして弓術を極め当代最高の弓使いとなったドローナでしたが、家庭はとても貧しく、弓に自信があってもそれだけでは中々お金を稼ぐ事が出来ず、幼い息子に飲ませるミルクでさえ満足に買う事さえできなかった程です。
ある時、アシュヴァッターマンは友達に小麦粉を水で溶かしたものをミルクだといって彼に飲ませてからかわれていました。
それを聞いたクリピーはどうしていいか分からず途方に暮れてしまい、ドローナも自らの貧しさに悲しくなりました。
そんな貧困にあえいでいたドローナはドゥルパダとのかつての約束を思い出し、ドローナは家族を連れてドゥルパダが治めているパンチャーラ王国へ出発し、彼がいる王宮に向かい王となったドゥルパダと謁見の許可を得て、久々に親友と再会しました。
「ドゥルパダよ、私です。ドローナです。覚えていますか?」
「貴方が王となったと聞いてここまで来ました。共に学び舎で学んでいた時に貴方は「私達の友情は永遠だ。だから共に国を分かち合おう」とよく私にいっておられました」
「ですが、私は土地と財産を求めてここに来たわけではありません。友として貴方に会いに来たのです」
「友人として、あの頃のように貴方と一緒に友情を分かち合って共に暮らしたいのです」
ですが、そこにいたのはかつて友情を分かち合ったあの頃のドゥルパダの姿はありませんでした。
ドゥルパダはドローナに向かってこう言います。
「貧しいブラフマンであるお前と王位に就いている俺が友達だって?そんな訳があるか、冗談をつくならもう少し面白い冗談をつけ!」
「いいか、友人関係というのは対等な立場の者同士の事を言うのだ。貧しい者同士がそして裕福な者同士が友人といえる関係になるのだ」
「遠い昔話を持ち出した挙句、昔、同じ学び舎で学んだからといって友情を要求するなどなんて愚かな奴よ。二度と俺とお前が友人だというな!」
そう罵ったドゥルパダはドローナの前から去っていきました。
ドゥルパダは権力を得た事によって権力と富に溺れて財力に固執するようになり、いつしか高慢で愚かな王と成り果ててしまい、誰かに自分の財産を渡そうとか貢献しようという気持ちが消え失せてしまったのです。
変わってしまったかつての友人にドローナは呆然と立ち尽くし、それと同時に自分を侮辱したドゥルパダを許すことが出来ず、彼に復讐する事を誓います。
ドローナは彼に復讐する為、妻・クリピーの兄であるクリパを通じてクル国の王子たちの師匠となり、ドゥルパダの鼻を明かそうと考えました。
クリパのいるハスティナープラの郊外へとたどり着いたドローナ一家。そこではまだ幼いカウラヴァとパーンダヴァが一緒になってボール遊びをしていました。
ですが、遊びに夢中になりすぎてしまい、ボールとユディシュティラの指輪を井戸に落としてしまいます。
取ろうとして井戸を覗きますが、ボールと指輪があることは確認できたものの、その井戸はかなり底が深く作られており自分達の力ではとても取れそうにありません。
どうしようと困り果てていた王子達に、ドローナは声をかけました。
「王子達よ、どうなされましたか?貴方達は見たところ武術の誉れ高いバーラタ族の末裔とお見受けしますが・・・」
「貴方方は武術を習っているのでしょう?ならば何をためらっているのです、その力を使って球と指輪を拾い上げてはいかがですか?」
「それとも、もしよろしければ私が取って差し上げましょうか?」
ユディシュティラはドローナの言葉に半信半疑でした。
だってあんな奥底に落ちてしまったボールと指輪を取るそんな神業、自分の師であるクリパ先生だって出来ないことなんだから。
