「楽天イーグルスの問題児」
と呼ばれた男
Todd Linden(トッド・リンデン)

ライナス
球団関係者の調査で
フロントだけでなく、
選手や楽天ファンにも
差別発言を常習的に発言
していたのが明るみになり、
激怒したフロントから
戦力外通告を受けることに…。
こうしてリンデンは2軍に降格となったわけですが、こういった助っ人外国人選手はほとんどの場合、本人と球団との契約の中で、
「本人の申告無しに2軍に落とさない」
という契約が交わされているもので、このような形で2軍に降格させるというのは球団側が当該の選手に関して事実上来季の契約に関しては白紙の状態であると宣告したに等しいと言えるのです。
球団側は独自にリンデンの素行に関しての調査を遅まきながら行いました。そこで通訳や外国籍選手の中から、
「リンデンが日常的に日本人に対しての『差別的発言』をしている」
という声が球団の耳に入ることになるのです。そこではファンサービスでのファンとの交流でファンに対して日常的かつ恒常的に英語でスラングを放っていたことが発覚したのです。
リンデン自身は積極的にファンサービスに参加していたので、球団側はこれを肯定的に評価していたのですが、それが英語が分からないファンに対して差別的かつ侮辱的な発言を浴びせるために参加していたのでは…。と疑惑が持たれたのです。
球団側はファンに対して意見を求めたところ、英語を理解しているファンから、
「リンデンの『差別発言』は事実である」
という言質を得ました。そのファンからはリンデンが老若男女問わずファンに対して英語で日本人を蔑称するスラングを英語で笑顔で発言していたことを報告されました。そのうえで、
「日本人を差別するような選手を
日本球界でプレーさせ続けるのを
球団としてはどのように思っているのか」
という指摘を受けています。まあ、ご尤もな意見ではありますね。
さらに球団の通訳の方からも、リンデンがチームメイトに対して差別発言をしている[注3]という話も出てきました。最早、ここまでくると、よく日本球界でプレーしようと思ったな、と筆者としては感じてしまいます。まあ、日本野球を舐めていたのでしょうけど…。
その後、2軍でも対策を徹底されて低迷するリンデンに、遂に球団は見切りをつけます。10月27日に球団はリンデンに対して来季の契約を結ばない事を発表しました。こうして楽天イーグルスの稀代のトラブルメイカーとなったリンデンは、楽天と日本球界を去ることとなったのでした。
https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2010/09/07/articles/K20100907Z00002250.html
・[注3] もっとも、そのことでリンデン自身がチームメイトから距離を置かれていたかというとそんなことはなく、中村真人など気の合う選手とは仲良くしていたと言われています。
翌年に米国の独立リーグで
復帰。シーズン中に
「ナックル姫」と対決した
エピソードもご紹介!
こうしてリンデンは日本球界を去ることとなり、翌年から再び米国の野球界でプレーすることを決めたのでした。しかし、前年度の日本での低迷が影響したのか、メジャー、マイナー両リーグでの契約がまとまらず、リンデンは米独立リーグノース・アメリカン・リーグのエドモントン・キャピタルズと契約しました。ここでは日本でのように弱点を徹底的に突かれることがなかったのもあり、リンデンは開幕から好成績を上げ、メジャーリーグ復帰も現実的に視野の中に入る状態となっていました。
そんなリンデンが日本人投手に抑え込まれたというエピソードがあります。この年に同じく米独立リーグに挑戦し、マウイ・イカイカでプレーしていた「ナックル姫」の愛称で知られる吉田えり投手と8月9日に対戦をしたのでした。
結果は吉田投手の緩急をつけた投球術に翻弄されて2打数0安打となり、吉田投手の完勝となりました。なお、この登板で吉田投手は勝利投手となり、米独立リーグでは2人目の女性勝利投手(女性初はアイラ・ボーダーズ)、アジア出身選手では初の快挙を成し遂げました。
この結果をリンデンがどう思っていたかは残念ながら本人のインタビューなどがないので心情を推し量るしかできませんが、
「こういうこともある。だってここは独立リーグなんだから。」
といった心境だったのではないでしょうか。リンデン自身は完全にマイナー入団からのメジャーリーグ復帰を考えていたでしょうから、こういった「花試合」にはさほど興味や関心がなかったかもしれません。
翌年に古巣のジャイアンツ傘下の
3A選手として復帰!
