#4 カンタ君逃亡劇

前回の話

#4「値上げ」

未梨愛。俺の本当の幼馴染…あの言葉に間違いはないし、持病のことも知っていた。この子は本当に幼馴染なんだけど、どこか引っかかる…
それは…彼女の変わってしまった性格。
昔のおれを知っている貴重な存在…でもなぜだ?
……いつから彼女は、こんなにもやさぐれてしまったのだろうか?

ねぇ……未梨愛……君は昔の俺を知っていて、変わったと言ったよね?

…………

俺は、昔の記憶をほとんど覚えていないけど……でも未梨愛も変わったんじゃないのか?昔の君は、花を見たら幸せそうな笑顔で眺めてたのに、今の君は、花を見ると悲しそう……まるで、別人のようだ……

俺の前に立って背を向けて進んでいく未梨愛。ここまでは無言……
何が彼女をこんなに変えてしまったのか……
本当に彼女は、俺が知っている設楽未梨愛なのか?この子も、本物に見せかけた
偽物??

あのね、カンちゃん…お互いの過去のことは詮索しないでおきましょう。

……そうだね。

その言葉に同意した。少なくても今は、彼女が本物だとわかっているだけで安心感はある。あとは、このゲームを勝ち抜いていつも通りの日常を取り戻す……
いまは…………そのことだけ、考えよう…………

ピーーーー

突然、サイレンのような音が響き渡る。
駅のホーム画面に、黒いマスクを被った男が現れた。

諸君、おはよう!!現在の時刻は朝の10:30…………はやいねぇ…………まもなくお昼だ。あ、自己紹介がまだだったね…………
私の名前は、ライザック!このゲームを主催したものだ。100万を狙って、ある中学生を追いかけているかい?みんな、楽しんでいるかい?

ギャラリーのなかには、歓声と共にブーイングの声も上がっていた。どこのチャンネルをかけても、見たかった番組は休止されみんな俺のことばかり。
普通にテレビを見たい人は、嫌悪感を抱くはず…………

おやおや、人によってはこのゲームを楽しめていないようだね?そんな諸君らに朗報だ!なんと、いまなら対象の姫路幹汰を捕まえて私のもとへ傷ひとつなく連れて来られた勇者には、150万をプレゼントだ!
当初は、100万の予定だったがゲームはシステムが変わるからこそ面白い!そう思わないかい?諸君たち!!

100万から150万に懸賞金が変わったことは、すぐネットに拡散され、同時に俺の情報も流れた。路地裏に隠れていた、俺たちは作戦を考えていた…………

カンちゃん…これはヤバイかもしれないわ……今以上にカンちゃんを狙ってくるやつらが増えるかもしれない。カンちゃんは絶対に、私のそばを離れないでね?

女の子に守ってもらうなんて情けないと思いつつも、俺1人ではここまで逃げ切ることができなかったのも事実。ここは協力者がもっと必要かもしれない…………

うん……これから追手が増えることは間違いない。もっと助け合っていこう……未梨愛……協力者も少しずつ増やしていかないとね!

……協力者なんて必要ないわよ……私さえいれば、カンちゃんは無事なんだから……協力者なんていたら、カンちゃんと一緒にいる時間が減るし……私といれば、なんの問題もないよ?カンちゃん……

ギャラリーの歓声や奇声でそのとき、未梨愛がなんて言ったのか聞き取ることができなかった。

え、なんか言った?

ううん。なんでもない…
さ、行きましょう!

未梨愛は俺の手を取って人手が少ない場所に移動した。

第5話へつづく

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水樹

最初に絵を描き始めたのは小学生の頃でした。 それから、自分の世界観を文字におこしたり、絵にするのが趣味になっています!!

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