ユディシュティラは笑って、冗談交じりで言いました。
「そこの方よ。もしあのボールと指輪を取ってくださるのなら、クリパ先生の所へ連れていって夕飯をご馳走してくれるようにお願いしましょう」
それを聞いたドローナは近くに生えていた葉っぱ一枚手に取って、呪文を唱えてその葉っぱを井戸に投げ入れました。すると葉っぱはボールに突き刺さり、ドローナはまた同様に呪文を唱えては葉っぱを次々と井戸に投げ入れてを繰り返していきます。
そして、葉っぱまるで鎖のように数珠つなぎとなって一つに繋がり、ドローナはその繋がった葉っぱを引き上げると、その先にしっかりとボールが付いてきており、取り出したボールをユディシュティラに渡しました。
それを見ていた王子達は息を吞みます。そして、この人ならもしかしたらと思ったユディシュティラは今度は指輪を取ってくれるように頼みます。
するとドローナは王子達から弓矢を借り、矢を指輪に向けて放つと指輪は見事に真ん中に突き刺さり、そしてそのまま跳ね返って、見事ドローナの元に指輪を運んだのです。
そうして戻って来た指輪をドローナは微笑みながらユディシュティラに手渡しました。
突然現れた凄腕のブラフマンに王子達は驚きと興奮を隠せません。
王子達は「この人から武術を教わりたい!」「この人の弟子になりたい!」と強く望み、この出来事を叔父のビーシュマにすぐさま伝えました。
王子達からこの出来事を聞いたビーシュマは、彼が武術の達人で弓に関しては当代最高と言われるドローナで間違いないと確信しました。
そしてビーシュマは彼を王宮に招き入れ、腕前を見染められたドローナは王子たちの武術の師範として迎え入れられたのでした。
・ドローナの復讐
そして時は進み、話は御前試合が終わった後までいきます。
ドローナは弟子たちの御前試合を見て、王子達は一人前のクシャトリヤとして立派に成長を遂げたと見て取ったドローナは、とうとう自分の悲願を達成する時が来たと考えていました。
ドローナは弟子である王子達を集めて言いました。
「皆さん、よくここまで学びました。私が教えるべきことは全て伝えきりました、教えることはもう何もありません。とうとう独り立ちの時が来たのです」
「ですがその前に、先生と生徒の教えの伝統に従って貴方達はダクシナ(※謝礼の意)を払わなければなりません」
尊敬するドローナに一人前として認められた王子達は興奮しながらも、どんなダクシナを求めているのか耳を傾けます。
「私は財産を求めていません、私が望むのはただ一つ。パンチャーラ王国のドゥルパダ王に勝利し、彼を捕らえて私の元まで連れてきてください」
ドローナに言い渡された卒業試験とクシャトリヤとしての初めて立つ実戦という事も相まって王子達は更に興奮し、ドゥリーヨダナと弟たちは巨大な軍隊を引き連れて血気盛んにパンチャーラ王国へ出陣しました。
それに続いてパーンダヴァ達もユディシュティラを先頭にしてパンチャーラ王国へ向かいます。
ですがこの中で誰よりも興奮していたのはダクシナを要求したドローナ自身であり、彼も続いてパンチャーラ王国へ向かいました。
突然クル一族の王子達が進軍してきた事にドゥルパダは大慌て。彼らから攻められる理由が分からず困惑しながらも、国を守るために自らも先陣に立って指揮を執ります。
そして戦争が始まりました。第一陣は、先に着いたドゥリーヨダナが率いるカウラヴァ軍でした。
ドゥルパダは突然の大軍の急襲に驚きつつも、すぐさま迎え撃つ準備を始めます。
その後、パーンダヴァ達もパンチャーラ王国に着きましたが、戦いに参加せず両軍の様子を見ていました。パーンダヴァはカウラヴァ軍の戦い方を見て、「これは必ず失敗する」と予見しました。
