新シリーズ『昭和のかがやき』へようこそ!
今回のテーマは「昭和の音楽・メディア」です。
今ではスマートフォンやストリーミング配信で、いつでもどこでも数千万曲をすぐに聴ける便利な時代になりました。しかし、昭和後期(1970〜80年代)の音楽体験は、もっと手触りがあって、驚くほどの熱量に満ちていました。
不便だったからこそ、一曲一曲を大切に聴いていたあの頃のオーディオライフをのぞいてみましょう!
1. テレビの前で息をひそめた「ラジカセ録音」
昭和の子供たちにとって、最新のヒット曲を手に入れる最大のチャンスは、週に一度の「テレビの歌番組」でした。
お目当ての歌手が登場すると、大きな「ラジカセ」の録音ボタンと再生ボタンを同時にガシャコン!と押し込みます。当時はテレビとラジカセをコードで繋ぐのではなく、部屋の空気を介して直接マイクで音を拾うのが主流でした。
そのため、録音中は家族全員が「喋っちゃダメ!」と息をひそめます。しかし、そんな時に限って「ごはんよー!」とお母さんの声が入ってしまったり、犬が吠えたりしてガッカリするのも、昭和あるあるの微笑ましい風景でした。
2. 青春が詰まった「マイベスト・カセットテープ」
お小遣いを貯めて買ったお気に入りのレコードや、ラジオの深夜番組から録音したお気に入りの曲たち。それらを1本のカセットテープにまとめ、自分だけの「マイベスト」を作るのが最高の娯楽でした。
A面とB面の合計分数(46分、60分など)を計算しながら、「この曲の次にどの曲を持ってくるか」を真剣に悩みます。
仕上げには、カセットケースに入れる「インデックスカード」に、レタリングシートや色ペンを使って手書きで丁寧に曲名を書き込みます。友達や好きな人にプレゼントするために、夜遅くまでこだわって作ったテープには、当時の青春の熱量がそのまま閉じ込められていました。
3. ウォークマンの登場と音楽の解放
1979年にソニーから発売された「ウォークマン」は、当時の若者たちのライフスタイルをガラリと変える大革命でした。
それまで「家の中のステレオの前」でしか聴けなかった音楽が、ヘッドホンをつければ、街中や通学の電車内など「外へ持ち出せる」ようになったのです。お気に入りのカセットテープをポケットに入れ、音楽と一緒に街を歩く感覚は、これまでにないほど新鮮で、最高に格好いい最先端のカルチャーでした。
おわりに
今の時代から見ると、曲を巻き戻すのにも時間がかかり、テープが伸びて音が歪んでしまう昭和のメディアは、不自由で手間に思えるかもしれません。
でも、そこには「音楽を形あるモノとして大切に所有する喜び」がありました。
歌詞カードを擦り切れるほど読み込み、ジャケット写真を眺めながら、じっくりと音に耳を傾ける。そんな手間暇をかけたアナログな時間があったからこそ、あの頃聴いたメロディーは、今でも私たちの心の中で色褪せることなく、キラキラとかがやき続けているのです。
