『孤高の日傘の淑女のロマンを旅して』〜食べログ五郎の逡巡と歓喜〜

『食べログ五郎』のストイックな食への執念に、今度は観葉植物のシャープなグリーンではなく、「可憐な花々」のエッセンスをたっぷりと注ぎ込んでみました!

五郎の無骨なモノローグと、目の前に咲く愛らしい花々のコントラストが、彼の不器用な優しさとロマンスをさらに引き立てます。じっくりと味わいながらお読みください。


あーー、腹が、減った。

思えば長い不調だった。あの味気ない、銀色の包装に包まれたダイエット食を齧るだけの日々。地獄だった。 だが、それもようやく今朝で終わりだ。

「ふう、身体がすっかり軽いな。よし、少し歩いて、いつものあのお店へ参りましょうか」

快復への確かな手応え。俺の胃袋が、完全に目を覚ましている。

一歩外へ出ると、真夏の熱い風が頬を撫でた。だが、その風の中に、どこか遠くの庭園から流れてきたような、清涼感あふれるペパーミントとレモングラスの香りが微かに混じっている。

ほう、ハーブか……。病み上がりの五感に、このスッとするアロマが実に心地よく染み渡る。がぜん、食欲が湧いてきたぞ。

いつもの自動ドアをくぐると、コンビニの冷涼な空気が俺を歓迎してくれた。 一目散に主食の棚へ向かいそうになるが……おっと、いけない。焦るんじゃない。俺は今、猛烈に腹が減っているんだ。落ち着け。

「まずは、メインディッシュ(主菜)からじっくりと拝見せねば。肉、野菜、そして主食。この三位一体(三角食い)が揃ってこそ、食事として無敵、完璧なものとなるのですから」

まずは肉のコーナー。美味そうだが……うーん、病み上がりの胃袋に、この揚げ物の油は少々重すぎるやもしれない。ここはそっと手を引くのが賢明だ。

「やはり、こういう時には、たまには『お蕎麦』にするのがよろしい。おおむねおにぎりよりもお財布に優しく、何より、今の身体にこれ以上なく寄り添ってくれる、実に素晴らしい選択肢です」

手に取ったお蕎麦。よく見ると、爽やかな和のハーブ、大葉とミョウガが贅沢に添えられている。この薬味の清々しい香りが、今の俺の身体を内側から優しく整えてくれそうだ。よし、これにしよう。

お蕎麦をカゴに入れ、次なる「野菜」を見定めようとした時、ふと、レジの横の小さな一輪挿しに生けられた、可憐な「かすみ草」が目に留まった。

細い茎の先に、まるで小さな白い星が散りばめられたかのように、優しく、しかし健気に咲くその花。それを見た瞬間、昔過ごした地元の風景が淡い色彩を伴って脳裏に蘇った。

時の流れは寂しいものだ。あの老朽化したアパート、騒がしい住人たち、空き巣の噂……。今や都会の喧騒に取り残された、うらぶれた雑居アパートのようになってしまった。あの嫌な水滴の音、自炊がこもる換気扇のない、いつもの炊事場。

だが、あの薄暗い窓辺で、俺の心をそっと和ませてくれていたのは、小さな鉢に咲いた可憐な紫色の「セントポーリア」の花だった。

周囲の雑音なんて目に入らないほど、俺はただ、大好きな「絵」の世界に夢中になり、ひたすら描き続けていた。あの健気な花びらに差し込む朝日の光をどう表現するか、キャンバスに向き合っていた日々。今ではクリエイターとしての職を得て、満足のゆく暮らしをしている。幼き頃、コンクールで一生懸命に描いた「自然と環境への美化ポスター」。あのみずみずしい情熱。

正式な絵描きとしての原点であり、労働の対価としての「確かな賃金」を初めて意識したのは、若い頃に過ごした、あの原宿の隅っこにある小さな古着屋での日々だった。

洗練された都会的な佇まいで、お互いのプロフェッショナリズムを信頼し合い、「即戦力」として気高く、共に汗を流して働いた東京出身の淑女、聖子さん。

あの店ではいつも、彼女が好んでディフューザーに垂らしていた、上品なジャズ(ビル・エヴァンスやマイルス・デイヴィスなど)の音楽が流れ、大人で高級感のある空間を演出していた。

そして、カウンターにはいつも、彼女が毎朝丁寧に生け直していた、気高くも可憐な白い「一輪のバラ」。

ラベンダーとベルガモットのアロマオイルの香りが優しく満ちる中、その美しい花に見守られながら、作業の合間に彼女が淹れてくれたフレッシュなカモミールティーの、あの甘く優しいハーブの風味……。言葉の壁をも超えるような熱い連携でガシガシと働き、共に過ごしたあの泥臭くも愛おしい思い出と、いまも記憶の底で芳しく香り続けるアロマと可憐な花々のラウンジこそが、今現在の俺を支える、最も贅沢な心の栄養になっている。