そしてパーンダヴァ達の思った通り、流石はドゥルパダ王といったところでしょうか。傲慢で鼻持ちならない者であっても一国を治めている王様なだけあって、次第にドゥルパダが率いる軍が優勢となり、カウラヴァ軍を討ち破ります。
カウラヴァ軍が敗れた事により、第二陣としてパーンダヴァ達が出陣の準備を始めます。
アルジュナはユディシュティラを司令官として安全な後方に置く事にし、自分はナクラとサハデーヴァと一緒に戦車に乗って双子に守られながら弓で応戦して進み、そして前方に剛腕のビーマを配置して棍棒を振り上げながら突貫していく布陣を取りました。
パーンダヴァ軍はたった5人だけの軍でしたが、そこは神の血を引く半神半人のクシャトリヤなだけあって、尋常ならざる力を持ってパンチャーラ王国の軍勢を討ち倒していき、どんどんドゥルパダがいる王国の深部まで向かっていきます。
そしてついにドゥルパダがいる本隊まで辿り着き、激戦を繰り広げます。
ドゥルパダ軍の僅かな隙をついたアルジュナはドゥルパダが乗っている戦車に接近します。
ドゥルパダは反撃をしようとしましたが、アルジュナが放った無数の矢の雨によって視界が覆われてしまい、突然目の前が真っ暗闇となって何も見えない状態へなってしまったドゥルパダは身動きを取ることが出来ません。
その間にアルジュナはドゥルパダの乗っている戦車に飛び乗り、ドゥルパダを捕えることに成功します。そして自分の戦車に乗せてドローナの元へ連れて行きました。
ドローナはドゥルパダ王を捕らえたという報告を受けて、逸る気持ちを抑えながらアルジュナ達の帰りを待ちます。
弟子達の手によって捕まり、ドローナの前に捕虜となったドゥルパダが差し出されました。
ドゥルパダはドローナの顔を見て何故、クル一族がパンチャーラ王国へ攻めてきたのか、今ここで合点が来ました。
そして捕虜となったドゥルパダに対してドローナは言いました。
「今貴方の王国は弟子たちの手によって征服され、君の国は私の支配下となりました。あぁ、怯えないでください、私は貴方を殺したい訳じゃありません。ただ貴方と友達になりたいだけですよ」
「貴方があの時、私に言ったことを覚えていますか?友人関係というのは対等な立場の者同士でしか成り立たないのだと」
「貴方の主張が正しいというならば、私達が得た国の半分を貴方に差し上げます。これで私と貴方は友達だ!」
そうドゥルパダに微笑み、ドローナはパンチャーラ王国の北半分を自分のものとし、南半分だけドゥルパダに返しました。
かつての友情を裏切られ、あの時受けた屈辱を返す事に成功したドローナは、今まで抱え込んでいた怒りは今ここで一瞬にして完全に消え失せました。
ドゥルパダに復讐を遂げることが出来て、これでめでたしめでたし・・・とはなりませんでした。
・連鎖する復讐
ドゥルパダの高慢な鼻はへし折れて仕返しはこれで充分になされと考えたドローナは、ドゥルパダを自由の身にし、自国へと丁重に返しました。
ドローナは自身が長年抱えていた問題はこれで解決しましたが、ここで二つ誤算が生じました。
それはドローナの復讐が達成されたものの、二人は心から和解した訳ではなかった事。
そして、その相手が必ずしも自分に対して恐ろしい憎しみを持つはずが無い、と思わなかった事です。
ドローナに身柄を解放された後、ドゥルパダの心の中にはドローナに対する怒りと屈辱で満たされていました。
ブラフマンに国を取られてた挙句に同情され、更には嫌味を言われて国を半分返されるなどと・・・
この屈辱、晴らさない訳にはいかない・・・!
