500万の懸賞金を懸けられた姫路幹汰君?
その言葉は、メールの内容を見てショウの正体を解き明かしていくつもりだった俺の行動を縛った。
この子、どこかで見覚えがあるような…?
たしか、KMKにいたときにテレビに映りこんで…青い髪が特徴的なキレイな女の子。
私…飛坂藍羽。
玉の輿に乗ることを夢見てる普通の中学生よ!!
この場にいる誰しもが思った。なんだこの、空気の読めないオンナは…?
最初に突っかかっていったのは、未梨愛だった。同性ということが気に食わないらしい…
アンタ、何ができるの?
ただの金目当てのオンナは要らないわ…
わたしー?料理とかお裁縫、家事全般できるわよ!
へ、へぇ…
そういう、あなたは何ができるの?
どうして姫路幹汰君と一緒にいるの?
私はカンちゃんの幼馴染よ。私は護衛、アンタの能力は
いまこの場では何の役にも立たないわね!!
護衛くらいしかできないのねー。
女子力も低いし、そんなんじゃ好きな相手に嫌われるわよ?
家事ができるくらいで調子乗らないでよ!!
あんたに、人殺しなんてできないでしょ?
未梨愛と飛坂さんの過激な会話はヒートアップしていって、未梨愛が武器を取り出した。これはいよいよ危ないと思って俺が仲裁に入った。
うるさい口ね。その口、いますぐ止めてあげるわよ!!
やめろって!!!
未梨愛は小さな果物ナイフで飛坂さんの身体を狙おうとしていた。
俺がその手を掴むと、未梨愛が持っていた武器は音を立てて床に落ちた。
カンちゃん…
未梨愛やりすぎだよ!
飛坂さんは、俺たちに危害を加えてないから殺さなくていいと思うんだ!!それに、無暗に争い事を増やさないでくれ。もう、これ以上血で汚れる服とか顔とか…見たくない………
すると、飛坂さんは俺たちを交互に見つめたあと、真剣な表情であるものを見せた……
話が先に進まないから真実を言うけど、私には莫大なお金が必要なの。そのお金を払うまで私はシアワセにはなれない…。だから、姫路幹汰君…あなたを利用させてもらうわね
スカートのポッケから彼女が取り出したものは、数字の書かれた名札だった。
それはこのゲームの参加者である表明。その数字を見た瞬間、ずっと黙っていたショウが口を開けた。
やはり、君はナンバーだったんだね。飛坂さん…
え、ショウ…初めから知っていて??
ああ。金額を先に述べたときから、幹汰目当てじゃなくて
懸かっている賞金に目がいってたんじゃないかって思ってたさ。金目当ての瞳をしていたし……
全員、一緒に来てもらうわよ?ルールは守る。だから、姫路幹汰君に傷つけたりはしないわ…
お金さえ、手に入れば私の目標は達成するの!!
あの人が待つ場所まで連れていく
ライザックの居場所まで連行される俺たちだったが、じつはこれは一種の作戦だった。俺たちもライザックの居場所が分かればそこに行く予定だったから、お互いの目標が叶うまで一緒にいることになった。
信用はしてないけど、どうやら……本当にお金で困っているらしい……。
ピーーーーーーーーーーー
みんな聞こえる??
インカムが耳鳴りのように響いた。音量を上げすぎていたことに忘れて慌てて下げる。
ああ、聞こえる…。
実はね、その子について分かったことがあるの。
あなたたちが睨んでいる通り、お金目当てなのは確か。
経歴とかいろいろ探ってみたんだけど、その子生活で苦しんでるみたいね…全うな人生を歩んできていないみたい。
あなたたちに危害は一切加えないと思うわ…
万が一のことがあれば、ミリちゃんヨロシクね・・・?
ええ…分かっているわ……
インカムからの情報は、一時的にチームに加入した飛坂さんのことだった。
ああ、それとね?3分後にあなたたちがいるいまの場所に
100人くらいのギャラリーが追ってくるわ。
気をつけなさい…………ナンバー2人に、興味津々みたい……大変だろうけど、女の子を守るのは男の仕事♪
カンくん、ショウちゃん…頑張ってね☆彡
ブチッ
インカムはそこで途切れた。
三加和さんが言った通り、すぐにギャラリーが攻めてきた…
女性が苦手なショウはとても嫌そうに顔を強張っていた。
不本意だ…。それに、設楽なんて守ってあげる価値もないだろ…自分の身は自分で守れるんだしな
アンタに守ってもらう気なんてないわよ!
カンちゃんだったら、それはとてもいいことよねー
幹汰は守られる側だから、設楽はお・ま・け!
なんですって???
みんなで逃げていると、ずっと大人しかった飛坂さんが話しかけてきた。
渋々と俺に聞いてきたことは…意外なことで。
ねぇ、幹汰くんは……さ、あの人と何か関連性があるの?
どうして…そう思うの??
だって、おかしいじゃない?
あなたの情報晒したと思ったらあなたを傷つけるな、殺すな…それを守れなければ排除ってさ。遠回しに、君を守っているんじゃない?
ショウとも話したことあるけど、ライザックとの記憶はまだ思い出せない…
まだ・・・?
俺には昔の記憶がない。
思い出そうとすると持病が発症するから…
そう…
信用したつもりはないけれど、飛坂さんがどんな反応するのか少しこちらの情報を教えてみた。彼女の言う通り、そのことについて引っかかってはいたんだ。
何かあるのかなって…そのことも気になるけど、飛坂さんの情報について気になることがある。
その子、生活で苦しんでいるみたいね
彼女を、“お金お金“とお金に執着させる何かがあったのだろうか…。懸賞金なんて、誰が何に使おうが関係ない。使い方を間違えると…欲に塗れて身を滅ぼすことになる…