LSS #15-2

LATER SEQUELS SERIES #15

2025年7月  後年になって続編orリメイクが作られたシリーズ  愛及屋烏

サガフロンティア2(1999)

サガフロンティア2 リマスター(2025)

Continuation from last page. 15-1 https://no-value.jp/column/109316/

ヒストリーチョイス

本作の最大の特徴であるシナリオシステム。

プレイヤーは、世界地図上に示された歴史上のイベントを選択する事でシナリオを進める。

展開されるシナリオ(イベント)の内容は多種多様である。                                            四人前後のPTでの遺跡や樹海へのモンスターとの戦闘を含む探索行もあれば、                               「コンバット」という擬似的な戦争シミュレーションもあり、プレイヤーが介入出来ないエピソードを見るだけの物もある。                                                                                        1つのイベントを終えると次の時代のイベントが世界地図に現れる。

例えば、あるイベントが時間的にも地理的にも遠く離れた後代のイベントに密接に関わったり、歴史の表と裏を思いがけない形で繋いだりといった展開もある。

歴史と血筋をテーマにしただけあって、シナリオは重厚かつ、どこか物悲しさに満ちている。

メインシナリオは、国家間の戦争や政治の流れに大きく関わる表の歴史を描いた「ギュスターヴ編」と、関わるキャラクターの殆どが平民や冒険者で歴史書には記されない裏の歴史を描いた「ウィル・ナイツ編」の2つに大きく分かれる。

スタート時に選択出来るのは上記の2人だけだが、シナリオが進行し、時代が移り変わると、彼らの子孫や後継者などがプレイヤーキャラになる。

以前の主人公達は引退、死亡したり、以後の動きがはっきり語られなくなったりする。子孫・後継者だけでなく、前のシナリオの仲間キャラや敵が主人公をする外伝的なシナリオも多数ある。

このような主人公交代は『ロマサガ2』の感覚に近いが、この作品のキャラクターは汎用キャラではなく全て固有の人格と設定を持った生々しい人間達である。

生まれも育ちも、該当シナリオに関わる理由も様々。

つまり、前作の『サガ フロンティア』が大勢の主人公達を一貫して操作する事により、シナリオのバラエティの広さを追求したのに対して、この作品は歴史の裏と表という2つのシナリオの軸に複数の主人公を時代時代に交代させる事で、物語の深さを追求した作品といえる。

ギュスターヴ編は、術が使えない為に国を追放された王子・ギュスターヴが母親や友人の支えによって成長し、やがて自ら国を興し覇者となる王道的なサクセスストーリー。

ギュスターヴが表舞台を降りてからも、彼の後継者争いやその混乱に乗じた策謀等が描かれ、CMのキャッチコピー「主人公の死。そこから本当の物語は始まる」の通り、シナリオはさらに複雑に展開してゆく。

ウィル・ナイツ編はディガー(遺跡発掘者)として仕事をしながら父母の死の真相を探り復讐を遂げようとする初代主人公・ウィルことウィリアムと、彼の志を共有するナイツの子孫達の物語。                                                                                                                                                                オープニング時点では、まだ15歳の少年だったウィルは、主人公が自身の息子のリチャード(リッチ)を経て、孫娘のヴァージニア(ジニー)に交代した最終シナリオでも、全ての元凶と決着をつける為、85歳という高齢で参戦する。

ウィル編は「歴史の裏で行われた、人を魔に変える道具や人ならざるものと戦う一族の物語」である事から『ジョジョの奇妙な冒険』が元ネタではないかと考察されている。(初代ジョジョのジョナサンが三部にまで出てるイメージ)

ウィル自身の物語は特に丹念に描かれ、ディガーとして大成するまでの冒険や父母の死の真実を知る過程、仲間との出会いと別れ、息子の死、孫の成長と、生涯を通じてイベントが用意されている。

ギュスターヴ編の「兄弟再会」や「終戦後のデーヴィドの演説」。                                      ウィル編の「コーデリアの死」や「ヴァージニアの誕生」等、名場面と評されるイベントも多い。

ハッピーエンドながら、どこか切ないエンディングもパッケージの「折れた剣」と繋がったシーン演出等で評価が高い。

バトルシステム

本作、サガフロ2の戦闘システムは、『閃き』や『連携』といった従来のシステムを引き継ぎつつ、変更や新要素が加えられている。                                                               なお『見切り』は廃止されている。

■連携システム

前作よりも演出は抑えられたが、新たに敵との連携が可能になった。                             通常は最大4連携のところを、敵が自身に使う特殊能力を利用した5連携が可能。

