「最強のゴーストシンガー」と呼ばれた
マーニ・ニクソン(Marni Nixon)とは

【プロフィール】
マーニ・ニクソン(本名Margaret Nixon McEathron、1930年2月22日-2016年7月24日)はハリウッドのミュージカル映画全盛期(1950年代、1960年代)に女優の歌唱シーンを吹き替えたことで有名。
「ハリウッドの声」「ハリウッドを救った陰の立役者」と言われている。
彼女自身が銀幕の女優として映画に出演したのは、後に述べる「サウンド・オブ・ミュージック」のシスター、ソフィア役。
彼女の存在を知るファンからの熱烈な声が彼女をスクリーンに映し出すきっかけとなった。
MGM(メトロ・ゴールドウィン・メイヤー・スタジオ=ハリウッド大手の映画会社)に就職し、元々は普通に表舞台に立って歌って踊れるハリウッド女優になることがニクソンの夢であったから、嬉しかったに違いない。
【代表的な作品と感想】
『秘密の花園(The Secret Garden)』(1949年)
マーガレット・オブライエンの歌の吹き替え。
マーガレット・オブライエンはシャーリー・テンプル(1930年代の天才子役、後、政治家、外交官にもなる)の後を継ぐ存在として有名で、『若草の頃(Meet Me in St. Louis)』1944年)のジュディ・ガーランドの妹役トゥーティー・スミスを演じ、ここでは歌声も披露されている。また、『若草物語(Little Women)』1949年)ではジューン・アリソン演じるジョーの妹、三女エリザベス・マーチ(ベス)を見事に演じている。
この映画は残念ながら、筆者は見られていないのだが、マーガレット・オブライエンがまだ12歳頃であるから、きっとそれに合わせた歌声を披露していると思われる。当時のニクソンも19歳と若い。
『紳士は金髪がお好き(Gentlemen Prefer Blondes)』(1953年)
ローレライ役のマリリン・モンローが歌う「ダイヤが一番(Diamonnds Are a Girls Best Friend)」の高音域のみを吹き替えている。
セクシーなマリリン・モンローの声に合わせて違和感なく見事な吹き替えである。
『王様と私(The King and I)』(1956年)
デボラ・カー演じるアンナ・レオノーウェンズ役の歌声を全て吹き替えている。
『Shall We Dance?』『Getting To Know You』など。
ユル・ブリンナーとの掛け合いが見事。教師役らしく、気品のある歌声。
『めぐり逢い(An Affair to Remember)』(1957年)
デボラ・カー演じる元歌手テリー役の歌声を全て吹き替えている。
主題歌『An Affair to Remember(過ぎし日の恋)』など。
バックに流れるピアノとオーケストラに合わせ、画家ニッキー役のケーリー・グラントへ向けた大人の色気のある歌声。
※ニクソンの吹き替えは長い間、ハリウッドの業界関係者には知られていたが、トップシークレットであった。後のインタビューで親交のあったデボラ・カーが暴露したことにより、多くの人に知られることになる。
『緑の館(Green Mansions)』(1959年)
オードリー・ヘップバーン主演の恋愛映画。当時の夫、メル・ファーラーが監督を務める。エンドタイトル曲のソロ・ソプラノを担当。ノン・クレジット。
『ウエスト・サイド物語(West Side Story)』(1961年)
マリア役のナタリー・ウッドが歌う全曲を吹き替えている。
『Tonight』『I Feel Pretty』他。
ウッドの歌声は収録されていたが、会社の「より完璧な映画にしたい」という判断により、ニクソンの歌声に吹き替え。ウッドは非常にショックを受けた。
ウッドの声そっくりである。のびやかでハリのある生き生きとした歌声。
『マイ・フェア・レディ(My Fair Lady)』(1964年)
イライザ・ドゥーリトル役のオードリー・ヘップバーンが歌うほとんどを吹き替えている。
『Wouldnt It Be Loverly?』『I Could Have Danced All Night』など。
ヘップバーンが歌ったようにしか聴こえない。可愛らしさと気品のある歌声。少し鼻のかかったヘップバーンの声を見事に体現していると思う。
『メリー・ポピンズ(Mary Poppins)』(1964年)
ウォルト・ディズニー制作、アニメーションと実写が混じったジュリー・アンドリュースとディック・ヴァン・ダイクの出演で有名なミュージカル映画。
『Jolly Holiday(楽しい休日)』の中でガチョウ数羽の歌声を担当、メリー・ポピンズ役のアンドリュースと競演している。
滑稽でウィットに富んだ歌声を披露している。
『サウンド・オブ・ミュージック(The Sound Of Music)』(1965年)
修道女のシスター・ソフィア役で登場、『Maria(マリア)』の中でマリア役のジュリー・アンドリュースと競演するほか、終盤ではナチ憲兵隊の車からエンジン部品を秘かに取り出して亡命するトラップ一家の追走をできなくさせるなど、見せ場のある役どころを演じている。『Maria』での6人の修道女コーラスは掛け合いが見事で聴きごたえがあり、彼女の美しい歌声が際立っている。
筆者の個人的感想であるが、彼女の吹き替えた歌を聴くと、誰もが好みそうな模範的な歌声だが、その女優に合わせて声色、声のハリ、明るさ、品の良さ、時にはセクシーな雰囲気を表現できる、その辺の上手さが際立っていると思う。
【あとがき】
マーニ・ニクソンはとにかく歌が上手い。もっと表舞台に立って女優として活躍してもよかったのではないかと思う逸材である。
『サウンド・オブ・ミュージック』のスクリーン・テストで彼女はジュリー・アンドリュースやトラップ一家の子供たちのパートを丁寧に歌っている。
歌だけならニクソンの方がマリア役に合っているようにも聞こえる。
また、どの作品にも言えることだが、彼女のミュージカル愛、映画愛が込められていることがよく理解できるし、感動さえ覚える。彼女は偉大である。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
出典:Wikipedia マーニ・ニクソン 他
