2022年4月 楽しかった海外ドラマをご紹介 愛及屋烏
『アンフォゲッタブル 完全記憶捜査』(S1.2011~S4.2016)
Continuation from last page. 04-1
忘れられない=引きずる
「日常生活の中で市民に能力を見せつける」
→「アルor署から連絡が入り、現場臨場」
というのが、アンフォゲッタブルの冒頭部分の基本構成。
〇お店のレジで前の人の注文を一瞬で暗記、復唱
〇散歩代行のバイトが預かった複数の犬の名前とそれぞれの対応を教えてあげる
〇過去のスポーツの試合のスコア、選手情報から賭けの予想を立てる
〇公園のチェス広場で市民相手に多面打ちをし、かつ全勝
こういった平和的な能力使用だけならいいが、当然負の面もある。
その能力故に過去の事件を忘れられない。 一方で幸福だった時の記憶も忘れられない。
かつての恋人のアルとの悲喜こもごもだって、脳内に完全保存されている。
喧嘩の時の互いの発言は一言一句忘れない。 寝物語どころかピロートークもそのまま。
愛し合った時の諸々すら覚えている彼女にとって、元恋人との距離感は複雑極まりない。
言わば「時間が解決」やら「記憶が風化」が通用しないので関係性すらも色褪せてくれないのだ。
映像的伏線手法(解説)
キャリーの能力の都合上、ストーリー上の伏線はダイレクトに視覚情報として提示される。
重要な手掛かりや人物も最初はドラマの中で「風景」としてのみ登場する。
捜査中に見聞きした、それらの場面的な情報は、後になって彼女の能力として想起される。
「過去の切り取られた場面」に現在のキャリーが立ち、周囲を見回すというのが基本描写だ。
番組制作側からしたら、こんなに伏線の仕込みが楽なスタイルはないだろうと思う。
また登場人物の中にはキャリーの能力を逆手にとって、彼女にメッセージを送った強者もいた。
彼女が普段利用する場所に視覚的に目に入る伝言を残す (行きつけの移動販売車のメニュー板) →後になって、その伝言を残した日時場所を伝える →キャリーが思い出して伝言を受け取る、という離れ業だった。
設定を存分に活かす、作品作りは非常に見習いたい。
to be next page. 04-3