アメリカ帰りの若い彫師

長年気になっていた手の甲のタトゥー。以前、女性彫師に「手の甲は彫れない」と断られたことがきっかけだった。手の甲には黒のブラックパンサーが入っており、一度レーザー除去を試みたものの、高額な費用の割には綺麗に消えなかった。どうにかカバーアップできないかと、一人でずっと悩み続けていた。

そんな中、アメリカン・トラディショナル(アメトラ)を得意とする彫師がいると聞き、心斎橋・アメリカ村のタトゥーショップへ足を運んだ。

担当してくれたのは、アメリカで修行してきたという21歳の若い彫師だった。最初は見てもらうだけのつもりだったが、オーナーから「もしタトゥーが入っていなかったら、何を彫りたい?」と聞かれ、「薔薇とナイフ」と答えたことから、自然と施術を受ける流れになった。

施術料は最初55,000円と提示され「少し高いな」と感じた。財布に40,000円しかないことを伝えると、「2回に分けて彫るので、残りは次回でいいですよ」と言ってもらえたため、お願いすることにした。

実際に彫り始めると、アメリカ帰りの彼の技術と手際の良さに驚かされた。日本の一般的な手法では針の出し幅は1.5mm程度だが、彼は2mm出していた。たった0.5mmの違いだが、タトゥーにおいてこの差は非常に大きい。さらに、通常はマシンを立てて彫るところを、彼は斜めに角度をつけて滑らかに彫っていくのだった。

アメリカの有名彫師なら1回の施術で50万円取ることもあり、まさにアメリカンドリームの世界だなと感心させられる。日本の最高峰と言われるショップでも10万円前後だ。大阪なら「スリータイズタトゥー(THREE TIDES TATTOO)」が最も有名で、オーナーが全国展開させたその店は、外国人観光客から場所を尋ねられるほどの知名度を誇っている。

そのスリータイズにも引けを取らないほど、アメリカで鍛え上げられたその21歳の若き彫師の腕前は見事だった。アメトラの本場で培った彼のセンスとスタイルは実に格好良く、将来が本当に楽しみな存在だ。10年後、彼がアメトラのシーンでさらに大成した頃に、また彫ってもらいたいと思っている。

最近の若い世代ではチカーノスタイルが流行しているようだが、本来のアメトラ(オールドスクール)は、本当にタトゥーやファッションが好きでおしゃれな人が選ぶジャンルだと思う。僕の世代はショップ自体が少なく、和彫りが主流だったため、アメトラを入れていた僕は友人から「変わり者」と呼ばれていた。

今はタトゥーがブームになっているのか、アメ村にも数多くのショップが存在する。だからこそ彫られる側も慎重に店を選ぶ必要がある。理想通りのタトゥーを入れるためにも、経験者の話を聞いたり、いくつかのショップを実際に回って調べたりすることが大切だ。

ちなみに僕は現在、ベトナム人の彫師に施術をお願いしている。今年中には目指しているデザインが完成する予定だ。今から仕上がりがとても楽しみだ。

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