皆さんこんにちは、cubicです。今回は前回予告した通り、ベンゾジアゼピンの解説になります。バルビツール酸系の問題点を改善した鎮静剤、その作用や歴史について解説していきましょう!
ベンゾジアゼピンとは?
そもそもベンゾジアゼピンとは何ぞやという方のために、どんな薬なのかをざっくり紹介しておきましょう。ベンゾジアゼピンは、前回紹介したバルビツール酸系の問題点である「安全性」「依存のリスク」を改善した向精神薬になります。GABA受容体の神経伝達物質であるγ-アミノ酸の働きを強めることで、鎮静や催眠効果を得る、というもの。作用は短時間型、中間型、長時間型三つに分けられ、短時間、中間型主に不眠、長時間型は不安系統の治療薬として使われることが多いです。
歴史だ!
最初に開発されたのは1955年。クロルジアゼポキシドが偶然発見されたのが始まりです。発見された当初は「これええやん」と言われ好評でしたが、1980年代になると依存性のリスクが判明。さらに、イギリスでは史上最大の集団訴訟を引き起こしたこともあります。どうやら製薬会社が依存性を知っていたにもかかわらず医師にそれらのリスクを隠蔽した、とのこと。これがきっかけで患者には事前に薬の依存性を説明し、同意書にサインを求めるようになりました。
副作用ですぜ
いくら安全性が高いといっても副作用はあります。薬だもの。特に多く見られるのは眠気やめまい、集中力の低下など。ただし、この眠気を逆利用することで睡眠薬としての役割を果たすこともあります。中間型~長時間型の場合、就寝前に服用しても翌日まで効果が継続されるので、高齢者の場合は転倒して怪我をするリスクがあるため要注意。車の運転をする人も事故を起こすリスクがあるため、なるべく控えた方がいいかもしれませんね。その他、性欲の低下や、長期的な利用になると精神や身体機能の低下などがあります。メタアナリシスと呼ばれる手法では、認知症とベンゾジアゼピンの使用との因果関係があることがわかっています。過剰に摂取すると、バルビツール酸系よりはましですが、それなりに危険なのでやめましょう。ちなみに、このベンゾジアゼピンの効果を打ち消す薬として、フルマゼニルが存在します。こちらは、手術や検査でベンゾジアゼピン系麻酔薬を投与された患者がなかなか起きない場合(覚醒遅延)や、呼吸が抑制された場合、状況を見ながら使用することがあります。
以上、ベンゾジアゼピンの解説でした。「薬はリスク」という言葉がある通り、どんな薬も使い方によっては毒になり得ます。睡眠薬の過剰摂取で呼吸が抑制され、永遠の眠りにつく⋯⋯なんてこともあり得るので、医師からの指示は必ず守り、異常が生じた場合はなるべく早めに病院を受診しましょう。ではまた次回!