昭和歌謡に魅せられて(仮)。~もっと、キャンディーズ!!!(その1)

2023年9月1日、キャンディーズがシングル「あなたに夢中」(オリコンチャート最高36位)でデビューしてから、ちょうど50年となりました。ちなみに、あの伝説の後楽園球場での解散コンサート(1978年4月4日)からでも、既に45年以上の歳月が流れていることになります。

いま思うとキャンディーズは、僕の青春の中でも大きい位置を占めているアイドル・グループだったように思われます。1977年7月の解散宣言を境に、どことなく見た感じもハーモニーも美しさを増していった彼女たちに、それまでよりもずっと多くの人々が声援を送るようになって行きました。世の中ではピンク・レディーが最盛期を迎えていましたが、それすらかすむほどに強い“春一番”が、大きなインパクトを残して吹き過ぎて行ったのです。

キャンディーズ・その3人のメンバーのうち、スーちゃんこと田中好子さんは、後に女優としてご活躍されながら、2011年、東日本大震災の直後に惜しくも亡くなられましたが、ランちゃんこと伊藤蘭さん(俳優の水谷豊さんとご結婚され、数年前からはソロ・アーティストとして音楽活動も再開)、ミキちゃんこと藤村美樹さんはご健在です。

そんなお二人が、デビュー50周年を記念してリリースされたCD5枚組BOX『The Platinum Collection〜50th Anniversary〜』に選曲で参加し、BOXにはお二人の対談を収録したブックレットも付属しています。

BOXのディスク1と2には、当時シングルとしてリリースされた楽曲を、ディスクごとに「A面」と「B面」、それぞれ発売順に収め(シングル「B面」の楽曲が発売順に1枚のディスクにまとめられるのは、今回が初めてとなります)、ボーナス・トラックとしてシングル曲関連のレアな音源を追加収録。そしてディスク3からは、ランちゃんセレクション、ミキちゃんセレクション、そしてお二人によるセレクション、といった具合に、シングル以外の楽曲からのセレクションを合計でおよそ60曲ほど収めており、BOX全体での収録曲数は100を超えます。これでもまだ、キャンディーズとしてのスタジオ録音音源全体の半分にも満たないのですが、そのあたりの取り残された楽曲たちの中の、隠れに隠れた(?)佳曲たちについては後ほど述べることにして、まずはやはり、かろうじてリアルタイムに間に合った長年のファンとしては、美麗なパッケージともども気になる、ランちゃん・ミキちゃんが選んだおよそ60曲、その内容について見て行きたいと思います。

まずは、ランちゃんセレクションから、次いでミキちゃんセレクション、お二人によるセレクションと、順に曲目とポイントをみて行きましょう。

曲数も多いので1曲ずつではなく、大ざっぱにみて行きたいと思います。

Disc③ 伊藤 蘭 マイ・フェイバリット・コレクション

01. アンティック ドール(ラン自作曲)

02. 愛のとりこ

03. あなたの悲しみ

04. 雨と涙とあのひとと

05. 秋のスケッチ

06. PAPER PLANE LOVE

07. 弱点みせたら駄目よ

08. 恋はふわふわ

09. 危険な関係

10. 行きずりの二人

11. 雨の日に偶然

12. 恋がひとつ(ラン自作曲)

13. 素敵な魔法使い(ミキ自作曲)

14. ガラスの星

15. IT’S VAIN TRY TO LOVE YOU AGAIN(ミキ自作曲)

16. 私の彼を紹介します(スー自作曲)

17. 午前零時の湘南道路(スー自作曲)

18. MOONLIGHT(ラン自作曲)

19. 悲しみのヒロイン(ラン自作曲)

20. SEXY(ミキ自作曲)

21. PLEASE COME AGAIN(スー自作曲)

2023年、46年ぶりに(今度はソロ・アーティストとして)紅白歌合戦のステージに立つことになったランちゃんですが、ここでは「自分がメインの曲」というよりは「お気に入りの曲」をセレクトしていったようです。自作曲のセレクトに際して、ご自分だけではなくスーちゃん・ミキちゃんのものも多く選んでいるあたりからも、それは伝わると思います。

このセレクションの中では、アルバム『年下の男の子』のラストで、非常にアダルティーな雰囲気をかもし出していたバラード「愛のとりこ」の収録が注目されます。

他にも、シングル候補として考えても十分に行けると思われる「PAPER PLANE LOVE」「恋はふわふわ」「危険な関係」、1976年にデビューし、キャンディーズの強力なライバルとなったピンク・レディーの作詞を一手に引き受けた阿久悠さんが唯一、キャンディーズに詞を提供し、作曲者の井上忠夫(のちに大輔)さん自ら、サックスの演奏で参加されていると推察される「弱点みせたら駄目よ」、「哀愁のシンフォニー」の三木たかしさんが作編曲を手がけ、ランちゃんのハイトーンボイスが印象的な「ガラスの星」(これはランちゃんの完全ソロです)といったあたりが目につきます。

Disc④ 藤村美樹 マイ・フェイバリット・コレクション

01. 買い物ブギ(ミキ自作曲)

02. 片想いの午後

03. 二人のラブトレイン

04. 帰れない夜

05. 朝のひとりごと

06. MY LOVE

07. MOON DROPS

08. 恋はサーフィンに乗って

09. めぐり逢えて

10. ミッドナイト・ハイウェイ(スー自作曲)

11. LOVE ME LOVE ME(スー自作曲)

12. キャンディ

13. 猫と兄貴(ミキ自作曲)

14. 鏡の中で(ラン自作曲)

15. なんとなく(スー自作曲)

16. ささやき(ラン自作曲)

17. FOR FREEDOM(ミキ自作曲)

18. 土曜日の夜(スー自作曲)

19. STOP!(ミキ自作曲)

20. あこがれ(ミキ自作曲)

キャンディーズ解散から数年後、松本隆さん・細野晴臣さんコンビの作による化粧品のCMソング「夢・恋・人。」をヒット(オリコン13位)させ、追ってアルバム『夢恋人』をリリースした後は、芸能界とは距離を置いているミキちゃん。

キャンディーズ時代、シングルでメインをとったのは「微笑がえし」の前の「わな」1曲だけでしたが、スタッフがあるルートを使ってテープを入手した、当時、毎年のようにグラミー賞をかっさらっていたスティーヴィー・ワンダーの、発表前の(!)新曲 ”Sir Duke”(邦題「愛するデューク」)を、蔵前国技館のステージでミキちゃんに歌わせるなど、その歌唱力と音楽性は高く評価されており、アルバムの中でも難しい楽曲を振られることが多くありました。そういったあたりは「帰れない夜」「めぐり逢えて」、そしてファイナル・カーニバルで最後の曲「つばさ」の前に(その時は3人で)歌われた「あこがれ」などで実感できるでしょう。

そしてミキちゃんもまた、セレクションの中に「ミッドナイト・ハイウェイ」「午前零時の湘南道路」など、スーちゃんの自作曲をいくつか入れ込むことを忘れませんでした。当時、スーちゃんには少女漫画でいうと『ハイティーン☆ブギ』であったり『ホットロード』であったり、そういった、雑誌『ティーンズロード』的な世界に対する、漠然としたあこがれがあったのかもしれませんね。

~(その2)につづきます。

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しんのすけ1965

昭和歌謡などの音楽以外にも、さまざまに興味を持っています。そういったあたりも、どしどし出していけたらいいなぁ………なんて、思っております。

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