SUCCESS NET NOVEL #06
2025年8月 なろう等のネット小説で諸々成功した作品 愛及屋烏
片田舎のおっさん、剣聖になる
~ただの田舎の剣術師範だったのに、大成した弟子たちが俺を放ってくれない件~
Continuation from last page. 6-1 https://no-value.jp/column/128419/
メインキャラクター・1
ベリル・ガーデナント
CV.平田広明
『片田舎のおっさん、剣聖になる』の主人公。
中年(書籍版では45〜6)の独身男性。
物語の開始冒頭まで、レベリス王国の片田舎にある山村・ビデン村の道場で剣術師範をしていた。 (ベリル当人はヘンブリッツに言及されるまで、一切自覚していなかったが)武芸者達の間では「片田舎の剣聖」と噂される作中屈指の実力者にして人格者である。
弟子の一人であるアリューシアにレベリオ騎士団の指南役に推薦され、自己評価の低さ故に渋るも、アリューシアが(ベリルの逃避を見越していたかの様に)事前に用意していた、国王の御璽印章入り任命書を盾に押し切られる。
更に父モルデアに「折角だし首都に腰を据えて役目を果たして来い」「後、この歳になるまで浮いた話も無かったんだし嫁探しもしろ、嫁っこ見つかるまで帰ってくるな」と道場を追い出され、首都バルトレーンに留まる事になった。
性格は優しくお人好しで、人から頼られると無下に断る事が出来ない。
敵対者であってもなるべく致命傷や不具になる様な攻撃は避けるが、それが必要であれば冷酷な判断をも下せる覚悟を備えており、単に「甘い」訳ではない。 また守りたい者を傷つけられたり、弱い者を傷つける相手に対しては断固として立ち向かう。
後述の様に教育者の意識が強い為、子供・年少の者に非常に優しく、子供に悪い物事が近づこうとすると厳しくはね飛ばす。
多くの優秀な弟子を輩出しており、その弟子からも慕われているが、自己評価は異常に低い。
低い自己評価の原因としては若い頃に冒険者を目指したものの初歩の段階で失敗した苦い経験や、ベリル以上の実力者たるモルデアに勝てないまま引退された事などが原因と思われる。
つまり、「己が何も成せなかったことに囚われている」。
書籍版(なろう版)はベリルの一人称で物語が進む。内言は明るく、物事を若干茶化して捉えるため年齢よりも幾分若さを感じさせる。
漫画版では年齢相応の落ち着いた様子を見せ、特に剣を握っている間は圧倒的な強者の威風振りをはらい、その強さがより際立った描写がなされている。 弟子の1人であるバルデルは「剣士の能力が動物のイメージに観える」という特技を持つが、ベリルには「暗闇に無数の蛸の足、無数の眼、剣を持つ腕」という、名状しがたい怪物の姿を観た。
一通りの武器は使えるがロングソードをもっとも得意とする。
肉体(フィジカル)面では、自他共に認める「おっさん」故にピークを過ぎており、アリューシアやクルニ、スレナら現在表舞台の最前線で活躍している若い高弟達と比すると純粋な筋力、敏捷性、スタミナではやや見劣りする。
それでも一人の剣士としてレベリス王国最上位級の実力者。
技の冴え、身のこなし・体術の精妙さや駆け引きにおける老獪さもそうだが、特に相手のどんな挙動やその根にある意の現れも見逃さない鋭い「見」の力。 そして、それに裏打ちされた勝負勘や洞察力の鋭さは比類ないレベルで、武器屋でも試し切りの巻き藁を断面から落とす事なく静謐に両断した(それも研ぎも済んでないナマクラ剣で)ばかりか、「轟剣」の異名を持つ副騎士団長ヘンブリッツや冒険者ギルドでも最上位「ブラックランク」に至った、元弟子のスレナを相手にしても、木剣での手合わせで封殺できる程。
その先読み能力は、マンガ版では何手も先の「結果」を幻視するという形で表現されている。
アリューシア・シトラス
CV.東山奈央
レベリオ騎士団の団長を務める、長い銀髪と白い肌に碧眼が特徴のクールな美貌を持つ女性。
ベリルの元弟子であり、今でも彼の事を心から師として慕っている。
彼を騎士団の剣術特別指南役に推薦した、この物語の起点人物。
