2022年11月 楽しかった海外ドラマをご紹介 愛及屋烏
『コールドケース 迷宮事件簿』(S1.2005~S7.2012)
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往年の名曲の他に時事ネタも(豆知識)
例えば、シーズン5エピソード7の「WORLD’S END(火星人襲来)」。
時は1938年10月30日。
この日アメリカで何があった即分かる人は相当なアメリカ通、あるいはSF通だ。
フランケンシュタインのお面を被って翌日のハロウィーンの仮装の練習をする息子ロバートと、その相手をする美しい母親オードリー(33歳)の場面からドラマは始まる。
やがて夫のフェルトンが仕事から帰宅し、妻は夕飯の支度、息子と夫は、楽しみにしているラジオ番組「エドガー・バーゲン・ショー」を聴こうとラジオの前に。
だが、スピーカーからは、
「音楽の時間ですが臨時ニュースをお伝えします」とアナウンスが流れ、火星人の襲来を告げる。
アメリカ全土はパニックに陥る。
実はオーソン・ウェルズが、H.G.ウェルズのSF小説『宇宙戦争』をもとに「火星人襲来」をラジオドラマ化したものだったが、アメリカ人は本物のニュースとして聴いてしまったのだ。
と、いう事になっているが。 実際にはほとんどパニックなど起きていなかったとのこと。
一体なぜ「ラジオを聞いた人々がパニックに陥った」という話が伝えられているのかというと、放送翌日に新聞が「宇宙戦争」によって引き起こされたパニックをセンセーショナルに報じたからだとSLATEは指摘。
当時、新たな媒体として人気を博したラジオは新聞から広告を奪い、出版業界に大きなダメージを与えていたため、新聞社や雑誌社は情報源としてのラジオの信頼性を損なわせるために「宇宙戦争」を利用したそうです。
こんな話までドラマに組み込まれているのは実に興味深い。
コールドケース 〜真実の扉〜
WOWOW開局25周年を記念してワーナー・ブラザースより正式にフォーマット権を獲得し、制作された日本版。
日本版は神奈川県が舞台でリリーならぬ、刑事の石川百合が主役。
演じるのは連続ドラマ初主演の吉田羊。
過去の回想シーンはスーパー16mmフィルムを用いて撮影しデジタル処理して4K・HDR化するという日本初の試みに挑戦、最新技術とフィルムの併用により過去と現在をつないで映像美で表現する。
オリジナル版と同様に、未解決事件発生時の過去のシーンでは当時の流行曲が流れる。日本の楽曲に加えてイギリスやアメリカの楽曲など、邦楽・洋楽を問わず多彩なヒット曲が用いられている。
事件によっては良リメイクであったり、失敗かな?と思わせる様なエピソードもある。次項では原作、日本版、共通して神回と評価されているエピソードを紹介したい。
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