しかしその翌年は成績の低迷で
現役を引退することに…。
こうして独立リーグ時代の好成績が認められ、リンデンは2012年にかつて所属していたサンフランシスコ・ジャイアンツとマイナー契約を結び、3A級のフレズノ・グリズリーズで127試合に出場しました。
しかし選手の若返りを図ろうとしていたメジャー側の方針があり、またグリズリーズ側も若手選手の底上げに注力していたため、球団の方針に全面的にそりが合わず、それなりの成績を収めていたリンデンでしたが、11月2日にFAの宣告を球団から通告されてしまいました。
リンデンは他球団のオファーを模索するものの名乗りを上げる球団は無く、リンデンは翌年の2013年もジャイアンツとマイナー契約を結び、グリズリーズで現役を続行しました。
しかしこの年はリンデン自身の年齢もあったのか、開幕から成績は低迷し、結局47試合の出場にとどまることになりました。その結果も相まってか、シーズンオフ当日の11月4日にリンデンは再び球団からFAの宣告通知を受けて退団することになります。
恐らくリンデン本人も自身の年齢とこの年度の成績という現実を見て、覚悟はしていたのでしょう。この年限りで現役を引退することを宣言しました。こうしてリンデンは波乱万丈の野球選手生活にピリオドを打ったのでした。
現役引退後は古巣の1A傘下の
球団で打撃コーチに就任!
コーチ退団後の現在は地元で
青少年野球の指導者として尽力中!
こうしてリンデンは現役を引退したのですが、これまでのリンデンの現役時代の成績が球団から一定の評価を受けたのでしょうか、リンデンは2014年から、ジャイアンツ傘下のA級オーガスタ・グリーンジャケッツの打撃コーチに就任することになりました。
2016年からは、同じジャイアンツ傘下のA+(ハイA)級サンノゼ・ジャイアンツの打撃コーチに昇格し、翌年の2017年まで若手選手を指導し、同年にコーチを退団しています。
リンデンはその後故郷のワシントンに帰郷し、翌年の2018年からはシアトルを拠点とする青少年野球指導クラブ「シティ・ベースボール」のコーチに就任しています(なお、本稿執筆時点の2026年時点も同クラブのコーチとして就任しています。)。
一応は野村野球の門下生であった(球団関係者曰く、リンデンはミーティングにも参加せず、監督の指導テキストである『ノムラの考え』もまともに見ていなかった、と証言しています。)リンデンが、今後指導者としてどのような評価を受けるのか、筆者としてはかなり興味がわいてくる話ではありますね。
・「シティ・ベースボール」のクラブサイト
City Sports Academy (@citybaseballacademy) • Instagram photos and videos
・リンデンについて
https://www.citybaseball.org/Coaches/3

「シティ・ベースボール」のコーチとして写真に写る
リンデン。同クラブでは数少ないプロ出身者として
クラブ側からの信頼も大きいようである。
まとめと本稿執筆の動機について
今回は普段執筆している内容から趣を変えて、筆者が「書いて面白そうな内容」という趣旨のもとに本稿を執筆しました。その中で偶然頭に浮かんだのが、
「楽天にいた『リンデン』って、今は何しているのかな⁉」
という事でした。個人的に応援していたわけでも好きだったわけでもなく、どちらかと言えば在籍時代の振る舞いに嫌悪感があったので、好きな選手ではなかったのですが、リンデンの活躍がなければ楽天初のCS進出とAクラス入りが出来なかったのも事実なので、その存在を
「不良助っ人外国人」
の名のもとに切り捨てるのは少々筆者の心の中では引っかかるものがありましたので、それならばこの場を借りてテーマにしてしまおう、という筆者の未だに治らぬ童心とスケベ心のもとに本稿を執筆しました(もうすぐアラフォーになるというのに…。)。
幸い、犯罪を犯して塀の内側に入ったという話は聞いていないので(それについては元育成だったミトレのリンクを参考に貼っておきます。https://www.daily.co.jp/baseball/2022/01/20/0014999428.shtml)、元気に暮らしていればいいな…。と考えていたのですが、情報調査したところ、青少年野球の指導者として辣腕をふるっている、という話を目にしたので、筆者としても安心して本稿を執筆できると思い、記事を書くことが出来ました。リンデンの指導の腕もあるのか、同クラブからメジャーやマイナーの選手が輩出されている、という事実も本稿を執筆する強い後押しとなりました。リンデンにはこれからも指導者として頑張ってほしいです。
これからも筆者としては息抜きのためにこのようにメインテーマから逸れた記事も執筆していきたいと思っていますので、是非ともご一読お願いいたします。
それではまた次回お会いいたしましょう!ライナスでした!
