#13 カンタ君逃亡劇

前回の話

部屋で未梨愛が倒れてから2日が経った。
彼女のベッドには、1人がベッドの上で眠っている。

……

目が覚めてボッーとする未梨愛を見て声をかけたのは三加和。
未梨愛は、放心状態で目が虚ろ。
いつもの彼女ではなかった…………

よかった~目が覚めたのねぇ!心配したのよぉ!!

このオカマがいるってことは、KMK?私なんで、眠って……

疲れてたのね…アナタ、丸2日も寝てたのよ…

2日も?!

金剛雨から言い渡された期限は今日までよね……
単独行動するか、カンちゃんと行動するか決める期限が今日。
私が決めなかったら2人で行くつもりなんでしょう…

なにか食べたほうがいいわ…起き上がれる?

三加和から差し伸べられた手をとって動こうとしたら重くて動けない…
重い箇所を見たら私は驚いた。

そこには、カンちゃんがいた。

カンちゃん!!!

そういえば、忘れてたわ…
その子アナタが目覚めるまで側にいるって聞かなかったの

私、ずっと…カンちゃんに避けられていると思ってた。
私のこと…嫌ってるんじゃないかって…
だからこうやって…
カンちゃんが私のそばに寄り添ってくれていたことが実感できて嬉しい。
私はまだ…カンちゃんの側にいたい……!!

カンちゃん…起きて…

クスッ……もう、決まったようね?

三加和は気を利かしたのか、そっと部屋を出て行って…
私とカンちゃん二人きりの空間になった。

余計なことしやがって…

ショウちゃんは、あの子のことどうしてそこまで嫌うの?

俺のシナリオに要らないから…女なんて、みんな…

ショウちゃん…

あの子は少し顔つきが変わったように見えたけど…
いま、変わらなきゃいけないのはショウちゃんかもしれないわね。
このままじゃ、いつか足を踏み外すわ…
あなたは自ら危険な橋を渡りすぎたの。
だから自分の限界が分からない…親なのに、
いままで気づけてあげられなくてごめんなさい…
あなたの親として、できることはするから…

そして、会議の時間は訪れた。

待たせたわね…

ああ随分と待ったよ。
全く困ったモンだぜ、主役でもないのに遅れてくるとか…
どこまでも勘違いヒロインなのかな?

ショ…ショウ!!

幹汰は終わるまで黙っててくれ…
会議が終わったら俺と一緒にここを旅立つんだから、
準備はしておいてくれよ?長旅になると思うからさ…

璃子ぉお、いまのきいたー?
あの子、何気にカンくんを口説きはじめたわー!

ちょっとぉぉ、いいじゃなぁ~い、
いますぐ2人でアメリカでもどこにでもイッチャイナ!
ワタシタチ応援してるからぁぁぁ~

や、やめてよ…荒木さん、三加和さん…
ショウだってそんなつもり…

な、なんだ?顔を赤く染めたぞ?その気あるのか?!

いやぁ~ん、ワタシタチ興奮しちゃう~!

これでもワタシタチ、腐のつく男子だから!
やだぁ、妄想とまらなぁ~~い(笑)

いい加減にしてよ!!会議が進まないじゃないか…

幹汰の言う通りだぞ?主題が始まらないと
俺と幹汰の旅もスタートしないんだから…

知ってるぅ!2人の熱い旅が始まるんでしょ?
カン君ならうちの子もらってくれてもいいわよ!

三加和氏の高度な冗談に戸惑った幹汰を見て、黄色い視線は翔貴の次の一言で収まった。

これから本題に入るけど、まだ会議を伸ばしたい理由でもある?

それって…どういうこと?! 

ないわよ!
この会議が終わったら、あなたたちにしばらくの間会えないじゃない…寂しいのよ?

そうよ!
ワタシタチ、ただ遊んでたように見えるかもしれないけど…
そうじゃないのよ?

荒木さん…三加和さん…

会議の邪魔をしているようにしか見えなかった…。

特にカンくんに会えなくなるのが恋しいの!
この子肌プニプニだし、ずっとここに置いていってほしいぐらいよ。そのための施設なんだし…でも、そうはいかないのよね?

…父さん達がただ単に幹汰を独占したいだけだろ?

あ、ばれたー(笑)

幹汰を独占するのは、この世で1人だけでいい。
設楽、君はどうするの?俺たちの旅に混ざるの?

聞き方―(笑)

三加和さん達がちょくちょく不毛な会話を挟んでいたのは…
ここを俺たちが離れるから引き留めていたらしい。
確かに会議が終われば、俺たちは居なくなる…

私…私も一緒に行くわ…アンタの都合は関係ない
私がカンちゃんといたいから行くの

未梨愛……

幹汰のためなら何でもする気はある?

ええ…もちろん

じゃあ、君には汚れ役をやってもらおうかな。
それが嫌ならココ、KMKで待機若しくは雑用係。
どっちがいい?

いいわ…もう私の手は、血で染まってるもの…
そっちのほうがやりやすいから…

11:00にここを出るから準備を済ませておいて。
時間になったら、ここを3人で出る

結果、俺たちの逃亡に未梨愛も加わった。
でも…未梨愛に課せられた任務は大きなものだった。
汚れ役って…あの時のようなことだよな?
また、あんな未梨愛をこれから先も俺は見る事になるのだろうか?
でもなんで、ショウはあの提案を出したのか…分からなかった。

まさか承諾するとはな……
これなら、幹汰と一緒にマンハッタンの海に沈んだ方が
地獄を見ずにすんだかもしれないな。
まぁ……汚れ役をやってくれるだけ有り難いけどね…。
さて、報告しなきゃな…

翔貴はインカムをつけ外国語で誰かと何かを話していた。
英語以外話せない幹汰には、
何を言ってるのかも分からずにただ聞いていたが…
1つだけ気になったことがあった。

『報告しなきゃな』って、一体誰に何の報告をしているのか…。
でも、そこまで踏み込んでいけない気がして
考え事をしていると時計の針は集合時間を指していた。

みんな行っちゃうのねぇ…
誰か1人くらい、残ってもいいのよ?

ワタシタチ寂しいわぁ…。
そうだ、あなたたちみんなコレとコレつけておいてね…

渡されたのはプロテクターとインカム。
プロテクターは既に、指紋認証と本人確認が済んでいた。
このインカムは、こっちに来れない三加和さん達が
俺たちに指示やアドバイスをくれるようだ。

できるだけ、ワタシタチもサポートするから
音声が聞こえたら何か合図をちょうだいね…

みんなぁ、気をつけてねぇぇ!!

俺たちは5日間くらいこのKMKに居て分かったことがある。
俺がいないと、ギャラリー以外ボイコットをすること。
ライザックが暴れて懸賞金を値上げしたこと…。
未梨愛とショウには、“何かがある“という事。

なんか静かだな…

父さん達は基本、テンションが高いからな…。
あのテンションに慣れると物静かなんだよ…

なんとなくわかる…

プロテクターだけど、
最初はセキュリティモードだから
10分間は俺たちの姿が透明化されている。
透明化が終わる頃にネットでは
お祭り騒ぎになるし、すぐ嗅ぎつけられる…
その間に少しでも遠い場所に行っておくと効率がいい

確かに…。
ここは東京で、この10分でいきなり大阪や他県には移動が不可能。
同県で今いる居場所からあり得ないような場所まで逃げ切るのが目標。

ていうかさ、現在地って一体どこなんだろう?

第14話へ続く

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水樹

最初に絵を描き始めたのは小学生の頃でした。 それから、自分の世界観を文字におこしたり、絵にするのが趣味になっています!!

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