『オストリッチ・ウォー:巨鳥の逆襲』

【プロローグ】天災の誕生

すべては、あるバイオテクノロジー研究所の傲慢から始まった。

開発されたのは、脳の神経伝達物質を爆発的に活性化させる「超知能薬 ネオ・ルネサンス」。その実証実験の被検体に選ばれたのは、チンパンジーでもイルカでもなく、一匹のダチョウだった。

薬を投与されたそのダチョウーー後に人類から「オストリッチ・ワン」と恐怖される個体ーーの瞳に、かすかな、しかし冷徹な知性の光が宿る。IQは測定不能。人間のそれを遥かに凌駕した頭脳と、時速70キロで走り、数トンの打撃力を生む強靭な脚力。その融合は、最悪な化学反応を引き起こした。

ワンはわずか数分で檻の電子ロックの暗証番号を看破。警備員たちをその強力な蹴りの一撃で文字通り「蹴散らし」、研究室に残されていたネオ・ルネサンスの原液を強奪して、夜の街へと失踪した。

【第一章】鳥類の逆襲

悲劇は連鎖する。ワンは世界中の動物園や養殖場に潜入し、同胞たちに薬を次々と投与していったのだ。

知性を得たダチョウたちは、瞬く間に軍隊として組織化された。彼らは人間たちの油断を誘うように「ただの大きな鳥」のフリをしながら、都市のインフラを次々と破壊。通信網を遮断し、交通を麻痺させた。

「おい、まさかダチョウが……ひぃっ!?」

街中で響き渡る、地響きのような足音。時速70キロで突進してくる巨鳥の群れに、現代兵器を構える間もなく人間たちは圧倒されていく。高い知性を得た彼らは、人間の戦術すら完全に先読みしていた。世界は一瞬にして、ダチョウの支配下に置かれようとしていた。

【第二章】死地への強行突破

混沌の最中、主人公のタクヤは、かつてその研究所に勤めていた旧知の天才研究者・博士から通信を受ける。

「タクヤ、聞いてくれ!研究所の地下最深部には、あの薬の効果を完全に無効化する中和散布薬『レトログレード』が保管されている。あれを空中からバラ撒けば、奴らはただのダチョウに戻る!」

「わかった、俺が取ってくる!」

タクヤは一人、崩壊しつつある都市を駆け抜け、研究所を目指した。しかし、ダチョウたちもバカではない。研究所の周囲には、すでに強固な「鳥類包囲網」が敷かれていた。

「グルルルル……」

待ち受けていたのは、人間の防弾チョッキを身に纏い、鋭い眼光を放つダチョウの精鋭部隊。タクヤはバイクを急発進させ、彼らの隙を突こうとする。

ダチョウたちは道路標識をなぎ倒して即席のバリケードを作り、組織的な追い込み漁のようにタクヤを追い詰める。凄まじい脚力から繰り出される蹴りが、タクヤのバイクのリアフェンダーをかすめ、火花が散る。

「くそっ、なんて連携だ……!」

しかし、タクヤは諦めない。迫り来るダチョウの股下をスライディングで潜り抜け、研究室のセキュリティをハッキングしてダチョウたちを攪乱。知性には知性を、執念には執念を。数々の妨害を紙一重でパズルのようにクリアし、タクヤはついに研究所の最深部へと到達した。

そこにあったのは、青く輝く液体ーー『レトログレード』のシリンダーだった。

【エピローグ】大空からの解放

シリンダーを抱えたタクヤは、研究所の屋上へと駆け上がる。そこには、博士があらかじめ手配していた自動操縦の大型ヘリコプターが待機していた。

ヘリのローターが激しく回転し、機体が浮き上がる。

下を見下ろすと、屋上の扉をぶち破ったオストリッチ・ワンが、鋭いギザギザの瞳でタクヤを睨みつけていた。ワンは驚異的な跳躍力でヘリのスキッド(着陸脚)に掴まろうとしたが、一歩及ばず、地上へと取り残される。

「これで終わりだ!」

タクヤはヘリの散布レバーを力強く引き絞った。

空中から放出される、細かな霧状の『レトログレード』。それは風に乗り、都市を、そして世界を覆うように広がっていく。

「クワッ……?クエッ……?」

散布薬を浴びたダチョウたちの目が、徐々に焦点を失い、いつもの「何も考えていない虚無の瞳」へと戻っていく。武器を落とし、ただその場でパタパタと羽ばたきを始める鳥たち。

ワンもまた、己の脳から圧倒的な知性が消え去っていくのを悟ったのか、最後に天を仰ぎ、悲痛な鳴き声をあげた。そして次の瞬間には、足元に落ちていた小石を興味深そうについばみ始めた。

世界に静寂が戻る。

ヘリの窓から、ただの鳥に戻り、のどかに草原を走り回るダチョウたちを見下ろしながら、タクヤは深く息を吐いた。

人類と鳥類の奇妙な戦争は、こうして幕を閉じたのだった。

……fin?

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みき

気になったことを自分の意見も交えつつ記事にしていきます。 (内容は種類にこだわらずやっていきます)

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