私が通っている、デイサービスの近くには、いくつか麦畑があります。
その麦畑すべてに共通することがあって、広がる麦の中に、無数にオレンジ色の花が紛れています。
遠くから見ると青く茂った中にちいさな彩りが散らばっているようで、思わず足を止めてしまうことがあります。
一見するとポピーのように見えますが、ナガミヒナゲシと呼ばれる野草です。麦畑の整った風景の中に、自然に入り込むように広がっていきます。
整えられた作物の景色と、自由に広がる植物。その対比が同じ場所に重なっているのが、この風景の面白さでもあります。

最初はただ「きれいな花が咲いてるな」という程度に見ていました。
けれど、毎年のように同じ場所で見かけるうちに、気になる存在になっていきました。
ナガミヒナゲシは非常に繁殖力が強く、環境によっては一気に広がっていく植物だそうです。
麦畑以外でも、道路脇や空き地など、さまざまな所で見かけます。
小さく、繊細な花に見えますが、近くで見ると少し雰囲気が違って見えます。
細い茎の先に咲く鮮やかなオレンジ色の花は、風景の中でもよく目立ちます。
ポピーに似た姿をしていますが、よく見ると、花びらの質感や咲き方には少し違いがあります。
華やかさのあるポピーに対して、ナガミヒナゲシの花は紙のように薄くどこか控えめで、景色に溶け込むような印象があります。
麦の緑色の中に自然に混ざっている様子を見ると、雑草というより、景色の一部のようにも感じられます。

こうした景色は特別なものではないけれど、毎日の中に少しだけ変化を感じさせてくれます。
同じ道でも、見方によって印象が変わることをおしえてくれる風景です。
何気なく通り過ぎていた場所でも思っていた以上にたくさんの発見があるのかもしれません。
そう思いながら見ていると、これまで気にも留めなかった景色の中にも小さな変化や意味が隠れているように感じられます。