若年ながらレベリオ騎士団の団長を務め、国王から剣術指南役を打診され、部下や国からの人望も篤い。
しかし、元は貴族ではなく商家の生まれで入門の理由も単に護身術の会得の一環で両親が勧めたものであるが、道場でも非常に物覚えが良い所為か、一気にその才能が開花し四年で免許皆伝を受け、王国騎士団の入団試験でも試験官をも凌駕する実力を見せる。
入団後もそれを遺憾なく発揮して頭角を現し、年若い女性ながら最年少で担った騎士団長の重職を捌く知力や政治力も高いものを備えている。
ただし、アリューシア本人は自身の実力がベリルには及ばないと認識しており、騎士として活躍する目的も「ベリルの実力に相応しい舞台を用意する」為。 ベリルを指南役に推薦したのも彼女の人生を賭した計画の一部である。
ベリルに対し、大きな好意(それも「恩師への親愛・敬愛」のみならず「ひとりの異性として」)を寄せており、道場卒業の記念にベリルから贈られた剣を騎士団長となった今でも愛用している。
特に態度からも顕著に滲み出ており、彼が女性の近くにいると不機嫌になる他、彼の話題になると無呼吸早口でまくし立て、実家の道場を追い出される形で首都に送られ、家の都合がついていないと語ったベリルにノータイムで嬉々として「私の家などはどうでしょう」と誘う(直後に真っ青な顔で「絶対ダメでしょ」と断られたが)。
上述の事から相当に愛が重いが、肝心のベリルからは年齢差や立場の違い等から恋愛対象とは見なされていない。
片手直剣を得物とする正統派の剣士。
ベリルをして「剣士の完成形の一つ」と言わしめる程の実力を持つ。
道場を卒業後、直ぐに入団試験に臨む。 同期の剣士や試験官を担当した熟練の剣士、騎士団に所属する全ての者を自らやベリルと比べて、「遅すぎる」と断じる程の速さは、後に『神速』の異名を得る。
単純な剣速ならスレナ等、勝る弟子もいるが、その差を物ともしないのは、無動状態から身体を一気に加速させる技術にある。
彼女と対峙する相手からは、『起こり』や『溜め』といった予備動作が殆ど無い様に見えてしまい「剣を構えていない状態から、一瞬で相手の目前に突きつける」という様に映る程。
スレナ・リサンデラ
CV.上田瞳
ベリルの弟子の一人。
現在では、ギルドに所属する冒険者の中でもランク最上位「ブラックランク」の冒険者の女性。(世界的にも稀な、不世出とされる位階)
実用性に重きを置いたブレストプレートを身に纏った、燃える炎の様な色の長髪を黒い大きなリボンでまとめた、背の高い勝気な美人の二刀流の剣士。
両親を失い孤児となったところをベリルが救助・保護し、里親が見つかり養子に引き取られるまでの3年間、彼の家で面倒を見てもらっていた事から、彼の様に「誰かを助けられる人間になる事」を目標にして戦ってきた。
若い様に見えるが実年齢は20代後半。
実力的にも、ベリルを巡るヒロインとしても、アリューシアのライバルといった存在。
だが、ベリルとのやり取りの様子を見たメイゲンからは、「親子の様だ」と評されてしまう。
両親を失った事故で救助され、ベリルの実家・ガーデナント家に保護された当初は事故の心的外傷(トラウマ)に苦しみ、心を閉ざしがちであった。 だが、ある冬の夜に高熱を出して苦しんでいた自分を吹雪の吹きすさぶ中、必死に抱えて診療所へ担ぎ込み、その後も献身的に看病をベリルがしてくれた事で、心を開き始める。
そこからのガーデナント家の暮らしやベリルから剣を習い始めた事で心身の健康を取り戻し成長していった為、大恩あるベリルの事はとても強く慕っている。 アリューシアの様な「異性愛」と言うよりは、むしろ先のメイゲンの目から見た印象も鑑みれば「家族愛」に近く、ベリルが所用で冒険者ギルドを訪れた際も、ギルドや冒険者の常識・慣習に疎く、ぱっと見は「そこら辺によく居る気のいいおじさん」な風情故に荒くれの多いギルドでは、粗雑に扱われがちなベリルの事は最上位冒険者として甲斐甲斐しくフォローしている。
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