2022年1月 楽しかった海外ドラマをご紹介 愛及屋烏
『キャッスル 〜ミステリー作家のNY事件簿』(S1.2009~S8.2016)
Continuation from last page. 01-1
―どうして編集者からきた出版お断りの手紙をオフィスに飾ってるの? ―俺の原動力になるからだよ
志望校に合格できなかった娘に自分の作家としての反骨心を曝け出す、友パパ。
恋多き家系?三世代ロマンス模様(解説)
主人公のキャッスルは、リッチでハンサムなので非常にモテる。何なら売れない作家時代ですら、恋愛話は豊富だが、結婚には二度とも失敗している。
愛娘は最初の妻との間に生まれ「うちでは娘が父の面倒を見る」様な、しっかり者のアレクシス。一晩だけの相手との子だったキャッスルを産んだ、元舞台女優で奔放な母マーサ。
ホームコメディとしての家族との何気ないやり取りが、事件解決のヒントになるのは『お約束』だ。友パパを自称するキャッスルは、アレクシスの学生らしい恋愛模様に一喜一憂し、未だに老いを感じさせず、情熱的な恋愛を求める母に時に振り回される。
視聴者には早々にベケットに惚れ込んでいる様に見えるキャッスル。 だが割とフラフラしている。娘との関係で最初の妻と交流する時は普通に関係を持ち「ケーキの食べ放題」と宣う。
自分の作品のファンや事件関係者に迫られれば、割と簡単に美味しく頂く始末。女性の犯人に利用されそうになる事もあるが、最後まで騙されない辺りは、やはり切れ者である。
一方のベケットも恋多き女性。キャッスルとコンビを組んで以降も複数の男性と交際し、キャッスルをやきもきさせるが、キャッスルの気持ちを明確に知って以降は男性との交際は控えるようになる。
だが当のキャッスルはベケットに遂に決まった相手が出来たと思い意気消沈。 自分の編集者でもある二番目の妻とあっさりとよりを戻すという酷いすれ違いぶりを見せた。(S2ラスト)
作品から現実へ飛び出す男キャッスル(豆知識)
キャッスルは半実在(2.5次元)的な描かれ方をしている。
劇中では何度か友人のミステリ作家らとポーカーをしながら事件談義するシーンがあるが、彼等は実在の有名ミステリ作家である。
日本で言うなら、西村京太郎や内田康夫と麻雀する様な画だ。更に山村美紗ならば自らを主人公とした『ミステリー作家・山村美紗』シリーズがあり、西村京太郎と半同棲していた描写を劇中で見せる場面があったりするが、それらと比べると現実と作品間のベクトル移動は逆であるともいえる。
キャッスルは劇中でベケット刑事との取材(捜査)活動をモデルに『ニッキー・ヒート』シリーズを新たに刊行して、ベストセラー&映画化している。
この劇中小説とでもいうべき作品群が、実際にキャッスル名義の小説として現実に発売されている。
それまでの速い出版ペースと異なり、一年に一作品というペースを前述の作家仲間達に「酷過ぎる」と揶揄されているのに合わせてなのか、ドラマの一シーズン毎に一冊刊行されている。だが残念ながら、日本語版で売られているのは八作中、最初の二作品だけだ。
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