これは、通信の自由と人々のサイフを守るために立ち上がった、持たざる者たち(MVNO)の熱き電脳戦記である。
【第一章】通信の絶対秩序
ギガの価格が高騰し、国民が通信制限の恐怖に怯える暗黒の時代。大手通信キャリアの帝国『docomo』は、圧倒的な基地局数と資金力を背景に、日本の電波を完全独占しようと企んでいた。
「愚かな民どもめ。我が大容量プランに高い金を払い続けるがいい!」
docomoの圧倒的な力に、多くのライトユーザーが涙をのんでいた。その支配に反旗を翻したのが、関西生まれの優しい戦士、mineo(マイネオ)の「マイ」だった。
マイの戦闘力(基本速度)は決して高くない。しかし、彼女には独自の秘儀があった。
- 必殺技①『パケット放題1Mbps』
どれだけ使っても速度が落ちない、中速の無限結界。動画やSNSを日常使いする民を救う慈愛の技。 - 必殺技②『パケットシェア』
仲間同士で余ったギガを分け合い、無駄を一切出さない絆の技。
マイの周りには、同じ志を持つ頼もしい仲間たちが集まっていた。
- IIJmioの「ミオ」:老舗の風格漂う、技術力に長けたクールな魔術師。ファミリーシェアプランの先駆者。
- HISモバイルの「ヒス」:海外旅行と格安プランを武器に、変幻自在のステップで敵を翻弄する軽戦士。
- 日本通信SIMの「シム」:合理的かつ冷徹に、合理的290プランなどの「原価」を突く一撃必殺の仕事人。
「みんな、いくよ!私たちの通信で、みんなの笑顔を取り戻すんだ!」
【第二章】圧倒的な壁と、早すぎた覚醒
四人は力を合わせ、docomoの牙城へと攻め入った。しかし、docomoの防御壁「プレミアム4G」と圧倒的な帯域(バンド)の前に、ミオの技術も、ヒスのステップも、シムの合理的一撃も通用しない。
「くっ、なんて圧倒的なスピードと容量…!通信網の太さが違いすぎる!」
防戦一方に追い詰められたマイ。仲間たちが傷つき、倒れていく。その時、マイの胸の中にある「みんなに最高のコスパを届けたい」という執念が、奇跡の回路を開いた。
「おおおおおっ!変われ、私のパケットーーッ!!」
まばゆい光とともに、マイのパケットが進化を遂げる。
真・必殺技:『パケット放題3Mbps』!!
「これなら……これなら高画質動画もサクサク見られる!」進化したマイは、3Mbpsの濁流となってdocomoに猛攻を仕掛けた。これにはdocomoも一瞬怯む。しかし、王者の余裕は崩れない。
「ふははは!3Mbpsだと?現代の5G時代にそんな火縄銃のような速度で、我が1Gbpsの超高速通信に勝てると思ったか!」
docomoが放った「無制限アハモ・ギガホ」の濁流が、マイの3Mbpsを無慈悲に飲み込んだ。覚醒したはずのマイは膝をつき、絶望が戦場を支配した。
【第三章】帝国の傲慢、そして「パケ詰まり」
「これまでか……」
マイが目を閉じかけた、その時だった。突如、docomoの体が激しく揺れ動き、苦しみ始めた。
「な、何事だ!?体が重い……電波の巡りが……悪い!?」
異変をいち早く察知したのは、技術者のミオだった。
「……見えたわ。あいつ、あまりにも大容量プランでユーザーを囲い込みすぎたのよ。東京駅や渋谷駅といった都心部の基地局が全く足りていない!」
シムが不敵に笑う。
「ふん、設備投資をケチってトラフィックの爆発に耐え切れなくなったな。自業自得だ」
そう、docomoは自らの強大さに溺れ、エリアの最適化を怠っていた。アンテナ表示は「5G」の満本。しかし、中身は全くデータが流れない。俗に言う『パケ詰まり』の発症である!
巨大であればあるほど、パケ詰まりのダメージはデカい。docomoの動きは完全に停止し、ただの巨大な肉塊と化した。
「今よ、マイ!勝機は今しかないわ!」
ヒスが叫ぶ。
【第四章】絆のパケットシェア
「うん……みんなの想い、無駄にはしない!」
マイは立ち上がり、最後にして最大の奥義を発動した。
「集まれ、すべての格安SIMのパケットたちよ!『超・パケットシェア』!!!」
マイを中心に、巨大な通信の魔法陣が広がる。
「私の余ったギガ、全部使いなさい!」(ミオ)
「海外帰りの余剰パケット、1Byte残らずくれてやる!」(ヒス)
「原価ギリギリの、最も重い1ギガをくれてやろう」(シム)
それだけではない。全国の、mineoの、IIJmioの、HISモバイルの、日本通信SIMの、名もなき全ユーザーたちの「フリータンク」から、少しずつ、しかし果てしない量のパケットがマイの元へと集まっていく。
ひとつひとつは小さなギガ。しかし、それが数百万の絆で繋がったとき、docomoの太い回線すら凌駕する、見たこともない巨大なパケットの光柱となった。
「これで、終わりだァァァーーーッ!!!」
パケットシェア・グランドクルセイドがパケ詰まりで身動きの取れないdocomoを直撃する。
「ば、馬鹿なァァァ!我が最高品質の回線が、そんな安物たちの寄せ集めにぃぃぃーーー!!!」
轟音とともに、docomoの独占結界は粉々に砕け散った。
【エピローグ】新たな通信の夜明け
光が収まったあと、そこにはすっかり大人しくなり、適正な価格と誠実なエリア改善を誓うdocomoの姿があった。
「やったね、みんな!」
マイの呼びかけに、ミオは静かに微笑み、ヒスはハイタッチを交わし、シムはフッと鼻で笑った。大容量を誇る強者が勝つのではない。ユーザーの手の届くところで、寄り添い、分け合える者が最後に勝つのだ。日本の電波に、再びコスパと自由の風が吹き抜けた。
格安SIMたちの物語は、これからもユーザーのサイフに優しく続いていく。
(完)
