それは甘えではない!社交不安障害の特徴を理解しよう

社交不安障害は、(Socal Anxiety Disorder)の略でSAD、あるいは、社会不安障害、社交不安症と呼ばれることもあります。ある特定の状況で何かをしなければらなない時に、緊張感が高まり、強い不安や恐怖を感じるようになり、次第にその状況を避けるようになってしまう病気です。

社交不安障害は、「性格の問題」「気持ちの問題」と言われてしまうことも多いですが、10人に1~2人が発症する可能性があると言われています。
「人前であがってしまって、うまく話すことができない」ということは多くの人が経験することだと思います。

しかし、「うまく話すことができなくて恥をかいたらどうしよう」と思うようになり、そのような場面を避けるようになっているとしたら、それは性格の問題というわけではないかもしれません。

解明されていない原因

社交不安障害の原因は解明されてはいない状況です。
考えられているものとして、例えばセロトニンなどの神経伝達物質の不足が原因と言われています。

神経伝達物質の不足によって、強い不安や恐怖を感じやすい状態になっていると考えられています。
また、真面目で責任感が強い人や、人との関わりが苦手な人が社交不安障害になりやすい傾向にあると言われています。

主に症状が出やすい状況について

例えば「人の視線が気になる」ことや、「人前で何かをしなければならない」という時に症状が表れやすくなります。
それは、内容の重要性を問わず、日常的によくあるような場面でも症状が表れます。
いろいろな場面に遭遇した時に、恐怖心や緊張によって、できなくなってしまうということが多いです。

克服するための5つの認知行動療法

人はなかなか自分の思考を変えることは難しいと思います。
特に不安や恐怖にとらわれている思考を変えるためには、認知行動療法という精神療法が有効な治療法のひとつです。

思考パターンを変えたり、緊張感を和らげることにより、人前にでることが恥ずかしいというような回避行動を軽減することができます。
認知行動療法は5つに分かれていています。

「認知修正療法とは?」

自分の行動が周囲の人に、不快感や不信感などを持たれているのかを考え、実際に確認することにより不安や恐怖を軽減、解消していく療法です。

「段階的暴露療法とは?」

2~10名程度の集団で認知行動療法を行うものです。基本的にカウンセラーとのやりとりが多い他の療法と違う点は、他の患者との関りのを持つというところです。

ものの捉え方や困りごとの共有、それに対する意見交換などを行います。
他の患者と不安や悩みなどを共有することで、不安を和らげることや、他の患者の意見を聞くことにより、問題解決のヒントに繋がる可能性もうまれます。

「社会技術訓練とは?」

社交的な場面での対人関係を学ぶことにより、人前での不安や恐怖を軽減する訓練です。

「不安対処訓練とは?」

不安や恐怖によって過呼吸になってしまう可能性もあります。 その時の呼吸法や、緊張感を和らげるためのリラクゼーションを学ぶための訓練です。

セルフケアも重要

セルフケアをきちんとすることにより、高い効果があらわれることもあります。
不安や恐怖が強く感じられている時には生活のリズムが崩れてしまうことが多いかもしれません。
しかし、できる限りリズムのある生活を送ることが症状を和らげることに繋がります。

「セロトニンを増やそう」

セロトニンは、不安を和らげる効果がありますが、強い不安を感じている状態になっていると、セロトニンが減少してしまいます。

例えば、「日光を浴びる」「バランスの取れた食事」「適度な運動」をすることで増やすことが可能です。

周囲の協力について

社交不安障害は、性格や気持ちの問題と思われてしまうことが多いです。 自分自身でもそう思ってしまうことも多いので、なかなか相談することも難しくなってしまいます。 もしも家族や友人が、社交不安障害の可能性があると思ったら、どうすれば良いのか考えていきたいと思います 。

もしも身近な人が社交不安障害になったら

不安や恐怖に感じていることを話している時に耳を傾けることが大切です。
社交不安障害は甘えているわけではありませんので、例えば頑張れという励ましの言葉も負担になってしまうこともあります。

悩みに対して共感の言葉をかけると、少しずつ心を開いて、相談しやすい状況になってくると思います。

また、通院することに対しても不安に感じている場合もあるため、少しずつ通院を勧める話にもっていくのが良いと思います。
無理に通院をさせようとすると、負担になってしまい、心を閉ざしてしまうことも考えられます。
通院の際に付き添いや送迎などをすると、不安の軽減になると思います。

*通院の際には、大勢の人がいる場合もあります。受付をしたり、待合室で待機をして診察を受けるまでの間に不安を感じることを考えて、付き添いがいることで、通院しやすい状況をつくることができると思います。

焦らずにゆっくりと対処していくことが大切

社交不安障害は、治療を開始してすぐに治るということではありません。 人前で何かをすることに徐々に慣れていく必要があります。 治療の過程がうまくいかないこともあるかもしれませんが、克服できそうなところから少しずつ目標をたてていくことも良いと思います。

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ラーメン君

クラッチという杖を使用している身体障碍者です。 記事を書き始めた頃は、自分が思っていることや、障害を持っていることで経験したことを中心に書いていました。 最近は、自分とは違う障害や病気のことなどを取りあげています。 記事を書きながら、自分自身もいろいろなことを知る良い機会になっています。 少しでも多くの方々に見て頂けるような記事を書きたいと思っていますので、宜しくお願いします。

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