※使用ツール『GeminiAI』
EP2
彼女が言うには、フィールドワークとして旧友と【人形館】に行ったのだ。
西洋洋館に住んでいる【魔女】と言われている人形師の取材だ。

依頼人、【小巻ゆりあ】は服を自分で作る特技があった。
彼女の才能を聞いて絶賛した人形師はある物をプレゼントしたのだ。
それが黒いゴスロリワンピースを着たドールだ。
人形師が言うには『この子は不幸を取り除いてくれる魔よけの人形』というらしい。
その言葉を信じた彼女はドールを受け取り、帰宅後彼女の為の服を作ってあげた。
翌日、彼女の身内で不思議な事が起こる。
病弱だった次男が急に元気になり学校へちゃんといけるようになる。
長男は、期末試験で高得点を取り過去最高のスコアを叩き出す。
三男は、大事にしていた兄からもらった腕時計が壊れていたが直っていた。
奇跡のような日々が続き、とうとう彼女自身が違和感に襲われる。
「寝ている時に視線を感じるんです……….わたし何も悪いことしてないのに」
「その人形師さんは、もう会えないの?」
「調べてみたら、人形師はとっくにロンドンへ帰国していたぞ。返品不可だな」
「どうしてわたしばかり、不幸になるの…? こんな事ならあの人形なんてもらわなければよかった!」
悔しそうに下唇をかむ依頼人。
魔霧と恒聖は少し考え事をして、なぜ彼女以外の人間が幸運になるのかを考察した。
(ねぇ、どうして小巻さんはその人形を受け取ったのだろう。胡散臭いとは思わなかったのかな)
(才能を褒められて気持ちよくなっていたんだろ。商売上手だぜ)
(でも、身内が幸福になって小巻さんだけが不幸って。もしかしてストーカーって)
(恐らく。あのゴスロリドールで間違いねえ。人形には魂が宿るからな)
ということは次の標的が誰になるのかも時間の問題。
だが肝心のどのような怪異タイプなのかが謎だ。
「あのさ、今ってそのゴスロリちゃんはどこにあるの?」
「不気味になって友人に渡したんです。え………?」
「友人が今どうなってるか聞くことは可能か!?」
恒聖の発言で顔色を青ざめた彼女は今すぐポケットからスマホを取り出し友人に電話をかける。
スピーカーモードにします!と声を荒げ着信を待つ。
そして相手は着信に出た。
「もしもし。香奈ちゃん。今何してる?」
『あ、もしもし?ゆりあじゃんー。おつー。今、彼氏とデート中なんだ』
「えっ⁉ あのモテなかった香奈ちゃんが⁉」
魔霧と恒聖は驚き、つい声をあげるところだった。
だが友人の返事はどこか別人のようだった。
『それもこれもあのゴスロリドールのおかげだよねー。マジ嬉しい、今最高の気分だよ』
「ウソでしょ。ねぇ、今あの子はどこにいるの!」
『ゴミ捨て場に出したよ。いつまでも置いておいてもアレだからさー。じゃあまたねー』
ピッ。
ガタっと腰を抜かす依頼人。
ストーカーの正体がわかって冷や汗が止まらない。
「こいつは時間の問題か」
「本来は供養してくれる神社にいかないといけないんだけど………」
すると背後からころんと鈴の鳴るような可愛らしい声が聞こえてきた。
それも依頼人の顔を覗き込むかのように。
『わたしのこと推しになってよ。ねぇ、おかげで人間になれたの』
依頼人が声がする方に振り返るとそこには、黑いワンピースを着たゴスロリ美少女がいた。
EP3
ぐったりと倒れる依頼人。
「おい、しっかりしろ!」
「あなたが噂のゴスロリちゃんね。どうしてこんな事を」
黒髪ロングヘアに黒の厚底ブーツ、頭に大きなリボンが特徴で瞳はエメラルドグリーン。
妖艶な見た目から一瞬の可憐さを押し通すオーラ。
