主『……えー……』
主『何で人気の少ない駐車場にいるの?あのときみたいに気付かないうちに呼ばれたの?』
主『…普通に部屋で待ってたんだけどなワイ……』
『―――⚡⚡⚡⚡』
主『…この音は……』
『―――✨✨✨✨✨✨』
主『……うーん…』
『(降)』
リュージュ『…お待たせ!どうしたの、きょとんとして』
主『いやきょとんとはしてないわ』
主『呆れてんだわこの状況に』
リュージュ『…呆れるって何によ、せっかく来たのに』
主『いや主をわざわざ駐車場に呼ぶなよ』
主『それもこんな人気が少ないさあ』
リュージュ『…もう』
リュージュ『ワタルが話したいことがあるってモノリスが言ってたから来たのに…。不満ならこのまま帰るけど?』
主『もちろんあるけど自分呼んでないんだよな』
リュージュ『うん、呼んでないわね、あなたは』
リュージュ『だってモノリスに言われてきたし』
主『うんだから呆れてんのよな…』
主『…まあいいや…。せっかくだし相棒のこととかいろいろ聞きたいんだけどいい?』
主『場所が場所だけど』
リュージュ『べつにいいけど…いろいろってなに?』
主『いろいろはいろいろや』
リュージュ『ふーん……。よくわからないけど、答えられる範囲ならオッケー。
踏み込んだ話以外ならね』
主『っていうと』
リュージュ『プライベート…とか?』
主『そこまで踏み込まねえわ』
リュージュ『そう?アクセルしか踏めないでしょ、あなたは』
主『それ以上はやめていたいいやだこわい』
主『……で』
主『その車の名前は』
リュージュ『…ただのインプレッサだけど…。今更なによ』
主『はぁ~……そうですか』
リュージュ『…なに?』
主『これが普通の?』
リュージュ『だって普通でしょ、足回り以外どこも細工してないんだから』
主『いや~……。普通じゃないっしょ?』
主『いろんな意味で』
リュージュ『…難癖?』
主『ちゃうわ』
主『ほら、まだ正体が分からなかった頃さ』
主『周りの探偵と警察の間ですんごい噂になってたの知ってるでしょ』
リュージュ『ああ…。あったわね、そんなことも』
リュージュ『で?それがなに?』
主『…あのさあ』
主『他の探偵のマシンは事務所からの支給品って設定じゃん』
リュージュ『簡単に夢を壊さないでもらえる?』
リュージュ『私たちにもちゃんと魂があるんですけど』
主『ハイスンマセン』
主『……でさ』
主『そういう感じでしょ、他の子たちのマシンは』
リュージュ『うん、まあ…。大抵は支給品ね』
リュージュ『モノリスのMR-Sも私が渡したものだし』
主『けどそのインプは?』
リュージュ『え…なに急に?』
リュージュ『普通に依頼で貯まったお金をはたいて買った車だけど?』
主『……自前?』
リュージュ『…そうだけど』
主『その時点でもう格が違うというかさあ…』
リュージュ『…わかんないなぁ』
リュージュ『貯めたお金で車を買うことの何がそんなに気に食わないの?』
主『いや褒めてんのよこれ』
主『他とは格が違うね凄いねって』
リュージュ『ふーん……。よくわからないけど』
主『あとさ』
リュージュ『?』
主『うちの世界だとトヨタ車とかマツダ車とかホンダ車とかはまあよくいるというか…。
日産車も2台出てるけど』
主『スバル車はお前さんだけなんだよ』
リュージュ『……ふーん』
主『なんのこっちゃみたいな反応で済まそうとせんでもろて』
主『そこもまあヤバいんだけど…もっとヤバいこと一つあるじゃんね』
リュージュ『もっとヤバいこと…?あぁ…私が本気で走ったことは一回もないって話?』
主『イエス』
主『お前さんの普通が他から見たら普通じゃないって話』
主『たまにモノリスがちょこちょこ自分に言ってるんだけどさ』
