あらすじ
駅のベンチに一人座り、途方にくれていた主人公の女性スジン。その後立ち上がると、涙を流しながら公衆電話の方へ歩いて行くが、結局電話を掛けずに構内を立ち去る。帰りに立ち寄ったコンビニに忘れた財布とコーラを取りに戻ると、コーラを持った男性に出くわす。その男性が盗んだと思い、持ってたコーラを奪い缶を開けるなりごくごく飲むスジン。そして、突き返した男性こそが、スジンの後の運命の人となる。結局、自分が忘れただけで、その男性に悪い事をしたと思うのだが・・・。暫くして、会社の物件を修繕に来た男性(チョルス)。あのコンビニの人だとスジンは気付き、コソコソしていた。仕事の帰りにバイクで走ってきた人に、カバンを引ったくられそうになった所を助けて貰った事がきっかけでチョルスを好きになっていく。チョルスも、あの時の女の人だと分かっていた。チョルスは気にしていた訳ではないが、彼女のアプローチの末、遂に恋人同士になる。二人は、楽しい時間を重ね、スジンは結婚を意識するようになる。ある日、煮えきらない彼に内緒で、家族をレストランに呼ぶ。娘と彼とじゃ釣り合わないと父に反対される中、トイレに行くと行ったまま戻って来ないスジンは雨の中倒れてしまう。無我夢中で抱き抱え病院へ行くチョルスの姿を目の前にし、目を覚ました途端、彼に抱きつく娘の姿を目の前にした父は、結婚を許し、二人は愛を誓った。お互い仕事も結婚生活も順調にいき、幸せ一杯のように見えたが徐々に記憶が混濁していくスジン。暫くして、病院に行き検査を受ける。忘れていた病院に行くと、何度かの検査の後、スジンは27才の若さだがアルツハイマー病だと宣告される。
感想
純粋なラブストーリー。ストーリー展開がよく、スジンの元の恋人と別れ、コンビニの前でのチョルスとの偶然出会いなど、それぞれのシーンがのちの伏線となり次第に交わっていく。前半は、泣くところなどないのでは?という日常のシーンが続く。物忘れが激しくなっていることに気づいたスジンが病院の検査で、アルツハイマー病だと告知されたところで、すべてが変わっていく。スジンはチョルスのことを昔の恋人の名前で呼んでしまったり、失禁したりするようになる。スジンはチョルスの前から姿を消すことを決めて、手紙を残す。チョルスにとっては、初めて家族といえる関係をもてた相手でもあり、今まで許せなかった母親を受け入れることを教えてくれた大切なひとであったのだと思います。スジンは悩んだ末、チョルスの前から姿を消すシーン以降は涙が止まらない。スジンからの手紙を受け取ったチョルスは、スジンの居場所を探し当てる。二人が出会った思い出のコンビニで出会いを再現してみせ、記憶が少しだけ戻るシーンでエンディング。その後の二人の生活を知ることはできないが、きっとスジンはチョルスを思って生きていくのだと思います。スジンがただのお嬢様ではなく、なんとかして自立しようとしているところや、チョルスと身の丈にあった生活をしているところも好感が持てる。ただ、日常がささやかな日常であるがゆえに悲しさも増す。ストーリー展開や配役がぴったりでした。ただ前半、もう少しテンポよく進んでもよかったと思います。