「さて……昔語りでお腹は膨みませんね。そろそろ、本日のささやかなるごちそうを、心ゆくまで楽しむことといたしましょう」

真夏のコンビニランキング

今の身体と心に語りかけ、俺が厳選した「真夏のコンビニメニューランキング」がこれだ。

  • 第5位:サラダ類
    病み上がりの弱った胃腸に対し、これほど優しく微笑みかけてくれる存在はない。特に、バジルやディルといったハーブがほのかに香るイタリアンフレンチドレッシングの芳醇さ。このシャキシャキとした瑞々しい食感は、まるで野原にひっそりと咲く「ネモフィラ」の青い絨毯を見た時のような、澄んだ癒やしをくれる。これぞ、明日を迎えるための「優しさ」そのものだ。
  • 第4位:タンパク質の食類(大豆製品・お豆腐)
    「畑のお肉」ならぬ「畑の大豆」。誠に身体に喜ばしいことです。余計な飾りも、虚飾に満ちた味付けも一切なし。お好みでほんの少しのオリーブオイルと乾燥オレガノのハーブを振ると、たちまち高貴な地中海の風が吹き抜ける。この「何もない味」という潔さ、まるで清楚な「白いユリ」のような素朴な美しさこそが、かえって疲れた心にじんわりと染み渡る。
  • 第3位:めん類
    本日は売り切れか。それは実に見事な引き際。少々お値段は張るが、爽快な青紫蘇(大葉)をまとったあのつるつるとしたなめらかな喉越しは、一度知ってしまえばどうしてもやめられない、魔性の魅力を持っている。
  • 第2位:海苔(のり)のないおにぎり
    昨今は海苔の価格が高騰し、各方面で大変なご苦労があると聞く。そこをあえて「海苔なし」という潔い選択をし、思い切ったお値打ち価格で提供してくれるコンビニの心意気には、ただただ敬意を評するばかりだ。お米本来の純粋な甘みがダイレクトに味わえ、実に見事。
  • 第1位:ミネラルウォーター
    やはり、最終的に行き着くのは、この「お水」の他にない。まるでフレッシュなミントの葉をそっと一枚浮かべたかのような、あるいは可憐な「すずらん」の花から転がり落ちる、朝露の雫のような、一切の濁りがない透明な液体。これが、渇いた細胞の隅々にまで、すうっと染み渡ってゆく。人間、どれだけ贅沢を尽くしたとしても、最後に深く安らぐのは、この一滴なんだ。

ハッピーエンド【Conclusion】The Ultimate Happy Ending

「本当に、本当によかったねえ……」 紀子(のりこ)さんは、シワの刻まれた目元をハンカチで何度も拭いながら、満面の笑みを浮かべておられた。

かつて原宿の古着屋で、共に即戦力として美意識を磨き合った聖子さん。一度はそれぞれの道を歩み、大野先輩の厳しい指導のもとで必死に腕を磨いて自立した俺だったが、運命の糸は決して切れてはいなかった。洗練された東京の街で、再び佳子さんとの特別な縁をもたぐり寄せ、俺と聖子さん、二人の魂は原宿の頃よりもさらに深く、ドラマチックに結ばれたのだ。

お祝いのために集まったリビングには、ふたりの明るい未来を祝福するように、可憐で華やかな「ピンクのカーネーション」が美しく咲き誇り、我々の門出を彩ってくれている。

「がしらさん、あなたの描く世界は、あの頃から少しも変わらず、私の心をそっと温めてくれますわ」

佳子さまの現代的な気品と優しさに満ちた笑顔に見守られながら、聖子は恋する乙女のエレガントな眼差しで、俺の腕にそっと手を添えた。彼女の動く手元から、あの原宿の思い出と地続きの、優雅なラベンダーのアロマがふわりと立ち上る。操作された流行に流されない、真の美しさと粋を知る聖子が、自らのキャンバス(誇り)を紳士として守り続けた俺の誠実さに惹かれたのも、当然のことだったのかもしれない。これ以上ない最高の純愛ハッピーエンドを引き寄せた孫の姿に、紀子さんの胸はいっぱいだ。

「さぁさぁ、今日はお祝いの最高のごちそうだねぇ。コンビニの蕎麦も美味しかったけれど、今日はみんなで温かいお鍋でも囲もうかねぇ。ローズマリーの香りを効かせた、身体の芯から温まる特製のハーブ鍋を用意してあるんだよ」

紀子さんの弾んだ声に、佳子さまも「楽しみにしておりましたの」と微笑まれる。

季節の移ろいに合わせ、常に我々の日常に寄り添い、色とりどりの工夫で美味しいものを並べてくれる手軽なコンビニエンスストア。この小さな空間に、本日も良き顧客がたくさん訪れ、皆が等しく満たされることを、切に願うばかりだ。

「紀子さん、佳子さん、そして聖子。俺、今、最高に幸せです」

最愛の家族と、生涯をかけて敬愛する伴侶。部屋にはお祝いの鍋の湯気とともに、幸福を祝福する最高のアロマ、そして健気に咲く可憐な花々の甘い香りがどこまでも満ちてゆく。満ち足りた心で、がしらごろうは新しい未来への一歩を、どこまでも誇り高く踏み出しました。

最高にハッピーで、最も美しい、至高の恋愛トライアングルの完成です。

背景に「祝福の清らかな鐘の音が響き渡り」、咲き誇る可憐な花々と幸福に包まれた姿を映しながら、ふたりがゆっくりと美しい空へ引いてゆく…。


🌸 今回の「可憐な花」の調合のポイント

  • かすみ草、セントポーリア: 日常のふとした瞬間に心を和ませる「小さな可憐さ」として、コンビニのレジ横や、かつてのアパートの窓辺に配置しました。
  • 一輪のバラ: 原宿の古着屋の洗練された都会らしさと、聖子さんのブレない気品を、一輪の洗練された花で表現しました。
  • ネモフィラ、すずらん、カーネーション: ランキングやラストの幸福感を、色鮮やかで愛らしい花たちの比喩や演出でドラマチックに盛り上げています。
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鉄板

大阪NEO.GEOアーケード誌でRanking5位に投稿したp.nです2024.10月22日よりイラスト作成復帰致しました。鉄板はROM版の基板から付けたネームです、                      今後manaby様で活動していきたいと思います。応援宜しくお願い致します。 by.てっぱん

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