2022年3月 楽しかった海外ドラマをご紹介 愛及屋烏
『CSI:科学捜査班(ラスベガス)』(S1.2010~S15.2015)
Continuation from last page. 03-2
現場をくまなく調べて、証拠を集めて、
何が起きたかを論理的に再現する。それが仕事だ
グリッソム、新人に教授(S1#1)
おススメの名エピソード(推薦)
S6 #18「IQ 177」
その天使、頭脳は悪魔的。
強敵と言うべき、凶悪な犯人は多いが、知略面でのCSIの完全なる敗戦は、かなり珍しい。犯人ワーストランキングでもあれば、TOP5入り確実であろう少女が登場するエピソードを紹介。
女子高生ステイシーの遺体がグラウンドの花壇から発見される。
彼女はシャワールームでナトリウムを使った火花が散る細工に驚いてシャワーカーテンを巻きつけて逃げ出し、階段で転倒し死んでいた。
逮捕されたのは同級生のマーロン。
4ヶ月経った公判の最中、マーロンの妹で飛び級した12歳の高校3年生ハンナが真犯人と名乗り出て遺体を運んだ時に着ていたシャツを着てくる。
残された時間はあと72時間。
CSIチームは真相を明らかにしなくてはならない。
担当はウォリックとサラ。
ハンナの持ってきたシャツの土は遺体遺棄現場と一致。ハンナはステイシーから嫌がらせを受けており、その復讐だと言う。
ハンナとマーロンの両親サリーとジムは「ハンナはマーロンをかばっている」と言いハンナはIQ 177で人を見透かしてしまうのだと言う。
すでに土と血痕が見つかっていたステイシーの車のシートの裏側からさらに血痕が見つかり、その指紋からスコットが呼び出しを受ける。スコットの父は怒るがスコットはステイシーの純潔宣言を破らせたことを告白。容疑は晴れる。
体のまだ小さいハンナにはたしてシャワーヘッドに細工をして遺体を運ぶことができるのか。
ウォリックは妻の姪ダーシーを使って検証してみる。 やはり、遺体を運ぶことは不可能。
マーロンとハンナは共謀している可能性がある。 そして捜査を撹乱し自由になろうとしている。
しかし、ハンナはここでカートを使ったと証言した。事件当夜マーロンとハンナのどちらかがピザの宅配を受け取ったことがわかり共犯説は消えた。
タイムリミット。公判が行われ陪審員フォアマンは告げる「無罪」と。
サラは最後にハンナと話をする。
司法制度を利用し、罪を逃れたように見えるハンナの将来を心配するサラ。
それに対しハンナは「無実なのに殺したと思わせることができるのは本当の天才だけ。ステイシーを殺したのはマーロン」と囁くのだった。
『金田一少年の事件簿』の「金田一一」はIQ180という設定だが、確実にハンナの方がヤバい。というか怖い。
幼さと同時に叡智を感じさせる南央美(しまじろう、ホシノ・ルリ等)さんの吹き替えが、実に素晴らしい。
その後、シーズン8『ラスベガスに別れのキスを』で、貫禄の再登場。
大学教授になったハンナが関わった事件がサラの心に大きな傷を与え、ラスベガスを去る決意をさせることに。長期シリーズの再登場ネタが大好物なので、そのあたりもグッド。
後述(感想)
人生鑑賞と表現したが、特にサラ・サイドルは、どうも脚本にいじめられている感がある。その辺が、通しで観ているとシナリオ的というか大局的な伏線が見えてくるのが楽しいのだ。
チーム内の恋愛なので、最初はハッキリとした描写ではなく、普段での捜査での距離感がじわじわ近づいて「あれ?」と気づく感じ。
初老に近いグリッソム主任とCSI訓練生として、かつて教え子だったサラ。
7シーズンも掛けて、紆余曲折の後に結ばれたのにサラが連続殺人犯に殺されかけるわ、それで関係がバレて職場恋愛禁止(服務規程違反)だった為、別チームに移動になるわ、散々。
この時、監査を受けたグリッソムが「いつから関係していた」と訊かれ、付き合いだした時期ではなく、出会った時を答えているのは笑える。(生徒相手にその時から惚れてた、という自爆)
サラはサラで、初対面の授業後にグリッソムに話に行ったが「どうやって食事に誘うか考えていた」と後に白状した。
そんなグリッソムからプロポーズされ、サラは事件に疲れ、殺されかけ傷ついた気持ち、本人曰く「死の世界に首を突っ込む」状況から持ち直すも親から虐待を受け、耐えかねた母親が父親を殺害した過去を想起されるDV事件が起き、更に心が乱される。
そして、前述のハンナに精神的にトドメを刺される。
ロッカールームで泣きながらCSIのジャケットからネームを外し、衆目を全く気にせずラボでグリッソムに別れの口付けをし、手紙を残してラスベガスを去る。
だが、そのシーズンラストで「とんでもない」事が発生し、チーム全体が失意のどん底になり、一時的にサラはラスベガスに戻るが、既に捜査に関われる立場ではなく、そこに追い打ちの様に過去に担当した事件が悪い方向に。
強姦され意識不明で脳死状態の奥さんを旦那さんが介錯する殺人。
サラ、いじめられ過ぎ問題勃発。 結局、ラスベガスから離れる。
その後のグリッソム主任がラスベガス去ったサラを追っての主任交代劇は熱い。 キャサリンに主任を託し、期待の新人をスカウトし、チームを去る。
序盤では情がない男扱いされていた昆虫博士が、愛に走るのだから素晴らしい。
シーズン10の第一話「ラスベガスリターン」でグリッソム夫人になったサラは、ピンチヒッターとして復職、ちょいちょい旦那ネタ&人妻ネタを披露。
シーズン11以降は完全にレギュラーに復帰。
だがシーズン13で断片的に離婚した話が語られ、非常にやきもき。
最終回でグリッソムが再登場し、事件解決後に復縁し、ごく最近作られた続編では揃ってチーム復帰している。
いやいや、波乱万丈にもほどがある。
END.