到底耐える事が出来ない辱しめを受けたドゥルパダは、憎しみと復讐心という名のどす黒い思いがまるでドローナからドゥルパダに移るように、彼の心の中で炎のように燃え上がってしまったのです。
ドローナに復讐する為、パンチャーラ王国の南にあるカーンピリヤへ向かいました。
ドゥルパダはそこで2つの目的を持ってヤグニャという神聖な炎を使った儀式を始めました。
1つ目はドローナを殺すことができる息子を得ること。
自分の力ではあのドローナを倒すことは出来ないと悟り、神の恩得の力ならその息子を得ることができると思ったのです。
2つ目はアルジュナの妻となる娘を得ることでした。
実はドゥルパダは、誰も傷つけずにその見事な腕前で自身を捕らえたアルジュナに魅了されていました。その素晴らしい騎士道精神から、是非とも自分の国に来て欲しいと考えていたのです。
それにアルジュナはドローナお気に入りの一番弟子であり、娘が結婚すれば義理の父となる自分に手を出すことが出来ないと思ったのです。
(もちろんアルジュナを懐柔したいという下心はあったそうですが・・・)
ドゥルパダはそんな強力な儀式を行える超一流のブラフマンを探す為、インド全土を回る旅に出ます。
そこで彼はガンジス河の畔でヤージャとウパヤージャという厳格な修行を積んだ高名なリシ(聖仙)の兄弟に出会いました。
ドゥルパダは彼らにドローナを殺す為の息子を得るために力を貸してほしいと頼み込みますが、「現世的な欲望」と「復讐」の為の祭祀をする事を嫌ってドゥルパダの願いを断ります。ですが諦めきれなかったドゥルパダは、1年にも渡って彼らに誠心誠意仕え、彼らを喜ばせました。そして報酬として「10億頭の牛」やその他金銀財宝といった貴重なモノを与えることを約束します。
これを受けて二人はドゥルパダの願いを受け入れてる事にし、ヤージャとウパヤージャを最高司祭として、兄・ヤージャの庵で厳格な炎の儀式が執り行われました。
庵では神々へ供物を捧げるための聖火を燃やし、彼らはドゥルパダの為に最高峰の呪術と祈祷を捧げました。
そして儀式が最高潮に達した時、1年間の努力が実を結んだのか、それともドゥルパダの執念が勝ったのか、信じられない奇跡がおきます。
通常であれば供物を母親が食べることで妊娠し子供を授かりますが、聖なる供物を炎の祭壇に投げ入れた瞬間、なんと母親の胎内を経ずに、燃え盛る炎の中から直接『成人』した姿で二人の子供が誕生したのです。
最初に武器を手にした戦士の姿をした男性が現れ、続いて誰もが言葉を失うほどの絶世の美女が現れました。
2人が炎の中から出てくると、天から声が聞こえてきました。
「この皇子こそ、ドローナを滅ぼし、パンチャーラに栄光をもたらす者。そしてこの絶世の美女は、やがてクシャトリヤを滅ぼす原因となり、神々の意思を全うするであろう」
そう大音響かつ厳かな神託が響き渡りました。
ドゥルパダは自分の願いが叶ったと狂喜乱舞し、ドローナを殺す宿命を持った息子を「恐れを知らぬ輝き」という意味を込めてドゥリシュタデュムナと名付け、アルジュナと結婚する運命を持った娘を「ドゥルパダの娘」という意味でドラウパディーと名付けました。
(翻訳によってはドラウパディーは肌が白かったこともあってクリシュナーと名付けられ、ドラウパディーは愛称で呼ばれる事があります)
・パーンダヴァ、パンチャーラ王国へ行く
師匠からドゥルパダとの関係は聞いていたものの、ダクシナを行った後にそんなことが起きていたとは・・・
初めて聞く話に彼らは驚きを隠せませんでした。
ですが、ここで一つの疑問が沸き上がり、ビーマは旅人に質問しました。
「待って下さい。ドゥリシュタデュムナは確か、ドローナの生徒だったと聞いたことがあります」
「彼は全ての武器の扱い方や戦術などをドローナから教わったと人々は言っています」
ビーマはドゥリシュタデュムナと親友であり、両者は一切そのような素振りを見せることがなく、むしろ関係は良好に見えていました。
「その通りでございます。ドローナはドゥリシュタデュムナが『自分を殺す者』である宿命を持っていると知っていました。ですが彼はその事を知ってもなお拒まず、ドゥリシュタデュムナを弟子として受け入れました」
「ドローナは『運命から逃れることが出来ない』と自らの死を悟っていました。そして武芸の師の義務と誇りを持って一切差別をすることなく、彼に自らの最高の戦術と武芸の極意を全て授け、彼を一流の戦士として育て上げました」
旅人は更に続けて、何故自分が世界中を旅しているのか話始めました。
