川口俊和
[あらすじ] とある都市伝説。とある街の喫茶店のとある席。その席に座るとその間だけ、望んだ通りの時間に移動できるという…。
その喫茶店の名は『フニクリフニクラ』。
ただし、そこにはめんどくさいルールがある。
一、過去に戻っても、この喫茶店を訪れた事のない者には会う事ができない
二、過去に戻ってどんな努力をしても、現実は変わらない
三、過去に戻れる席には先客がいる
席に座れるのは、その先客が立った時だけ
四、過去に戻っても、席を立って移動する事はできない
五、過去に戻れるのは、コーヒーをカップに注いでから、
そのコーヒーが冷めてしまうまでの間だけ
あの日に戻れたら、あなたは誰に会いに行きますか?
[読んで感じたこと] 恋人、夫婦、姉妹、親子。それぞれの関係は複雑だが面白い。
恋人は彼氏と別れた女性、病気で記憶を失っていく夫を支える看護師、家出した姉とその両親の仲を取り持つ妹など。
この喫茶店は誰もがあの時に戻れればこんな事したかった、言いたかった事が言える。
ただ、現実が変わらないのが切ないし泣けてしまう。
一番印象に残ったのは、夫婦の物語。喫茶店内での会話も一言、一言、切ない。
最後に記憶を失うことを察した夫から看護師の妻への手紙が良く泣いてしまう。
是非とも本文を読んで欲しい。
涙を流すことを涙活というらしいが、それをしたい人にはこの本をお勧めする。
私がもしこの喫茶店に行き、会い、話をするのなら、亡くなった父かもしれない。