リュージュ『?』
主『自分が乗ったときと所長が乗ったときとで全然違う、って』
主『何で軽く流しただけであんなに速いのって』
リュージュ『…大して攻め込んでないんだけど』
主『それでアレだからみんなヤバいヤバい言うんじゃん』
主『なんだっけ、今巡査の子と走ってきたんだっけ?』
主『車種でいうと青いFDに乗ってる』
リュージュ『うん、正解。初めてだから、いつもより少し遅い速度で走ってあげたんだけど』
リュージュ『…なんか拍子抜け。だってなかなか付いてこないんだもの』
主『いやそっちが速すぎるからや』
主『分かったでしょ、読者のみなさん』
主『誰も勝てない所以ってやつよこれが』
リュージュ『……あのね』
主『なんや』
リュージュ『私が他の探偵相手に本気で走ると思う?』
リュージュ『そもそも、普段からあんまり乗り気じゃないし』
主『乗り気じゃないとか言ってあんだけ速いのバケモンだろもう…』
リュージュ『だから大体は軽く一本走って終わりにしてるの。私も仕事しなきゃいけないし』
主『いいですか読者の皆さん…。こいつの言う『本気は出さない』に
絶対騙されてはニャらない……🐱』
主『そういう奴ほど大体は加減してくれるんだって思いがちだけど所長だけは…』
リュージュ『だから、本気で走ったことは一回もないってば』
リュージュ『手加減なら、いつもしてるわよ』
主『その手加減が手加減のレベルじゃないんだけどね』
リュージュ『…それ、モノリスからも散々言われてきたけど』
リュージュ『そんなに違うもの?』
主『差の開き方が尋常じゃなく違う』
主『モノリスが乗ったときはMR-Sよりもちょっと速いくらいだから背中はバッチリ追えるんだけど』
リュージュ『お前さんの場合はもう…前でも後ろでも速いから…』
リュージュ『…一応言っておくけど、他の探偵と走るときも軽く流す程度で済ませてるの』
リュージュ『完全に引き離したらかわいそうだし?』
主『完全に引き離してんだよなあ』
主『後ろにいたらめっちゃ煽るし』
主『前にいたらもうついていけないほどだし』
主『所長だけは今も誰一人勝ててないのほんとにバケモンのそれ』
リュージュ『…軽く走ってるだけなんだけどなぁ、私』
リュージュ『モノリスと一緒に走るときも、今まではただ車の違いを分からせるために
仕方なく付き合ってあげてたけど』
リュージュ『今は状況が状況だし、走りたくて仕方がない日がたま~にあるから付き合ってる感じ?』
主『そう聞くと本気で走ってそうだけどな』
リュージュ『そんな野蛮なこと致しませんっ』
リュージュ『さっきも言ったけど私、そもそも誰かと戦う気なんて最初からないもの』
主『…ほんとに乗り気じゃないんだなあ…』
リュージュ『前にセブンってS14に乗ってる子と走ったんだけど、雨は好きじゃないから
軽く流してたらバックミラーからいつの間にか消えてて』
主『いやヤバいヤバい』
リュージュ『なにが?』
主『…ちょっとタイヤが食わなくなったとかじゃなくて?』
リュージュ『うん、雨は苦手だしちゃちゃっと済ませたいからいつもみたいにかるーく流してたら
バックミラーからいなくなってたのよ』
主『…バケモンいるバケモンが』
リュージュ『…もう』
主『なんや』
リュージュ『…ほんとにわからないんだから、あなたって』
リュージュ『…話はこれで終わり?』
主『まあ時間やからな』
リュージュ『…うん、分かった』
リュージュ『じゃ、私はこれで帰るね。そろそろ眠いから』
主『ばいちゃ👋』
リュージュ『うん、じゃあね👋』
リュージュ『(乗)』
『💨🔥』
主『……所長に勝てる奴は永遠に出てこないんだろうな、たぶん』
主『…早く戻らんと』
