#24 カンタ君逃亡劇

前回の話

僕の名前はライアン。産まれた時から、声が出ないんだ………
でも文字は書けるから家族や親戚と話すときは、いつも筆談で会話をしている。
“声が出ない“僕を快く思わない連中もいるようで、僕はクラスでいじめられていた………

なんでしゃべらねーんだよ!!!

病気とか言っておきながら本当は演じてるんじゃねーの?

声が出ないから、叫ぶこともできず…身を守る護身術も覚えていないので顔を守ってクラスメイトからの攻撃を受けていた。

ねぇ、やめなよ男子―!可哀想じゃん

お前こいつのことが好きなのーー?

そんなわけないじゃーーん

だよねー

なんとか言えよ!!

攻撃はだんだん過激になって、2人がかりで踏まれそうになった僕は覚悟した…
ある少年達の声と予鈴によってその攻撃は止まった。

おい、大丈夫か?

君たち…見ているだけで誰も止めないのかい?最悪だな

その言葉を言われて見ているだけの女子も口ごもり黙ってしまう。
少年達のお陰で僕はその日攻撃を受けずにすんだ…見たことのない顔だった…
このあと担任の先生が転校生達を紹介すると言い。黒板と教壇の近くには、さっき自分を助けてくれた2人の人物が立っていた。

転校生の紹介が終わったあと…先生は僕に対するいじめ問題のアンケートや
僕のクラスは、先生と1対1の面談をした。その日は転校生達が声をかけてくれて一緒に帰った…

僕は、さっき助けてもらったのでお礼を2人に言った。そしたら、お礼なんていいよと笑って答えてくれた。話してみると2人とも気さくな感じで趣味も合い帰り道も同じ方向で、僕は彼らと登下校と休憩時間を共にした。

2人の名前は誰よりも早く覚えた。ライとザック………………
ライは背が高くてクール。僕と名前が少し被っていてライとはかなり仲良くなった。知的で勉強もできるので、苦手な教科をよく教えてもらっている。
ザックは、小さいけど空手を習っていて運動系が得意だ。球技は得意だが空手をいざというときに習っておいたほうがいいとザックに言われ護身術代わりに教わっていた。

この2人の登場以来、僕に対するいじめは完全になくなっていた。
担任も心配してくれているがいまのところいじめはないと伝えると安心しているようだ。

なぁなぁ、ライアン。この地域にある言い伝えって知ってるか?

僕らも引っ越してきたばかりだから…この街のことよく分からないんだけど、言い伝えがあるらしいね。
ザックと商店街に行ったとき、いきつけのおじさんが教えてくれたんだよ

2人よりも長くこの街にいるのに、言い伝えがあることは知らなかった。
“それって、どんなの?“って聞くと言い伝えについて教えてくれた。

幸運に恵まれたり、行いがいいと金の雨が降るらしい

その金の雨は、降っても見ることがなかなかできないらしいんだ………

降っているところを見れた人は幸せになれるんだってさ!!

“その雨を見れた人は幸せ者だね!”と僕は返した。

僕らも、いつか見れるといいよなーー

もう、こっちにいられなくなるし………

え・・・?

いま、なんて………………いなくなる??この2人が………折角友達になれたのに………離れていってしまうんだ………

僕は悲しくなって俯いた。
2人は決意したのか、なんでいなくなるのか理由を説明してくれた………

僕らは急遽、ここから離れることになったんだよ

僕らの両親が転勤族でね、明日ここから別なところにいくんだ

折角、友達になれたのに!!
でも、この2人という友達がいてくれて僕は十分に幸せだった…助けてくれたし………何か恩返しがしたいなぁ………この2人が喜ぶモノってなんだろう………

2人と別れたあと、僕は商店街に寄った。あの2人に感謝のお礼として残せるものを買おう!!

ありがとうな、ライアン………お前といられて楽しかったよ

また会えるといいな!

車に乗り込んで窓を開けて、ライとザックは言った。もう、2人が行っちゃう………その前に昨日購入したものを渡そう。
僕は紙に書いた文字を見せてラッピングされた箱を渡した。

ありがとう。あとで開けておくね!

Even if we can not meet each other’ we will always befriends while

we keep thinking each other

when gold rain fall wi shes come true.

英語のその意味を僕は知っている…また、いつか会おうね…最高の友達………………

ライアンからもらったそれ、中身なに?

あいつらしいよ………………

ライアンが2人に向けてプレゼントしたものは、手紙とお揃いの羽つきアクセだった。商店街で購入しようと思ったが買えなかったので、ショッピングモールで買った。手紙には“いつまでたっても僕らは最高の友達だ”と書いてあった。

車が発車して、ライアンが見えなくなっていった頃、金の雨が降った。

うわぁ、みて……ライ…金の雨だよ…

噂は本当だったんだな…

僕たちは幸せ者だね…

ああ…これからおこることはいいことしかないなんて恵まれてるよ

ライ、ザック………君たちも見ているかな?この金色に降り注ぐキレイな雨を………………いつか、願いはかなうね。

第25話へ続く

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水樹

最初に絵を描き始めたのは小学生の頃でした。 それから、自分の世界観を文字におこしたり、絵にするのが趣味になっています!!

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