魔霧と恒聖は彼女を睨みつける。
『この子がわたしを選んでくれた時、彼女の推しアイドルさんのMVやライブ映像を見たわ』
「推しアイドル……..?どういうこと」
『貴方ならわかってくれるはず。彼女はわたしじゃなくて彼女を愛しているの』
「だからってやっていいことと、悪いことがあるはずだ。嬢ちゃん」
正論を言われてキュッと唇をかみしめるゴスロリドール少女。
人間になれたとはいえ肝心な【心】までは手に入れていないようだ。
まるで操り人形の如く。
「ストーカー行為は例え【怪異もどき】でも許されないことだ。何か強い想いがありそうじゃないの?」
『ふふっ。仮にこうして戻ってきたのよ。【彼女はわたし自身なのだから】!』
「ゆりあさん本人だと?まさかお前は」
ゴスロリ少女は不敵に笑い依頼人を赤いリボンで縛りつける。
依頼人自身が苦しむ様子もなく両目を開き瞳の色に輝きを失いつつある。
魔霧は【怪異もどき】、恒聖は【特級呪霊】と叫び、逃げるゴスロリ少女を追いかける。
事務所を抜け出すと既に空は暗くなっていた。
「どこに向かっているの!今すぐ彼女を返して!」
「やり方が汚ねえぞ、嬢ちゃん!」
『イヤよ。返してほしければ黙ってわたしが向かう場所についてくることね』
ゴスロリ少女は、持ち主を離さず目的地まで宙に浮きながら余裕の笑みで逃げる。
全力で走る魔霧と恒聖は息切れをしながらも依頼人を見逃すことは決してしない。
場所は事務所から離れた公園まで向かいその先にある建物へと。
舌打ちしながら、悔しそうにふたりはお得意の能力で彼女に少しでも近づく。
「カード、チェックオープン!ラビット・リバース(勇気の逆位置よ)!」
「迷える数多の小さな星々たち。我が声を聞け、意のままに従え。領域展開、星界鎖(セイカイジョウ)!」
魔霧のスニーカーから悪魔の羽が生え、軽くジャンプする。
恒聖は白い星々の光を見つめ、ゴスロリ少女の目的地を未来視する。
普通の人にはふたりの姿は見えていなく、相手のことだけ考える能力。
依頼先で取得したスキルだ。
「魔霧、奴はあのスタジオに向かっている!行くぞ」
「わかったよ。恒聖!」
ふたりは、レンタルスタジオに向かい彼女より先回りする。
あまりにも予想外な展開にゴスロリ少女は、血相を変えて中へと入る。
「ここにはわたし達のお友達が沢山いるわ。お願い、ふたりを止めて」
するとふたりの周りを悲痛の叫びで悲しむアイドル衣装姿の美少女やイケメンたちが現れる。
青白い者もいれば赤い者もいる、生気は全く感じられない。

「お友達って、アイドル候補生の幽霊たちのことぉ⁉」
「随分と歓迎されているようだな。悪霊も浮遊霊もみんな虜にしてやるぜ」
恒聖が意地悪そうにあざ笑いながら、拳で彼らを吹き飛ばす。
彼らの嘆きの声がいまだに収まらない。
魔霧は考えた、このレンタルスタジオは元々アイドルになりたい卵たちが行く登竜門だと言われていた。
以前ネット配信でオーディションPVを見ていたこともある。
もしや依頼人もこれに関係しているのではと。
「小巻さんってもしかして……..オーディションの二次選考まで受かった人?」
「だからか!金がなくてひもじい生活をしていたと言っていたな」
不幸な事が続いていたのは、誰かが諦めてしまったからナイーブになったということだろう。
魔霧は一人レンタルスタジオの中へと入り、捜査をはじめる。
「おい、どこに行くんだよ!」
「私、あのゴスロリちゃんと交渉してくる。恒聖は彼らをお願い」
もし、【小巻ゆりあがアイドル候補生だとしたら】。
考えられる答えは沢山ありそうだが、それでも行くしかない。
続く
