座敷童と輪廻と追憶 序章 座敷童のあおい

 時は明治。

 妖怪として生きているけど、人間になっていたら幸せだったんじゃないだろうかと思う。

 江戸の終わりまで幕府の人たちが女子供構わずに処刑していた。

 そのせいで子供達がやってくることが多かった。

 そして僕と仲良くするとそのまま家に帰らず、栄養失調で息を引き取る子供たちを何百人も見た。

 この古くて大きくてボロボロの屋敷を建てたのが僕の親だ。

 僕を産んでくれた親は人間だ。そして僕も元・人間だ。

 でも僕は大きくなる前に息を引き取った。

 理由は言えない。思い出したくない出来事だったから。

 永遠の眠りにつくのかと思ったら、妖怪となって生き返った。

 最初は「地縛霊」として生き返ったのかと思ったら、僕を「座敷童」とみんなが呼ぶようになった。

 どうして僕は座敷童として生きているの?どうして僕の元へ来た子供たちは家に帰らないの?

 何度もそう考えると悲しくなってくる。

 静かに暮らしていた。ある日、一人の少年が僕の敷地に入ってきた。その子は左腕が無い。

 旅人って感じの風貌だった。

「ここは良いお屋敷だなぁ・・・。凄く住みやすそうで居心地いいな!」

 また僕に会いに来たお客さんかと思ったら、信じられない事を言ってきた。

「うん!この屋敷に住もう!!まずは家具をこの辺に置いて、台所は使えそうかな?後は・・・。」

 家泥棒じゃん!何様のつもりで言っているんだ!?彼に注意しないと!

「ちょっと、ここは僕の家だけど・・・。」

「うわあ!!」

 そりゃあびっくりするよね。この家に住んでいる妖怪がいるんだもん。

「びっくりしたあ・・・。君みたいな可愛い女の子が住みついているなんて信じられねえな・・・。」

「僕はこの家に住む座敷童という妖怪だ。勝手に人の家を取るのは泥棒だよ!それと、僕はこう見えて男の子だから。」

「えっ?座敷童!?本物か!?」

 彼の目は珍しい物を見るように輝いていた。

「凄いなあ!可愛い身なりをした妖怪なのに男の子なんだあ!図鑑では女の子が多かったのに・・・!」

 確かに僕は女の子の身なりで勘違いされるけど、男の子の座敷童も世の中にはいる。

 キラキラと目を輝かせた彼は軽々しく僕に話しかけてきた。

「君、名前はあるのか?あったら何て言うんだ?」

「・・・・・・あおいって言うんだけど。」

「あおいかあ、可愛くて見た目通りの名前だな!」

 彼は右腕で僕の肩を掴んで激しく揺すってきた。左腕はどうしてないんだろうと考える暇が無かった。

「俺はふゆきって言うんだ!よろしくな!」

「はあ・・・。」

 ふゆき君って子は無邪気に笑った。流石に彼の明るさには僕も苦笑いをしてしまった。

「そういやあおいはこの家に住む妖怪だって言ってたな・・・。俺と一緒に住まねえか?」

 流石の発言にびっくりした僕は

「どうして!?」

 と叫んだ。

 ふゆき君の突飛的な言葉で本当に(居候の形で)住むことになった。

 これは、座敷童と一人の少年が奇妙な共同生活する物語

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イッチー

 アニメやマンガに、ゲームに小説を読むのが好きです。色々なイラストを描くのと少しビターな小説を描くのが得意です。イラストは小さい頃から描いてて凄く好きです。小説は登場人物が思い通りにならない話を書いたりするのが好きです。

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