連携数が増える程、ダメージも伸びる。これは後の作品にも引き継がれた。

味方の素早さに関係なく、任意でキャラ毎の行動順を設定(1st、2nd…と)出来る為、少し順番を計算すれば狙った連携を出し易くなった。

■デュエル

通常戦闘とは別の、敵と1対1で戦う新ルールの戦闘方法。斬る・払う・構える・炎・音といったコマンドを4つ組み合わせて行う。

「炎」や「音」はアニマと呼ばれる自然力・精霊力のような物。                                 例えば、戦闘場所で炎が燃えていたり、炎のアニマを持つ装備があれば「炎」を戦闘コマンドとして選択可能。術の構成要素でもある。

お供モンスターが出てこない、参加しない他メンバーのHPが回復する、技や術を効率よく習得できる等の多数のメリットがある。

その一方で、考えなしに戦っているとゲームオーバーになりやすい、参加者しか成長しない等のデメリットも存在する。

行動を特定の順序で選択すると、技・術・術技が発動する事があり、これに成功すれば「合成習得」として以後は通常バトルでも使用できる。

これにより、入力コマンドさえ知って、或いは覚えていれば、閃きや学習よりも技・術を効率よく習得できるようになる。

デュエルでしか習得の出来ない物もあるが、閃きでしか習得できない・閃きの方が習得し易いという物も多数存在しており、閃きの重要性を損なうような事にはなっていない。

相抜け・タイムリーアクション・カスタムアーツといった独自のシステムが存在しており、「構える」や「身を守る」等のコマンドにもそれぞれ効果がある。                                             ただし、要素が多い割に作り込みが足りず、あまり意味のない仕様もある。

リマスター版では、習得済みのアーツ表がボタン一つで閲覧出来るので、既に何を覚えたか、コマンドの順番の確認も容易になった。

■学習

戦闘中に特定の術系統(アニマ)を使用すると、戦闘終了後に未習得の合成術を習得するシステム。

ただし、無制限の学習は出来はせず、各キャラ毎に学習が可能な合成術の種類、及び術系統の種類との組み合わせが予め決まっている。

術の中には学習でしか習得の出来ない物※が存在する。

※特に有名なのは『魂の歌』。                                                                                                                                      学習でのみ修得が可能な火術で、味方全体を【再生(リジェネ)】状態にした上で【Morale(技威力判定値)】を【ベルセルク】と同強度で上昇させるという非常に強力な補助術
早い話が、味方全体に【生命力強化】と【狂戦士(バーサク)】抜きのベルセルクをかけるという術。
術コストも非常に高いが、2つの術を4人全員にかけるよりも消費は低く、何より個別にかける手間を省けるというのは非常に大きい。

■年齢の影響

本作ではバトルによる成長だけでなく、年齢によっても能力値が変化する。

子供・若者は生命力に溢れており、LP(ライフポイント)の最大値が高い。                                大人になると心身ともに充実してHP、WP、JPが全般的に高くなる。                                   老年に入るとHP、LP、WP等の身体的な数値は低下してしまうが、精神は衰えずJPは伸び続ける。

長期に渡ってバトルに参加するキャラは多くはないが、15歳~86歳とゲーム中で最長の活躍を見せるウィルは、これらの変化を顕著に確認できる。

■術システム

術の使用には、その源であるアニマを引き出せる装備や環境が必要になる。                          武具は性能だけではなく、引き出せるアニマも考えて整える必要がある。

その反面、従来は火術と水術等、相反する術系統の同時習得が出来なかったが、本作ではアニマさえ用意すればこれが可能となっている。

鉄や鋼といった金属製武具は、攻撃力・防御力に優れる反面、アニマを持たない為、術の触媒にならない。

また、金属製武具はアニマを阻害する性質があり、最大JPや術力が低下する。                     (反面、術による干渉を弱める為、術防御は上がる)。                                                                                                     この設定はギュスターヴ編のシナリオにも強く関わっている。

■装備は耐久制

本作ではGBサガシリーズのように、大半の装備に使用回数が設定されている。

装備は敵や宝箱等から余る程に入手が出来る。                                                                                                             装備を耐久度0まで使い切ると『チップ』という換金可能な通貨が手に入る為、基本的には使い捨て。

中には「クヴェル」という使用回数が無限の装備もある。

また、金属製武具も耐久が無限で使い減りしない。                                                                                                                                                                 なお、武具の耐久度は「該当武具を直接使用した時のみ減少する」という仕様になっている。

