感謝のあと一回

 過去に存在したNPO法人に筋トレのプログラムがあった。指導をしてくれた、元フィットネスジムのトレーナーをしていた人にすごく感謝している。
 自重負荷を主とした筋トレとストレッチなのだが、かなりきついメニューだった。だが腕立てをやっているときに私の腰辺りに乗ってきて「まだしゃべれるなら大丈夫」などと鼓舞し、私のことをかなり筋トレの素質があると言ってくれた。
 そのトレーナーは普段も食事以外では水しか飲まず、かなりストイックだが面白い人でユーモアでいつも皆を笑わせていた。私が落ち込んでるときも「筋トレやるよ」泣いていても「筋トレやるよ」終わった後汗が出過ぎて一時間ぐらいひかなかった。
 「どうして私はお腹がへこまないんだろう?」と相談したら「じゃあなんで脂だらけのラーメンを食べるの?」と返されぐうの音も出なかったのを覚えている。とにかくきついトレーニングだったので「これをこなせれば何でもできる」と過信に近い自信があった。
 そんなある日、その法人のスポンサー企業がお金の援助が出来ないことが決まった。すごいそのトレーナーさんとの別れが辛くて泣いた。あと何日でお別れだ・・と一回一回会うたびに涙が出そうになった。そのトレーナーさんにプレゼントをしようとスタンプを集めて吉牛の丼を貰うキャンペーンをやっていたので必死に通って丼をゲットした。その丼の中に「今まで優しさを教えてくれて本当に有難うございました」と記し渡した。その時の写真を今でも大事にとってある。
 そして迎えた最後のトレーニング。腕立てやスクワット、腹筋、様々なメニューを限界までやっていた。最後がスクワットだった。あまりにきつくて膝から倒れ落ちそうになったがトレーナーが「あと一回、あと一回」と必死の形相で声をかけてくる。このメニューを最後の一回までこなさないと今まで築き上げてきたこの人との関係性、愛情、思い出、全てが無になってしまう気がした。死に物狂いのあと一回、無事成し遂げて崩れ落ちた。
 絶対にあと一回。一回の重みをこれほど感じたのはこの時が一番だと思う。またこの人と会いたい。そして言ってほしい渾身の「あと一回・・・。」

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スターゲート

プロ野球観戦と、カラオケを歌うのが大好きな私は、本を読むのも趣味で主に新書コーナーに足繫く目を通しに行きます。今、一生懸命スマホやパソコンを勉強しています。表現力を磨いてどんどん発信していこうと考えています。【努力に勝る天才は無し】この言葉をモットーに精進していきます。皆さんどうぞ温かい目で見守って下さると幸いです。宜しくお願いします。

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