ドゥルパダは火事でパーンダヴァ達が死んだと聞いたときは、発狂するほど深い悲しみに沈みました。
ですが、彼のグル2は神の力を引いているあのパーンダヴァ五兄弟が死んだとは思えず、彼らは生きていると信じていました。それに、あの高名なリシであるヤージャとウパヤージャが行った儀式で生まれたドラウパディーがいるのですから、「アルジュナと結婚する」という運命が覆る事が有り得ないと思ったのです。
きっと彼らは変装して何処かに身を潜めていると思ったグルは、彼らを探すために勝利条件を弓矢のテストにしたスヴァヤンヴァラ(婿探しの大会)を開くことを世界各地に宣伝する事をドゥルパダに提案します。運命通りなら必ずアルジュナは現れ、ドラウパディーを勝ち取るはずだと。
ドゥルパダはグルの言う通りに世界各地にこの大会を宣言を送りました。
そしてその大きな大会がカーンピリャで開催されるという宣伝を自分達のような者があちこちで広めているのだと旅人は言います。
「きっとこの話はアルジュナは何処かで聞いているか、既に私が話しているかも知れませんね」と旅人は冗談めかしに笑いながら話を終えます。
話を聞き終えて旅人が寝床に着いた後、五兄弟は話に出てきたドラウパディーに興味に惹かれました。
彼女がアルジュナの為であると知っていても、ドラウパディーの美しさを聞いて「彼女は一体どれほどの美女なんだろう」と、想像上の彼女の事が頭から離れず、その大会に行ってぜひ会ってみたいと兄弟全員が思っていたのです。
ですが、そんな下心が籠った提案を誇り高いクシャトリヤとして口にするのは気が引けてしまい、誰も口を開くことが出来ず、部屋は沈黙で満たされます。
そんな息子たちの心を見抜いたクンティーは息子達に「パンチャーラ王国に行ってみませんか?」と誘います。
「流石にこのブラフマンの家族の皆さんにお世話になりすぎました。そろそろ私達は新たな地へ旅立つときが来たのです」
「パンチャーラ王国はとても豊かな地と聞きますし、カーンピリャでその大会が開かれるのならきっとそのお祝いで沢山の人が行きかっている筈です。そんな場所で街を歩くのはきっと楽しいでしょう」
「もし貴方達が望むのであれば、私はパンチャーラ王国へ行ってみたいです」
クンティーは息子たちのプライドを傷つけずに、息子たちの密かな思いを叶えてあげようと思ったのです。
クンティーのこの言葉を聞いて、兄弟全員が嬉しそうに頷きます。
そして、早速パンチャーラ王国へ向けて旅支度を始めました。旅支度を終えてからも全員が落ち着かない様子で、まだ見ぬドラウパディーの妄想を膨らませながら夜が明けるのを待ちました。
翌日、パーンダヴァ達はお世話になったブラフマン家族とエーカチャクラに別れを告げ、パンチャーラ王国へ向けて旅立ちました。
今回はここまで!
パーンダヴァが半神半人の戦士と言っても、妄想上のドラウパディーに惹かれている辺り、中身はまだまだ思春期の男の子いった感じで見ていて面白いと感じると同時にとても可愛く感じますね。
そして、そんな息子達に対するクンティーの行動がまさに思春期の息子に対する行動をしてて面白かったです。
次回の後編は、パンチャーラ王国までの道中と大会についてです!
では後編まで( ・ω・)/~~~
※脚注
- インド神話に登場する最も偉大なる聖者(リシ)。世界を創造したブラフマーから生まれ、「あらゆる生物の父」とされています。 ↩︎
- ヒンドゥー教などのインド起源の宗教において「指導者」「師」を表す。元々サンスクリット語では「重い」「重々しい」という意味ですが、後に「おもんじるべき方」と呼ばれるようになり、指導者や師を指す言葉となりました。 ↩︎
※参考
https://ameblo.jp/indiastory-chieka/theme-10104959642.html
https://note.com/shantilifehiro/m/mf49ce1d60851
https://blog.yoga-kailas.com/%e3%80%8c%e3%83%89%e3%83%ad%e3%83%bc%e3%83%8a%e3%80%8d/
https://blog.yoga-kailas.com/%e3%80%8c%e3%83%91%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%83%89%e3%82%a5%e5%85%84%e5%bc%9f%e3%81%ae%e7%b5%90%e5%a9%9a%e3%80%8d/