例えば、音のツール(アクセサリー枠)である「ウインドシェル」の場合。                             これの使用回数は固有術「音」を使用した時のみ減る。

複数のアニマを組み合わせる合成術の使用では減らない為、使用回数有りの武具のみで固めたとしても、やり方次第でどうとでもなる。

■LPシステム

旧作に比べて、各キャラの持つLP(ライフポイント)の重要度が高まっている。

前作までは、戦闘不能に陥る度にLPが減少し、ゼロになったキャラは離脱・使用不能という仕組みだった。                            今作では単に戦闘不能となった場合にはLPが減少しないが、LPが減少する局面は増えている。また戦闘中にキャラのLPがゼロになっても、戦闘後に1だけ回復する為、キャラが使用不能にはならなくなった。

前作までとは異なり、戦闘終了後のHPは最大値の1/4までしか回復しない。また戦闘以外でHP回復術は使用できない。

今回は、戦闘不能になっていなければ毎ターンの行動前にLPを1消費する事でHPを全回復できる。LP消費回復を行ったターンも、その後の行動に制約を受ける事はない。

また、技・術を使用する為のポイント(WP・JP)が0になっても、LPを消費して技・術を使用できる。なお、術と体術はLPを消費して繰り出すと通常よりダメージが増加する。                                                                                                       そうそう狙って使える物ではないが、最大ダメージの連携を狙うやり込み等にも使用された。

今作はLPを削りながら行われるバトルであり、ボス戦は「パーティーキャラのLPが尽きるまでにボスを倒せるか」がポイントである。常にLP残量に気を配る必要がある。

■ロールシステム

各キャラにロール(役割)を割り振る事で、戦闘時に独自の効果が発揮される。

「鉄砲玉」は最速で行動できる、「スカウト」は戦闘開始時に味方の陣形が崩れにくくなる、「術強化」は術の攻撃力が上昇する等。

これらを上手く活用すれば、戦闘の難易度を劇的に下げる事が可能。                              序盤から超強敵を撃破するといったやり込みも可能になる。

ただし、設定ミスで効果が実際には無い物、効果が表記とは異なる物が半数近くあり、意欲的な要素だが粗も多い。

リマスター版では、これらのミスは修正されているので、プレイの塩梅は大きく異なる。

■その他

戦闘の進行状況・優劣によって、「見逃す」「停戦交渉」「敗走する」等が出現する事があり、戦闘の早期決着を狙えるようになった。

どれが出現するかは、こちらと敵のHPの状況で変化する。                                成功確率はこちらが有利な状態なものほど高い。

前作では、勝てないレベルの強敵にうっかりぶつかっても、戦闘中に逃げる事が出来なかった為、こまめにクイックセーブする必要があった。

しかし本作では、全滅寸前の局面で「敗走する」「逃走する」等の退却コマンドが成功して、危機一髪で助かる事も多い。

また、「見逃す」「追い払う」等のこちらが優勢なコマンドの場合、味方の成長やアイテムドロップの判定は通常通り行われる。

つまり、「技/術の習得機会が減る」以外のデメリットは特に無い為、時間や武具の耐久度の節約にもなる。

これは前作にも言える事だが、敵味方の配置が割とバラバラになりやすい仕様がある。従って、敵を包囲する・味方がバラける・逆に敵に囲まれる等、同じ敵が相手でも戦闘に様々なシチュエーションが生まれる。

陣形をキチンと組めない反面、扇型や円型等の範囲攻撃が使いやすく、また局面によって範囲が大きく変わる為、どこでどう使うかが後のシリーズより大切。

to be next page. 15-3 https://no-value.jp/column/109847/

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愛及屋烏

ゲーム好き、小説好き、アニメ好き、三役揃いの物書きの端くれ。 ピンチに陥っても、それはそれで気楽にやるタイプ。 ●好きな言葉:続編・クロスオーバー・オールスター・アンサーソング・データ引継ぎ ●好きなゲーム:DQ・軌跡&イース・スパロボ・ゼルダ・神宮寺・逆裁・ラチェクラ ●好きなサブカル:ロボ全般・特撮全般・少、青年誌系 ●好きなドラマ:科捜研・相棒・CSI・キャッスル・十津川警部・赤い霊柩車 ●利用ソシャゲ:へプバン・ギアスロススト・Dr.STバトクラ・シンフォギアXD・スパロボDD・うたわれLF・ギター少女・勇者の飯 ●経歴:宮城出身、30代、なろう出版経験有 ●現在:脳梗塞療養にともないリハビリ&失業中

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