Cross Over Is Like #04
2022年8月 好きなクロスオーバー作品をご紹介 愛及屋烏
零・碧の軌跡 & 閃の軌跡Ⅰ・Ⅱ
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零の軌跡・碧の軌跡
ゼムリア大陸西部に位置するクロスベル自治州。
北のエレボニア帝国と東のカルバード共和国と言う二大国に挟まれており、両国の緩衝地となっている。またマインツ鉱山から豊富な七耀石が採れることから熾烈な領土争いの対象となってきた。しかし七耀暦1202年にリベール王国より提唱された不戦条約が締結されてからは緊張状態も緩和されている。
しかし、水面下では未だに両国の紛争が続いており、更に国外から多数の犯罪組織やマフィアが流入して抗争を行っており、治安状態は最悪であった。
この二大国の暗闘による一般市民への被害が、後になって様々な事件の遠因ともなった。
市民の安全を守る筈の警察組織も不正や汚職に塗れて機能しておらず、自治州の市民は犯罪に怯える日々を送っていた。
そんな中、市民の信用を失ったクロスベル警察に「特務支援課」と呼ばれる新部署が設立され、四人の若者が配属された。リーダーとなるのは、殉職した捜査一課のエースを兄に持つ、新人捜査官のロイド・バニングス。
空の軌跡FC、SC、the3rd
前シリーズの空FCは、新人の準遊撃士であるエステルとヨシュアの義姉弟が正遊撃士になる為に国内を巡る旅の中、王国で進行するクーデター計画に巻き込まれ、それの阻止に動く話だった。
クーデターの背後で暗躍していた、秘密結社『身食らう蛇(ウロボロス)』。
かつての古巣を止める為に愛するエステルにキスと共に別れを告げ、闇に潜伏するヨシュア。この時、追って来れない様に睡眠導入剤を口移したのでファンからはファーストならぬワーストキス呼ばわりされる。
そのままEDに突入し、物悲しい『星の在り処』のボーカルが涙腺を襲い、続編発売まで二年間の「お預け」は当時のPC版ユーザーを絶望に叩き落した。
そんなヨシュアを追う為に正遊撃士として仲間と共に事件を追うエステル。 結社が狙う、王国に眠る『女神の至宝』にまつわる策動を阻止するのが、空SC。
the3rdでは、至宝が齎した残滓とも言える事件と登場人物達の触れられなかった過去やエピソードが見られるファンディスク的な話が展開した。
零の軌跡の始まり
零の軌跡では主人公ロイドの捜査官資格を得てのクロスベルへの帰郷、列車の中で夢の様に垣間見た『何処かの施設に強制捜査を行う、自分を含む四人の姿』。
そして、新設された警察の新部署の『特務支援課』の設立から描かれる。
最初は遊撃士の猿真似やら市民の人気取り等、内外から批判の多い窓際部署で、組織的に扱い辛いメンバーが集められていた。
だが、クロスベルで起きる大小関わらず様々な事件を解決するにつれて、他部署や街の住民達から信頼される様になっていく。特に後述の『マラソン』をする、軌跡プレイヤーには実感が強い。
ストーリーの序盤でクロスベルの遊撃士協会に前作主人公のエステルとヨシュアが出向(赴任・応援に近い)して来て、ピンチの特務支援課を助けて、貫録を見せつけてくれる。そもそもが善人集団なので、個人間で特に揉めたりはない。
クロスオーバー的、ファンサービスかと思いきや、この出会い自体が『とんでもない伏線』であった。
クロスベルマラソン
従来作の主人公達は、事情はそれぞれだが、全員旅をしている。
それぞれの目的で世界の各地を旅してまわり、いろんな会話を行っていく。
が、零の軌跡の主人公達は警察官だったのである。
警察官、すなわち国家公務員。つまりは地元密着型となり、作品の舞台であるクロスベル自治州の中心を拠点として、各地方の町やダンジョンを回るというパターンとなってしまった。
これにより、警察官として情報を収集する感覚、些細な出来事や会話に伏線を仕込み、また解決するカタルシスには十分な効果が発揮されたものの、「まったく新しい土地を旅して回る」という要素が激減してしまった為、旧作ファンであればあるほどこの点を惜しむ傾向が強い。
上記の通り各地を旅する事はない。
しかしNPCの会話変化、それに隠し要素と伏線を仕込む伝統、そしてケタ違いのテキストボリュームは健在である。
プレイヤーから名前を募集して、当選者がゲーム中にモブとして登場する、という企画もあった。推理漫画等のモブ被害者募集に近い。 それで、とある軌跡ゲーム実況者が自分探し(ガチ)する事になった。
また各地を旅しないかわりなのか、拠点となるクロスベル市はとてつもなく広い。
前作『空の軌跡』と比較すると、空の軌跡の一番大きな街(王都グランセル)は移動のできる範囲が東西南北の4街区に対し、零の軌跡は駅前通り、中央広場、西通り、東通り、行政区、港湾区、歓楽街、住宅街、旧市街、裏通りと街区だけで倍以上というとてつもない広さがある。
各施設を含めるとさらに広い。
この為プレイヤーは頻繁に広大な街を巡回する必要があり、巡回を繰り返せば次第に巡回コースが出来上がっていき、結果として決まったコースを主人公達が頻繁に走りこむ事となる。その姿はさながら訓練の一環のマラソンにしか見えない、とそういう訳である。
当然ながらいくら走りこんだところで体力は増えない。
後に主人公達のホーム・拠点に応じて、『士官学院マラソン』『クレスタマラソン』『イーディスマラソン』等の類語が生まれた。
シリーズ通しての人生の描写
空の軌跡に登場する空賊『カプア一家』、特に紅一点のジョゼットは準レギュラー(SC、3rdではプレイアブル)だが、その来歴はシリーズ通して描かれている。
帝国の男爵家だったが、詐欺にあい領地と財産を失い空賊に身を落としたが、リベールで活動中に情報部のクーデターに利用され、その後は単独で結社を追うヨシュアにギブ&テイクで協力した。
リベールでの異変解決後、女王から恩赦を出され、飛空艇での運送業『カプア特急便』を開始。
その後はシリーズ通して、ちょくちょくと各地のイベントで従業員が顔を出す。
クロスベル編の碧の軌跡ではカプア特急便も登場するが、彼らが空賊になる原因になった、詐欺師のミンネスが登場する。クロスベル近郊のアルモリカ村で大手製菓会社“クインシーベル”の役員を騙り、特産のハチミツを活かした菓子の為の工場設立を餌に土地を騙し取ろうとした。
(このクインシーベルは雑誌記事やアイテムテキスト上での登場だったが、黎の軌跡にて社長の娘がメインキャラで登場し、本社が入っている百貨店にも足を運べる事になった)
その後、復興物資(医療品)の詐取で再登場し、数年後の創の軌跡でもやらかす。
帝国編Ⅲ・Ⅳでは新設された士官学校の分校があるのが、男爵家が治めていた『リーブス』だった。
別荘地に新校舎が建ち、当時の屋敷が学生寮になっていて、ジョゼットも出演し、今でも領民達に慕われている姿が描かれた。
一方でシリーズ皆勤賞になるか? という『モブオブモブ』も存在する。学校を卒業した後、自分探しの為に各地を友人と旅行し、各シリーズの主人公の周りの女性に簡単に惚れ、ちょっとしたクエストを起こす、完全一般人の愉快な青年がいる。毎回失恋していたが、帝国編ラストの世界大戦前夜の状況下で、それなりの成果を挙げた。
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