私は、人と話すことが好きです。
けれど、それ以上に、他の人の話を聞くのも、とても好きで、楽しいです。
特に、お年を召した方のお話は、聞いているだけで、面白いし、タメになる話ばかりだからです。あと、なぜか私は、年上のおじさんやおじいさんに好かれる傾向があります(笑)
私のような若輩者にとっては、とてもラッキーなことだと、常々、思っています。
今回は、他の事業所に通所している時に、お会いした統合失調症のおじいさんのお話をしたいと思います。
それは、ある日、一度、そのおじいさんと一緒に、お茶を飲みながら、休憩していた時のことです。
いきなり、私に対して、
「電車賃はいくらなの?どのくらい時間がかかるの?大変じゃない??」
などと、聞いてきたのです。
私は、こう聞かれた時、正直、とても意外でした。
なぜなら、一般の人たちが話すような、至って普通な話題だったからです。
また、特に印象に残っている言葉は、
『やっぱり、お金は大事だね。』という言葉でした。
これも、いきなり、言われたことでしたが、私の何倍も生きてこられたおじいさんの口から聞くと、両親などから言われるよりも、素直に納得できました。
それから、私の中で、『お金』に対する考え方が、かなり変わりました。
それは、人として、生きていくために、最も、必要で大切な『お金』というものが、どれだけ大切なものなのか、自分なりに、再認識することができたことです。
なので、このおじいさんのお話は、思いがけなかったけれど、後になって、そのことを、より強く、実感しました。
そのため、障害者と健常者を比較することは、無意味なことであると同時に、間違った考え方だと確信しています。
障害を持っていても、持っていなくても、もともと人間には、生きていく上で必要な知識が備わっているのかなと考えています。
※ここからは、戦争や震災についての結構、シビアな話なので、飛ばしてもらっても、構いません。もちろん、私事ですが、読んでいただけたら、嬉しいです。
私の父方の祖父は、戦争に行って、激戦地であったフィリピンのルソン島というところで、戦死しました。
そのため、残念ながら、私は、一度も祖父に会ったことがありません。
なので、祖父の写真を見るたびに、どんな人だったのかな?と、よく思います。
また、母方の祖父は、祖母と曾祖母とともに、地元の福島県で、東日本大震災の津波に流されて、帰らぬ人となりました。
なので、そのおじいさんを見ていると、私の祖父を見ているような気持ちになって、なぜか懐かしく感じたことを覚えています。
統合失調症の人は、何度も同じことを言ったりする症状があるため、それに対応するのが、少し大変でしたが、私よりも、多くのハンデを持ちながら、生きてこられたおじいさんの言葉は、現実味を帯びていて、強い生命力を感じます。
そのおじいさんは、さまざまな絵を描くアート活動をしていて、ある日は、雑誌の表紙の写真を見ながら、オリジナルの絵を描いていました。
そのおじいさんが、目の前のことに、一生懸命に取り組む姿は、とても素敵に見えて、見習いたいと思うところです。
長くなってしまいましたが、障害云々ということより、その人の経験値こそが、一番正しいことだと、改めて感じることができました。